小1国語科「よくきいて、はなそう」全時間の板書&指導アイデア

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国語科 令和6年度版 新教材を活用した授業づくりー文部科学省教科調査官監修の実践提案ー
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文部科学省教科調査官監修「教科指導のヒントとアイデア」
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文部科学省教科調査官の監修のもと、令和6年度からの新教材、小1国語科「よくきいて、はなそう」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

 小一 国語科 教材名:よくきいて、はなそう(光村図書・こくご 一上)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/相模女子大学学芸学部 子ども教育学科専任講師・成家雅史
執筆/東京学芸大学附属小金井小学校・廣瀬修也

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、自分が好きな遊びを伝え合います。伝えた後は、お互いに感想を言ったり質問をしたりします。この学習では、「聞くこと」と「話すこと」に関連した資質・能力を身に付けることをねらいとします。
まず、「聞くこと」についてです。単元名が、「よくきいて、はなそう」となっています。「聞くこと」が先に来ていることから分かるように「聞くこと」を重視します。
「聞くこと」に関連して身に付けさせたい資質・能力は大きく二つあります。
一つ目が「話し手が伝えたいこと、自分が聞きたいと思うことを落とさないように集中して聞くこと」、二つ目が「話の内容を捉えて感想をもったり質問をしたりすること」です。
次に、「話すこと」の資質・能力として、「言葉によって物や事を伝えることができること、自分の経験したことを伝えることができることに気付くこと」が考えられます。
普段、何気なく使っている言葉の働きに気付けることが重要です。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

ペアになり、相手の好きな遊びが何かを質問して、質問された側が好きな遊びを答えることから始めます。本単元を学習するのは5月上旬、大型連休が明けた頃でしょうか。入学して1か月が経っていますが、まだ学校という空間に対して不安を抱えている児童も一定数いるかもしれません。そのような中で、近くにいる友達と「好きな遊び」についてお話をすることは、言葉の学びとなることに加え、周りの児童のことを知る機会にもなります。

活動を始める前に、ペアを作ります。いきなり好きな人同士にすると、ペアを作れない児童がいるかもしれません。隣の席・出席番号が近い等、学級の実態に応じてペアの作り方は教師が指示してよいでしょう。
ペアができたら、活動の仕方を示します。最初に尋ねる子が「好きな遊びを教えて」と言います。
それを受けて答える話し手が「私は、〇〇が好きだよ。」と答えます。
次に、聞き手が「僕も好きだよ」「どんなおにごっこをしているの」というように、感想を言ったりさらに質問をしたりします。このやりとりにより、話し手は自分の話に興味をもってもらえたという達成感を味わうことができるでしょう。

話が終わったら、聞き手と話し手を交代します。相手のことを質問する立場、自分のことを話す立場の両方を経験します。これにより、言葉によって自分のことを伝えられる・相手のことを知ることができることに気付くことが本単元のねらいとなります。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 日常での遊びと関連したことばの学び

1年生にとって学校という空間は、とても大きなもので、いろいろなことができるという期待感に溢れています。入学して1か月、新しい友達ができたり、学校での遊びを経験したりしていることでしょう。その中で、1年生はどのような言葉のやりとりをしているでしょうか。
例えば、「一緒に遊ぼう」「いいよ、何して遊ぶ?」「おにごっこしようよ」というように、自然と言葉を交わしているかもしれません。1年生は遊ぶことが大好きです。同じクラスの子が遊んでいたら「自分もやりたい」と感じて遊びの輪に入ろうとする姿を、読者の方々も見かけたことがあるのではないでしょうか。
本単元では、児童の「友達と一緒に遊びたい」という思いをきっかけに、言葉の学びに向かえることをねらいとします。

単元の導入で、どんな遊びが好きかを児童に聞きます。様々な答えが返ってくるでしょう。次に、「おにごっこが好きな人はいますか?」と聞きます。おそらく、数人が手を挙げるでしょう。一緒に遊んでいる子たちは同じ遊びが好きだと互いに知っている、もしくは感じているのではないでしょうか。
このように、児童の声を聞いていると「自分の好きな遊びのことも伝えたい」「あの子はどんな遊びが好きなんだろう」と、好きな遊びを聞いたり伝えたりしたくなることが期待できます。
互いの好きな遊びを知るためには、質問の仕方や答え方を学ぶ必要があることに児童たちが気付くことで、主体的な学びが生まれるようにします。

〈対話的で深い学び〉 相手の好きな遊びを聞き、感想を伝えたり質問をしたりする

本単元では、「好きな遊びを教えて」という質問を起点にして、やりとりが始まります。
しかし、「好きな遊びを教えて」「いいよ、私はおにごっこが好き」というやりとりだけでは対話的とは言えません。対話を通して、自分の考えが深まることで対話的な学びが成り立つと言えるでしょう。そこで、相手から好きな遊びを聞いた後がポイントとなります。
「おにごっこが好き」と答えてもらったら、「僕もおにごっこが好きで、砂場の近くでおにごっこをしているけど、この子はどこでおにごっこをしているのかな。」というように考え「どこでおにごっこをしているの?」と質問をします。質問を受けた児童は、「体育館の近くだよ」と答え、好きな遊びについてより詳しい内容を振り返りながら対話することができます。こういったやりとりが続くと、自分が好きな遊びについて、より詳しい情報を伝える言葉を考え出すことにつながっていきます。

この時期の1年生にとっては、相手の話を受けて感想や質問を考えることが言葉の学びにつながる、と考えられます。相手に質問するためには、自分の中で「問い」が生まれることが必要です。本単元では「友達のことをもっと知りたいな」という思いから「問い」が生まれると想定しています。

教科書の例では、次のような流れが紹介されています。

A「すきなあそびをおしえて。」
B「わたしは、おにごっこがすきだよ。」
A「ぼくもすきだよ。」
B「へえ、そうなんだね。」
A「どこでおにごっこをしているの。」
B「こうていでよくするよ。」

A児は、B児から好きな遊びを聞いた後に、「ぼくもすき」という感想と「どこで遊ぶのか」という質問をしています。自分もおにごっこが好きという返答と、相手のことをもっと知るための質問をしています。このように、自分自身と重ねながら話を集中して聞いたり、相手のことをもっと知るための質問をしたりすることによって、本単元における目標を達成できることを目指していきます。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

1年生の5月の時点では、まだ1人1台端末を使い始めていない学校もあるかもしれません。
したがって、本単元では、児童が自ら端末を使った実践例は示しません。どのように使っていくか、学校や学年と模索する時期だと思います。
その場合、例えば、家庭に持ち帰ることができるのであれば、保護者に児童たちの学習の様子を録画してもらって、児童が自分の話す様子を視聴する機会にしてもよいでしょう。
保護者も忙しいと思いますが、1分ほど児童の学習に付き添ってもらうことで、家庭学習の環境を整えることにつなげたいものです。

6. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: よくきいて、はなそう

【主な学習活動】
第1次(1時、第2次(2時
① 教科書を読み、教師の説明を聞いて、活動内容について知る。
  ペアを作り、好きな遊びについて聞き合う。
  ペアで話した内容を、学級全体に紹介する。

② 前時の活動を振り返り、好きな遊びを紹介し合う方法を確認する。
  前時とペアを変えて、好きな遊びを聞き合う。
  活動の感想を発表する。

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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