小2国語「書いたら、見直そう」板書の技術
今回の教材は、「書いたら、見直そう」です。本単元の目標は、「文章の見直し方が分かり、書き直すことができるようにする」こと。見直し方の共通理解を目的に、1時間目は全体で行う学習活動、2時間目は個人で行う学習活動に重点を置いて指導します。個人で文章を見直して書き直す活動の際、文章の見直し方の手順が分かるような板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・園田萌(せせらぎの会)
単元名 書くときにつかおう
教材名 「書いたら、見直そう」(光村図書出版)
目次
単元の計画(全2時間)
- 学習課題をつかみ、文章の見直し方を考える。
- 文章の見直し方を意識して、文章を書き直す。
板書の基本
〇既習内容や書く経験の振り返りを生かし、学習課題や学習内容を押さえる板書
様々な書く活動では、自分で書いた文章を子供自身が読み返したり、教師が一人一人に指導したりして、子供たちが正しく書き直しています。書き直したほうがよい箇所に自分で気が付く子もいれば、先生の指示で間違いに気付く子、言われた内容だけを直す子もいます。日常的な指導として、書くときに気を付ける内容(句読点やかぎの使い方など)を掲示することが多いですが、基本的には見直す必要感を感じていないことが多いものです。
伝えたいことを正しく伝えるためには、見直すことが必要です。本単元では、書き方や内容を見直すということがどういうことかを指導します。
そこで、書く活動の経験を振り返り、文章を見直すことへの意識をもつことができるようにします。既習内容として教室掲示しておいた「書くときに気を付ける内容(句読点やかぎの使い方)」の掲示物を活用し、本単元の学習に取り組むことができるようにします。この掲示物は、国語科での書く活動だけでなく、今後の他教科での書く活動場面など、通年で活用します。
〇「文章の見直し方」の学習過程が把握できる板書
子供一人一人に、文章の見直し方が分かり、書き直すことができるように、1時間目は全体で行う学習活動、2時間目は個人で行う学習活動に重点を置いて指導します。この学習において留意したことは、個人で文章を見直して書き直す活動の際、文章の見直し方の手順が分かることです。見直し方の共通理解を目的にしています。
また、タブレットではなく、あえて紙ベースで文章の直し方を書き込み、どのように直すかを確認しやすくします。
板書を活用した授業の進め方(1/2時間目)
1 これまでの文章を書いた経験を思い出し、友達や先生に教えてもらったことを振り返りながら、本時のめあてを確かめる
月日・教材名を板書します。次に、これまでの経験や既習事項を想起させ、めあてにつなげます。
①書いた文章を見直さなかったことで失敗したことや困った経験を振り返らせ、黒板にまとめる。子供たちのこれまでの経験から、文章の見直し方を考えることの重要性を指導する。
② これまで文章を見直すときに気を付けていることを子供に発表させ、前の単元「こんな もの、見つけたよ」で使った既成の掲示物を活用しながら、既習事項の「句読点」や「かぎ」の使い方を確かめる。掲示物の内容の他に、子供の発言から出された見直し方をまとめる。
③ 子供たちの「読み返す」や「見直す」という発言が出されることを想定し、ここで、「見直す」ことに着目させ、黙読ではなく、声を出して読むことを指導し、本時のめあて「文しょうを声に出して読み、読みにくいところを見つけよう。」につなげ、板書する。
2 教科書P120「はやしさんが、はじめに書いた手紙」を読み、書き直す箇所を探し、どう直せばよいか考える
はじめに、「はやしさんが、はじめに書いた手紙」シートを黒板に貼り、誰が誰に書いた手紙であるかを確認します。ここでは、「はやしさん」が、「普段会えないおばあちゃん」へ手紙を書きます。この手紙をおばあちゃんに読んでもらえることを確認し、「もっと喜んでもらえるといいですね」と伝えます。
次に、全員で「はやしさんが、はじめに書いた手紙」を声に出して読みます。これは、句読点の有無やかぎの使い方、文字の表記によって、読みにくさがあることを実感させるためです。
そして、どこをどのように書き直せばよいか考えさせます。直す際の印の付け方、直し方を黒板で説明し、タブレットのシート(黒板と同じ形式の手紙シートを配付)に子供が書き込んだものを全体で確かめながら、黒板の手紙シートに書き込んでいきます。
3 教科書P121「はやしさんが書き直した手紙」を読み、書き直した点を確かめる
教科書P121「はやしさんが書き直した手紙」を大型提示装置や教科書で見せ、直しを書き込んだ手紙シートやタブレットに書き込んだ子供自身の手紙シートと読み比べをします。「はやしさんが書き直した手紙」は、全員で声に出して読みます。
読点について、教科書の手紙と子供一人一人、みんなで共有した黒板の手紙シートに違いが出てきます。ここでは、読点について、読みやすさに注目させ、主語や意味の切れに付けると読みやすくなることを押さえます。
また、全体で共有した際に、意見が出てこなかった箇所について、これから意識して見直す点として黒板にまとめます。はやしさんの手紙で気付かせるところは、次の4点です。
①句読点
②「え」と「へ」
③改行
④気持ちが届くか
最後に、「はじめに書いた手紙」と「書き直した手紙」を全員で音読して比べ、句読点や行などを正しく使った文章は読みやすいことを、実感を通して確かめます。
4 学習のまとめをする
口マークの掲示物を貼り、声に出して見直すと、間違いや読みにくいところが見付けやすくなることを全体で押さえます。
5 学習の振り返りと、次時の学習の見通しをもつ
学習の振り返りをノートに書きます。次時は、今回学習した文章の見直し方を生かし、文章を書き直す学習活動の予告をします。
板書を活用した授業の進め方(2/2時間目)
1 本時の学習のめあてを確かめる
月日・教材名を板書します。本時は、前時で学習した文章の見直し方を意識して、文章を実際に書き直すことを伝え、めあてを板書します。
2 前時で学習した内容を想起させる
前時で学習した文章の見直し方を想起させ、口型マーク(声に出すときにはこの記号を用いている)掲示物とともに、赤チョークで「声に出して読み、見直す」と板書します。次に、どのように直すかを振り返り、「間違いを直す(「は」「を」「へ」「っ」など)」「読みやすくする(読点)」ことを確かめ、意識付けます。前時の掲示物を活用し、句読点やかぎ、文字で気を付ける点を確かめることができるように黒板に貼ります。
3 教科書P121下の日記を見直し、書き直す
教科書P121下の日記シートを黒板に貼り、書いた目的を確認します。次に、黒板を使い、以下の手順で取り組むことを説明します。
①タブレット上で配付しておいた日記シートを使い、文章を声に出して読み、書き直す箇所を見付けて書き込む。
②教科書と同じマスのワークシートに書き直す(日記を書いた人になりきって、書き直す)。
③書き直した文章を声に出して見直す。
④書き直しが終わった子は、書き直した日記を写真に撮ってタブレット上に送り、自分と友達の書き直した日記を声に出して読み比べる。
そして、子供一人一人で書き直す活動に入ります。
4 書き直した日記を全体で確かめる
子供たちの発表を受け、書き直す箇所と正しい書き方を黒板の日記シートに赤ペンで書き込んでいきます。全体で共有後、大型提示装置で正しく書き直した日記を提示します。ここで、書き直す時間を設け、清書します。
最後に、はじめの日記と、自分の書き直した日記、全体で確かめて書き直された日記を、声に出して読み比べ、見直すことで読みやすい文章になることを、実感を通して確かめます。
5 学習を振り返る
文章を見直すときには、声に出して読むとよいことを振り返り、ノートにまとめます。
構成/浅原孝子