「こども大綱」とは?【知っておきたい教育用語】

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令和5年12月22日に閣議決定された、こども政策の基本的な方針を定める「こども大綱」について、解説します。

執筆/「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム

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子どもや若者が生きやすい社会を実現するための大綱

【こども大綱】
こども家庭庁が推進する、こども政策を総合的に推進するための大綱。こども大綱に基づいて、こども家庭庁がリーダーシップをとり、政府全体のこども政策を推進することとしている。2023(令和5)年12月22日に閣議決定された。

そもそも大綱とは、物事の基本や大元を指す言葉です。こども大綱は、こども家庭庁が掲げる「こどもまんなか社会」の実現に向けた、基本的な取組を実行していくための方針を定めています。こどもまんなか社会とは、すべての子ども・若者が身体的、精神的、社会的に幸福な生活を送ることができる社会を指します。

こども大綱の閣議決定にあたって、内閣府特命担当大臣である加藤鮎子大臣は、次のようなメッセージを寄せています(一部抜粋して紹介します)。

第1に、目指す「こどもまんなか社会」の姿を、こども・若者の視点で描き、それに対応する目標を定めました。
第2に、こども・若者が「権利の主体」であることを明示するとともに、こどもや若者・子育て当事者と「ともに進めていく」としました。
第3に、政策に関する重要事項について、こども・若者の視点でわかりやすく示すため、こども・若者のライフステージごとに提示しました。
第4に、こども大綱の下で具体的に進める施策について、今後、毎年、「こどもまんなか実行計画」を策定し、骨太の方針や各省庁の概算要求などに反映することにしました。
第5に、こども・若者、子育て当事者を始めとする様々な方々から、対面・オンライン・チャット、パブリックコメント、アンケート、ヒアリング、児童館や児童養護施設への訪問など、様々な方法で意見を聴き、いただいた意見を反映するとともに、こどもや若者にもなるべくわかりやすくフィードバックしました。

こども大綱は、全ての子どもと若者がウェルビーイングの向上を図っていけるよう、子どもと若者の意見を尊重することはもちろん、子育て当事者の意見も踏まえ、効果的な政策を推進していくための大綱なのです。

こども政策に関する基本的な方針

では、効果的な政策とはどのようなものなのでしょうか。「こども大綱(本文)(令和5年12月22日閣議決定)」によれば、政府が推進する「こども政策」では、日本国憲法、こども基本法およびこどもの権利条約の精神に則って、6本の柱を基本方針として示しています。

①こども・若者を権利の主体として認識し、その多様な人格・個性を尊重し、権利を保障し、こども・若者の今とこれからの最善の利益を図る
②こどもや若者、子育て当事者の視点を尊重し、その意見を聴き、対話しながら、ともに進めていく
③こどもや若者、子育て当事者のライフステージに応じて切れ目なく対応し、十分に支援する
④良好な成育環境を確保し、貧困と格差の解消を図り、全てのこども・若者が幸せな状態で成長できるようにする
⑤若い世代の生活の基盤の安定を図るとともに、多様な価値観・考え方を大前提として若い世代の視点に立って結婚、子育てに関する希望の形成と実現を阻む隘路(あいろ)の打破に取り組む
⑥施策の総合性を確保するとともに、関係省庁、地方公共団体、民間団体等との連携を重視する

こども家庭庁(PDF)「こども大綱」令和5年12月22日

以上の6本柱を土台として、真に、子どもおよび若者の幸福を中心に据えた社会の実現が期待されます。

子どもの貧困問題や児童虐待、自殺、障害児への支援不足など、子ども・若者を取り巻く社会課題が山積していくなかで、少子化にも拍車がかかっています。少しでも、若年層が将来に希望を見いだせるよう、大人が一丸となって「こどもまんなか社会」を築いていかなければなりません。

▼参考資料
こども家庭庁(ウェブサイト)「こども大綱の推進
こども家庭庁(PDF)「こども大綱」令和5年12月22日
こども家庭庁(PDF)「こども大綱(令和5年12月22日閣議決定)【説明資料】」令和5年12月22日

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