小1国語「どうぶつの赤ちゃん」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回の教材は、説明文「どうぶつの赤ちゃん」です。本教材の学習は、比較する力を付けることが大きなねらいです。そして、最終的にどうぶつの赤ちゃんシリーズの本から、紹介する動物の赤ちゃんを選び、赤ちゃんシートを作成し、タイプ別に分けるという学習活動を行います。そのため、子供が比較しやすいように、一つ一つの観点で比べることができる板書の工夫を紹介します。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・櫛引千恵(せせらぎの会)

 
教材名 「どうぶつの赤ちゃん(光村図書)

単元の計画(全10時間)

1 題名、教材「どうぶつの赤ちゃん」を読み、感想を話し合う。
2 文章全体の構成をつかみ、2つの問いの内容を読み取る。
3 問い一について、ライオンの赤ちゃんシートを作成する。
4 問い一について、しまうまの赤ちゃんシートを作成する。
5 問い二について、ライオンの赤ちゃんとしまうまの赤ちゃんシートを作成する。
6 ライオンの赤ちゃんとしまうまの赤ちゃんを比べる。
7 「カンガルーの赤ちゃん」の文章を読み、カンガルーの赤ちゃんシートを作成する。
8・9 どうぶつの赤ちゃんシリーズの本から、紹介する動物の赤ちゃんを選び、赤ちゃんシートを作成する。
10 クラスの友達の作成した赤ちゃんシートを読み合い、それぞれの赤ちゃんを比べて、タイプ別(ライオンタイプ、しまうまタイプ、カンガルータイプなど)に分類する。

板書の基本

文章全体のまとまりが分かる板書

教材「どうぶつの赤ちゃん」は、7つの段落から構成されています。どの段落も、説明するものの主語から始まり、文章のまとまりが捉えやすくなっています。

そこで、各段落に①から⑦の番号を振り、それぞれの段落の最初の文の主語を板書していきます。すると、文章全体のまとまりがよく分かります。

〇一つ一つの観点で比べることができる板書

この教材の学習は、思考力の「比較」の力を付けることが大きなねらいです。

そのために、比較するときには、同じ観点で、ライオンの赤ちゃん、しまうまの赤ちゃんを比較できるようにします。

そこで、表を活用して、観点別に比較できるようにします。この学習を通して、表の見方、書き方も身に付けられるようにします。

板書を利用した授業の進め方(2/10時間目前半)

小1国語「どうぶつの赤ちゃん」板書の技術  板書
2/10時間目前半の板書

1 本時のめあてを確かめる

月日、題名、めあてを板書します。このとき、子供たちにも同じように、ノートに月日、題名、めあてを書かせます。めあてを確かめ、「おはなしのまとまり」ということを意識できるようにします。

2 段落(大きなまとまり)に番号を付けながら、教材を読む

教科書の「どうぶつの赤ちゃん」の最初の段落に①と書かせます。次の1段下がっているところに②と書くことを話し、教師といっしょに教材文を読んでいきます。読みながら、1段下がっているところを見付けたら、②と書かせます。同様にして、③から⑦まで、読みながら段落番号を書き込ませます。

3 段落番号と、段落の最初の文の主語を板書する 

1段下がっているところは、全部で7つあったことを確かめます。そして、①の段落の最初の文の「~は、」のところを確かめ、「どうぶつの赤ちゃんは、」と板書します。

②は、「ライオンの赤ちゃんは、」と板書し、③から⑦まで、同様にして段落番号と段落の最初の文の主語を板書していきます。

4 板書を見て、気付いたことを発表させ、確かめ読みをする

板書から、気付いたことを発表させます。②から④は「ライオンの赤ちゃんは、」で始まっていること、⑤から⑦は「しまうまの赤ちゃんは(が)、」で始まっているので、②から④は、ライオンの赤ちゃんについて書いてあるのだろう、⑤から⑦は、しまうまの赤ちゃんについて書いてあるのだろうという予測を立てます。そのことを確かめるために、もう一度、教材を1文ずつ読んでいきます。

①から④は、すべてライオンの赤ちゃんのことについて書かれていたので、②から④の下の部分に「ライオンの赤ちゃんのこと」と板書します。⑤から⑦は、「しまうまの赤ちゃんのこと」と板書します。
 
5 ①の段落について、確かめる

①を読み、どうぶつの赤ちゃんについて、2つの「といの文」があることを確かめ、板書します。

1つ目の問いには、「 一 」と赤チョークで番号を書き、問いの文を板書します。そして、「生まれたばかりのようす」と、問いの内容を短くまとめて書き加えます。

2つ目の問いには、「 」と黄チョークで番号を書き、問いの文を板書します。そして、「大きくなっていくようす」と、書き加えます。

板書を利用した授業の進め方(2/10時間目後半)

小1国語「どうぶつの赤ちゃん」板書の技術  板書
2/10時間目後半の板書

1 ライオンの赤ちゃんについて、「生まれたばかりのようす」と「大きくなっていくようす」の答えが書いてあるところの見当を付ける

②のまとまりを読みます。②のまとまりは、4文で構成されています。

1文めは、「生まれたときは、」という叙述に続き、生まれたばかりのときの「大きさ」が書かれています。ですから、生まれたばかりのようすであることが分かります。

2文めは、「目や耳」のことについて書かれています。3文めは、おかあさんのこと、4文めは、そのおかあさんにあまりにていないことが書かれています。

2文めと4文めについて、これは、「生まれたばかりのようす」か、「大きくなっていくようす」かを問います。どちらも、「生まれたばかりのようす」であることを確かめます。②のまとまりには、「生まれたばかりのようす」のことが書かれているという見当が付きます。そこで、黒板の②「ライオンの赤ちゃんは、」の左に、赤チョークで「 のこたえ」と板書します。

続いて、③のまとまりを読みます。③は、ライオンの赤ちゃんが移動するときの様子が書かれています。このことについても、「生まれたばかりのようす」か、「大きくなっていくようす」かを問います。ライオンの赤ちゃんは、すぐには、歩くことができないので、自分で歩くことができるまでは、おかあさんに、口にくわえて運んでもらうということが分かってきます。

③は、生まれたばかりのときだけではなく、生まれてからしばらくの間ということから、「大きくなっていくようす」であると見当が付きます。そこで、黒板の③「ライオンの赤ちゃんは、」の左に、黄チョークで「 のこたえ」と板書します。

同様に、④のまとまりについても、「大きくなっていくようす」であることを確かめ、黒板の④「ライオンの赤ちゃんは、」の左に、黄チョークで「 のこたえ」と板書します。

2 しまうまの赤ちゃんについて、「生まれたばかりのようす」と「大きくなっていくようす」の答えが書いてあるところの見当を付ける

ライオンの赤ちゃんのときと同様に、⑤から⑦のまとまりを読みます。

⑤の「生まれたときに、」という叙述を基に、「生まれたばかりのようす」が書いてあると見当を付けます。⑤の「しまうまの赤ちゃんは、」の左に、「 のこたえ」と赤チョークで板書します。

⑥⑦は、「大きくなっていくようす」と見当を付けます。⑥「しまうまの赤ちゃんは、」⑦「しまうまの赤ちゃんが、」の左に、それぞれ、「 のこたえ」と板書します。

*⑥⑦での見当について、見当が合っていたかどうか、次時以降に確かめていきます。

3 学習の振り返りをする

今日の学習を振り返ります。板書を見ながら、お話のまとまりについて、分かったことをノートに書かせます。

板書を利用した授業の進め方(6/10時間目)

小1国語「どうぶつの赤ちゃん」板書の技術  板書
6/10時間目の板書

1 本時のめあてを確かめる

月日、題名、めあてを板書します。このとき、子供たちにも同じように、ノートに月日、題名、めあてを書かせます。

2 ライオンの赤ちゃんとしまうまの赤ちゃんを比べる表を作成する

まず、表の枠を書きます。

縦軸には、ライオンの赤ちゃん、しまうまの赤ちゃんのカードを貼ります。

横軸には、「生まれたばかりのようす」での観点となる言葉を想起させ、「大きさ」「目」「耳」「おかあさんに」のカードを順番に貼っていきます。

縦軸と横軸のカードが貼れたら、該当する欄に、「子ねこぐらい」「やぎぐらい」など、これまでの学習で作成したカードを子供に貼らせます。このカードは、前時までの学習で、赤ちゃんシートに書き込んだ言葉をカードにしたものです。

赤ちゃんシート

さらに、「大きくなっていくようす」についても、横軸の言葉を想起させて、「うごき」「おちちだけ」「じぶんでたべる」というカードを貼ります。

該当する欄に、これまでの学習で作成したカード「じぶんではあるけない。」「二か月ぐらい」などのカードを子供に貼らせます。

3 一つ一つの観点で、ライオンの赤ちゃんとしまうまの赤ちゃんを比べる 

表が完成したら、「大きさ」「目」「耳」など、一つ一つの観点について、比べていきます。

比べて分かったこと、気付いたことを、表の左に「くらべて」という欄を作り、書き込んでいきます。

一つ一つの観点の比較を通して、子供から出された気付きを板書していきます。ライオンの赤ちゃんが「よわよわしいこと」、反対に「しまうまの赤ちゃん」がしっかりしていること、たくましいことが挙がってきます。

そこで、そのわけを問い、子供に考えさせます。ライオンの赤ちゃんは、どうぶつの王様と言われるほど強いお母さんに守られているから、ゆっくり大きくなっていくこと、しまうまの赤ちゃんは、強い動物に襲われそうになったとき、いつでも逃げることができるように、早く大きくなっていくということを子供たちの話し合いを通して、整理していきます。子供たちから、「ライオンは、肉食動物。」「しまうまは、草食動物。」ということも挙げられます。「おそう」「おそわれる」の立場を確かめます。

そして、他のどうぶつの赤ちゃんの様子はどうなのだろうという問いを引き出します。

その問いを板書して、次時の「カンガルーの赤ちゃん」の学習につなげていきます。

4 学習の振り返りをする

今日の学習について板書を見ながら振り返り、ノートに書かせます。

「きょうの学しゅうで、わたしは、~とわかりました。」

「きょうの学しゅうで、わたしは、~ができるようになりました。」

「これから、~の学しゅうをしたいです。」

 

構成/浅原孝子

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