小4国語科「つながりに気をつけよう」全時間の板書例&指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小4国語科「つながりに気をつけよう」(光村図書)の全時間の板書例、ワークシート例、発問例、想定される児童の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小四 国語科 教材名:つながりに気をつけよう(光村図書・国語 四下)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/大妻女子大学家政学部児童学科教授・樺山敏郎
執筆/北海道教育庁義務教育課指導係・平山道大

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、これまで自分が書いた文章について「分かりにくい」と感じた経験を振り返り、主語と述語との関係、修飾と被修飾の関係、指示する語句と接続する語句の役割などについて理解を深め、分かりやすい文章を書くために必要なことについて考えます。
実際の学習では、主語と述語が正しく対応していない文や修飾と被修飾の関係が明確でない文、一文が長いため文を短く分けた方がよい文章など、読みづらい文をどのように書き直すとよいかを考え、「分かりやすい文章」を書くために大切なことをまとめます。
本単元を通して、主語と述語との関係や修飾と被修飾の関係に着目し、文がどのように組み立てられているかを理解できるようにします。また、指示する語句や接続する語句を適切に使うことで、文や文章をより簡潔に表現したり、文や文章などが相互にどのように関わるのかを明確にしたりすることができるようにします。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、自分の書いた文章について「分かりにくい」と感じた経験を想起し、文章を分かりやすく書くポイントを自分なりにまとめる言語活動を設定します。
本単元では特に、①主語と述語の対応、②修飾と被修飾の関係、③一文の長さ(指示する語句と接続する語句)の3点に着目し、文章を分かりやすく書くポイントについて考えます。 
授業では、教師が用意した文について、なぜ分かりにくいのか、どのように書き直すと分かりやすくなるかを考えるとともに、1人1台端末を活用し、分かりやすく書くポイントについて、教科書の記述やインターネットから情報を収集したり、収集した情報を付箋機能によって整理したりしながら、学習したポイントを自分なりにスライドにまとめていきます。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 これまでの経験を想起し、学習の目的を明確化

導入では、これまでに自分が書いた文章について「分かりにくい」と感じた経験を振り返ります。
学級の中でそれぞれの経験を交流するとともに、教師が「分かりにくい」と感じた文章を実際に紹介することにより、児童一人一人が自身の経験を振り返ることができるようにします。
その上で、本単元では「分かりにくい」と感じた原因は何か、どうすれば分かりやすい文章を書くことができるかを考え、分かりやすく書くためのポイントを学習することを確認します。
児童が今後、様々な文章を書く際に、それらを分かりやすく書くために必要な学習であることを実感し、学習の目的を明確にすることにより、主体的に学習に取り組むことができるようにします。

〈対話的な学び〉 個別の学習を進めるために、クラウド上で互いの学習状況を共有

本単元では、分かりやすい文章を書くためのポイントについて、児童一人一人が個別に情報を収集、整理し、スライドにまとめていきます。個別の学習からは、対話的な学びが生まれないように感じるかもしれませんが、個別に学習するからこそ、友達の学習状況を参考にしたり、確認したりする必然性が高まります。

学習を進める際は、常に互いの学習状況を共有できるよう環境を整え、いつでも友達のスライドを参考にできるということを事前に児童全員が分かっていることが大切です。1人1台端末を活用し、クラウド上でそれぞれの学習状況を常に見合うことができるようにするとともに、授業の中で交流する場面を設定するだけでなく、随時、困ったり、悩んだりした際に、友達に相談したり、クラウド上で友達の取組を参考にしたりすることを奨励することにより、自然発生的に個々の必要に応じた対話的な学びが生まれるようにします。

〈深い学び〉 言葉と言葉、文と文のつながりを視覚化

本単元では、主語と述語との関係、修飾と被修飾の関係、指示する語句と接続する語句の役割などについて理解できるよう、言葉と言葉、文と文などのつながりに注目します。その際、それぞれの関係を確実に捉えることができるよう、線や記号を用いてつながりを視覚化していくことが有効です。
例えば、主語を四角で囲み、述語に波線を引くとともに、対応する主語と述語を矢印でつなぐなど、視覚化する例を学級全体で確認することにより、児童が個別に学習を進める際にも、適宜、つながりを視覚化し、主語と述語の関係の適否を判断したり、正しく書き直したりできるようにします。
四角や丸で囲んだり、波線や二重線、破線を引いたりするなど、視覚化する方法は様々ですが、学級の実態に応じて、授業の中でのルールを決めておくことで、学級全体で確認したり、話し合ったりする際に、児童が混乱しないようにすることができます。
なお、つながりを視覚化することについては、第5学年及び第6学年の知識及び技能 (2) 情報の使い方に関する事項イとも関連しますが、本単元の指導事項ではないため、視覚化することが目的とならないよう留意する必要があります。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)端末とクラウド上のアプリをベースに個別に学習を進める

本事例では、学級全体で単元の学習課題を確認し、学習の見通しを立てた後、児童一人一人が課題解決に向けて個別に学習に取り組んでいくこととします。

その際、必要になるのが、1人1台端末とクラウド環境です。

個別に学習を進める場合、児童は、分かりやすい文章を書くためのポイントについて学習するために、まずは教科書を自力で読むことになりますが、教科書を読んでも理解することが難しい児童については、個に応じた指導が必要になります。
その際、教師が直接個別に指導することと合わせて、例えば、主語・述語や修飾語に係る学習用の動画のリンクなどを用意しておき、児童が必要に応じて随時視聴することができるようにするなど、教科書以外で児童が自ら学習内容を学ぶことができるよう手立てを講じます。

また、学習したポイントについて、児童一人一人が個別に端末上のスライドアプリでまとめる際には、友達のスライドを随時見られるようにすることで、まとめ方などを参考にすることができるようにします。

(2)主語と述語の対応や修飾と被修飾の関係についてウェブサイト等で情報を得る

主語と述語の対応や修飾と被修飾の関係など、分かりやすい文章を書くためのポイントについて、教科書を自力で読んでも理解が十分に深まらない場合に、1人1台端末を活用し、ウェブサイト上の学習コンテンツを活用することが考えられます。

NHK for schoolの動画など、本単元と関連のあるコンテンツを教師が事前に確認し、そのURLを児童に配付しておくことにより、動画を視聴したいと考えた児童が主体的に活用できるようにします。

また、教師が用意したコンテンツ以外にも、児童が自ら検索エンジンを活用して学習コンテンツを探すことも可能です。

ただし、これらの学習コンテンツを探すことに終始し、学習が進まないことも考えられますので、児童や学級の実態に応じて、個に応じた指導の手立てを十分に検討することが大切です。

<参考:本単元の学習内容に関連のあるコンテンツの例>

□ くわしくすることば | ことばドリル | NHK for School
https://www2.nhk.or.jp/school/watch/bangumi/?das_id=D0005150207_00000

□ だれのこと言ってるの?~必要な主語~ | わかる国語 読み書きのツボ 5・6年 | NHK for School
https://www2.nhk.or.jp/school/watch/bangumi/?das_id=D0005150025_00000

□ せすじをまっすぐ~ねじれ文を直す~ | わかる国語 読み書きのツボ 5・6年 | NHK for School
https://www2.nhk.or.jp/school/watch/bangumi/?das_id=D0005150027_00000

(3)「分かりやすい文章を書くポイント」をスライドにまとめる

児童がそれぞれ個別に学習した「分かりやすい文章を書くポイント」については、1人1台端末を活用し、Googleスライドなどのプレゼンテーションソフトもしくはワープロソフトでまとめます。
本単元では、①主語と述語の対応、②修飾と被修飾の関係、③一文の長さ(指示する語句と接続する語句)の3点に着目しますので、それぞれスライド1枚ずつにまとめることとします。

スライドにまとめる際には、次の例のように、「ポイント」「例文(ビフォー&アフター)」「補足の解説文」などを記載するようにします。

●「分かりやすい文章を書くポイント」をスライドにまとめる例

「分かりやすい文章を書くポイント」をスライドにまとめる例ー<ポイント①:主語と述語の対応を確かめる>
「分かりやすい文章を書くポイント」をスライドにまとめる例ー<ポイント②:修飾語がくわしくしている言葉をはっきりさせる>
「分かりやすい文章を書くポイント」をスライドにまとめる例ー<ポイント③:一文の長さを工夫する>

上記三つのスライドは、あくまでも例です。児童の実態に応じて、こうした作成例をどれだけ具体的に示すかを検討することが大切です。
また、児童が作成したスライドについては、レイアウトや見た目のきれいさではなく、指導事項を押さえた内容となっているかを見取り、評価する必要があります。
なお、スライドは児童が個別に作成しますが、互いのスライドをいつでも自由に閲覧できるようにすることで、友達のスライドを参考にしながらまとめることができます。

6. 単元の展開(4時間扱い)

 単元名: つながりに気をつけよう

【主な学習活動】
1時
自分の書いた文章について「分かりにくい」と感じた経験を想起し、分かりやすい文章を書くためのポイントについて学習するという課題と学習計画を確認する。
学習課題:つながりに気を付けて、分かりやすく書くポイントを見つけよう

① 学習の見通しをもつ
・教科書に記載されている例文を確認し、これらを参考に「分かりやすい文章を書くポイント」を見つけることを確認する。
・学習を進めるために動画コンテンツなどを活用できることやスライドへのまとめ方を確認する。 端末活用(1)(2)(3)〉

2時
② 主語と述語の対応について考える。
・例文や教師の用意した文の述語を書き直し、分かりやすい文に直す。
・学習したポイントをスライドにまとめる。

③ 何を修飾しているのかを明確にすることについて考える。
・例文や教師の用意した文に読点を打ったり、言葉の順番を入れ替えたりして、分かりやすくする。
・学習したポイントをスライドにまとめる。 端末活用(1)(2)(3)〉

3時
④ 一文の長さについて考える。
・例文や教師の用意した文を、内容の切れ目で分けたり、省いたり、指示語に置き換えたりすることで分かりやすくする。
・例文を読み、一文にまとめることで分かりやすくなることもあることを知る。
・学習したポイントをスライドにまとめる。 端末活用(1)(2)(3)〉

4時
⑤ これまでの学習を生かし、分かりやすい文章に書き直す。
・これまでにまとめた「分かりやすい文章を書くポイント」を基に、P104 の文章を、分かりやすくなるように書き直す。

全時間の板書例、発問例、児童の発言例

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

イラスト/横井智美

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