小6国語科「インターネットでニュースを読もう」全時間の板書&指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
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1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小6国語科「インターネットでニュースを読もう」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小六 国語科 教材名:インターネットでニュースを読もう(光村図書・国語 六)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/山梨大学大学院教授・茅野政徳
執筆/神奈川県平塚市立花水小学校・佐野裕基

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、ニュースサイトの記事と新聞の記事を比較することを通して、インターネットで得られる情報の特徴や読み取り方を理解し、信頼できる情報かどうかを判断したり、自分に必要な情報を取得したりする力を身に付けることをめざします。

2. 単元の評価規準

評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、ニュースサイトと新聞を比較して読むことを言語活動として位置付けました。
ニュースサイトと新聞の記事を比較して読む活動に取り組むからこそ、それぞれの媒体の特徴が明確に理解できます。
この言語活動を通して、インターネットで得られる情報の特徴や読み取り方を理解して、信頼できる情報かどうかを判断したり、自分に必要な情報を取得したりすることができる力を身に付けられるとよいですね。

○ 言語活動と指導事項の関連

1人1台端末により、子供たちはインターネットから情報を得る機会が増えました。
しかし、「インターネットから得た情報を正しく活用できているか」という部分には、まだ課題があるでしょう。情報を収集する場面でも、検索窓にキーワードを入れて上位に表示された記事や、印象的な画像のみに引きつけられ、情報を得る姿が見られるのではないでしょうか。

本単元は、ニュースサイトの特徴を知ったり、記事から事実を読み取ったりするなど、インターネットから情報を得る際に気を付けることについて学びます。文章と写真や図表などを結び付けながら記事の内容を正しく理解し、その中から自分に必要な情報を見つけられるようにしましょう。

○ 教材の特徴

本単元で扱う記事は、「2008年に発見された恐竜の化石が新種であることが発表された」という出来事を伝える内容になっています。
ニュースサイトの記事と新聞の記事を比較すると、ニュースサイトには、記事以外の情報が多いことが分かります。関連記事やコメントなど、出来事の内容以外の情報や、記事を読んだ人の意見や感想も、記事の一部のように表示されています。
特に、コメントに書き込まれている情報などが、信頼できる情報なのか、自分に必要な情報なのかということを判断する力を育むのに適した教材といえます。
教材になっているニュースサイト「東南ニュース」は、新聞社などが自社の記事を配信するサイトではなく、複数の配信元の記事を集約し、配信するサイトです。記事タイトルの右下に「北西新聞」と示されており、ニュースサイトの記事は、北西新聞の記事を転載していることが分かります。
情報の発信日に着目すると、ニュースサイトでは「202X年9月23日15時10分」と表示されています。一方、新聞は「9月24日の朝刊」とされています。つまり、先に配信されているのはニュースサイトだということが分かります。このことからも、インターネットと新聞という情報媒体のもつ配信速度の特徴を捉えることができるでしょう。
また、情報の正確性は配信元の記事の方が高いことを押さえる必要もあるでしょう。配信元や配信日に着目することは、信頼できる情報かどうかを判断するための観点となります。
学習を進めていくと、「ニュースサイトの情報は信頼できない」という認識を育んでしまう可能性があります。情報が頻繁に更新されたり、関連する情報がすぐに検索できたりするなど、インターネットで情報を得ることのよさも共通理解しつつ、自分にとって必要な情報を選択し、活用できるようにしましょう。

4. 指導のアイデア

子供たちは、これまでの国語科の学習において新聞の特徴を見いだしたり、他教科・領域を含めインターネットを活用して情報を収集したりする学習経験をしています。
また、情報の整理の仕方として「比較や分類」をする術も学んできました。このような既習事項と本単元の学習を関連付けることで、「ニュースサイトで得られる情報の特徴や読み取り方を理解する」という本単元の目標に向かって、見通しをもって取り組むことができるようになります。

教科書にあるニュースサイトの記事と新聞の記事を比較することで、子供たちはニュースサイトには記事以外の情報が多いということに気が付くでしょう。
また、日常生活の中で、「関連記事」や「コメント」などを閲覧した経験のある子供も多いと思います。子供の実態に応じて、生活経験と関連付けながら、信頼できる情報の選択について考えを伝え合う活動を設定することも考えられます。

インターネットで得られる情報は、事実と意見を区別して読み取ることが重要です。教科書で例示されている岩木さんの記事内容の紹介は、事実と意見が混在してしまっています。まずは、ニュースサイトの記事から事実の部分を抜き出し、ニュースの内容を正しくまとめられるようにしましょう。

最終的には、本単元で学習したことを日常生活や他の学習場面で活用することが望まれます。
実際にニュースサイトにアクセスして、興味のある記事を読み、関連した情報なども取り入れながら、子供一人一人がその出来事について正しくまとめられるとよいでしょう。

5. 単元の展開(3時間扱い)

 単元名: ニュースサイトの記事を正しく読み取ろう

【主な学習活動】
・第一次
1時
① ニュースサイトの読み方や活用のしかたについて学習することを理解する。
② ニュースサイトのトップページの特徴を知る。
2時
③ ニュースサイトと新聞の記事を比べる。

・第二次
3時
④ 実際にニュースサイトにアクセスし、興味のあるニュースを読んだり、さらに知りたいことを検索したりする。
⑤ 学習を振り返る。

6. 全時間の板書例・端末活用例と指導アイデア

【1時間目の概要 】

教科書のトップページの例をもとに、各表示の名称や特徴を把握できるようにします。
いつも表示されているものや、頻繁に更新されて表示が入れ替わるものなど、ニュースサイトのトップページの特徴について確認しましょう。
そして、本単元で学ぶ内容を把握して、2時間目以降に取り組む学習の見通しがもてるようにしましょう。

1時間目の板書例
1時間目の板書例

イラスト/横井智美

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