小3特別活動 学級活動編「バランスのよい食事」指導アイデア

連載
【文部科学省視学官監修】特別活動 指導アイデア

文部科学省視学官

安部恭子

文部科学省視学官監修による、小3特別活動の指導アイデアです。11月は、<「バランスのよい食事」学級活動(2)エ 食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成>の実践です。

授業を通して、食に関する自分の課題に気付き、よりよい食べ方を考えます。「健康な体をつくるために、栄養バランスを考えていろいろなものを食べよう」という意欲を高め、これからの「望ましい食習慣の形成」へつながる力を育てます。今回の実践は、栄養教諭と連携して行う展開を紹介します。

執筆/北海道公立小学校教諭・髙川靖子
監修/文部科学省視学官・安部恭子
 北海道公立小学校校長・山下尊子

年間執筆計画

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4月 学級活動(1) なかよし集会をしよう ※学級会オリエンテーションをかねて
5月 学級活動(1) 学級を楽しくする係をつくろう
6月 学級活動(1) 学級あそびをしよう
7月 学級活動(1) 学級のマークをつくろう
9月 学級活動(1) 前期がんばったね集会をしよう
10月 学級活動(3) ウ 進んで取り組む家庭学習
11月 学級活動(2) エ バランスのよい食事
12月 学級活動(1) スポーツ集会をしよう
1月 学級活動(1) 学級カルタをつくろう ※学級の取組を振り返って
2月 学級活動(3) もうすぐ4年生 ※クラブ活動のオリエンテーションも含めて
3月 学級活動(1) 成長を伝える会をしよう ※6年生を送る会、学期末参観、学年集会などの場面で

学級活動(2) エの指導について

本題材「バランスのよい食事」は、学級活動(2)エ「食育の観点を踏まえた学校給食と望ましい食習慣の形成」に関わるものです。授業を通して、食に関する自分の課題に気付き、よりよい食べ方を考えます。本題材の学習を通して「健康な体をつくるために、栄養バランスを考えていろいろなものを食べよう」という意欲を高め、これからの「望ましい食習慣の形成」へつながるよう自己指導能力や主体的に取り組む力などを育てます。

栄養教諭との連携

学校給食は、子供たちのために栄養バランスや量、食材、調理方法などとても細やかに考えられて作られています。栄養教諭や学校栄養職員の専門性を生かし、食育や食指導について連携して指導を行うことが大切です。本題材も栄養教諭とTTでいっしょに授業を展開することで、より効果的な指導が期待できます。本時の学習では、「つかむ→さぐる→みつける→決める」の学習過程で、栄養教諭と連携して行う展開を紹介します。TT授業が難しいときは、「さぐる段階」などで活用できるように、事前に栄養教諭のインタビュー映像を撮っておくとよいでしょう。好き嫌いせず何でも食べることが健康につながるということを、発達の段階に即して、栄養教諭から子供たちに分かりやすく伝えていただきます。

食に関する指導の目標例

本時のねらい

体がぐんぐん成長する中学年の時期に、好き嫌いをせずにしっかり食べることが、健康な体をつくることになると知り、食習慣を考える機会をつくります。バランスよく食べると、元気が出て勉強もできるようになり、筋肉が付いて運動もできるようになると分かることで、苦手なものも食べようという気持ちが育ちます。

学級活動(2)では、学級での話合いを生かして、一人一人の子供が「私はこのめあてや方法でやってみよう」と、自分の課題に合った具体的なめあてや実践方法を決め、実践に向けて取り組んでいくことをねらいとします。TTで行う場合は、事前の打合せを行うとともにT1、T2の役割や指導内容を明確にして指導案を作成するとよいでしょう。

事前の指導

① 事前アンケート

事前アンケートで、子供たちの給食に対する意識や実態を調べます。毎日食べている給食について回答することで、子供は自分の日常を振り返ることができます。今回は、栄養バランスについて考えるために、苦手な食材を聞きます。ワークシートや1人1台端末を使用して、子供たちが短時間で取り組めるようにするとよいでしょう。

※事前アンケートを生かして好きな献立や食材のランキングを調べて導入で提示し、食材やメニューを予想させて、興味関心を高める方法も考えられます。

② 残食写真の活用

献立や食材によって残食が変わるということが分かるように、子供たちが食べ終わって食べ残しを戻した後の食缶の写真を撮っておくことも考えられます。

③ 食物アレルギーの子供への配慮

クラスの中に食事制限をしている子供がいるときは、本時のめあてや展開を配慮するとともに、実践目標が適切かを吟味する必要があります。また、この題材を扱うときに、食物アレルギーは好き嫌いとは違うものであるということを、学級の子供たちに改めて伝えるようにしましょう。

板書計画

① つかむ 

事前アンケートの結果から、気が付いたことや感じたことを出し合い、食習慣への関心を高めます。表やグラフなどで、アンケート結果を分かりやすく表示し、気付いたことを話し合います。また、食缶に戻された残食の写真を掲示し、食べ残しを意識できるようにすることも考えられます。

※写真を提示する際には、残食した子供を特定したり、暗に責めたりすることのないように、十分留意しましょう。

給食をいつも全部食べている人は、半分くらいだね。ぼくも時々残してしまうことがあるよ。

玉ねぎとピーマンは苦手な人が多いなぁ。やっぱり野菜が苦手な人が多いね。

メニューによって残る量が違うんだね。知らなかったよ。

② さぐる

栄養については、まだよく知らない子供が多いので、栄養教諭にバランスよく食べることの大切さについて話してもらうようにします。子供たちの興味を高め、主食もおかずも偏りなくいろいろと食べることで健康な体づくりにつながるということが理解できるように、クイズを取り入れたり、食べ物のイラストなどを提示したりすることが考えられます。

クイズ  食べ物クイズを出して、骨を丈夫にする食品やエネルギーの元になる食品を考えることをきっかけに、偏りなく食べることの大切さに気付くことができるようにします。
ミニ知識  玉ねぎは血液をサラサラにする、キュウリは体を冷やす、ブルーベリーは目の疲労回復を助けるなど、食材のミニ知識をきっかけに、野菜を取ることの大切さに気付くことができるようにします。
まごわやさしい  「豆・ごま・ワカメ・野菜・魚・しいたけ・いも」の7種類の食材を取ると健康的な食生活を取れると言われている合言葉をきっかけに、栄養のバランスについて考えることができるようにします。

<食べ物クイズ>(ダウンロード可)

<ダウンロード>
<食べ物クイズ答え> 1.のり 2.じゃがいも 3.たまねぎ

②「さぐる段階」で、栄養教諭に話をしてもらう場合は、子供の発達の段階に合わせて内容を重点化した資料を用意してもらうとよいでしょう。「給食の献立の秘密」や「献立クイズ」などから、栄養バランスについて話していただくことも考えられます。

TT授業の②「さぐる段階」では栄養教諭の話を中心に授業を展開しますが、お任せしてしまうのではなく、学級担任は栄養教諭の話を基に板書したり、栄養教諭とやりとりしたりしながら、授業を進めるようにします。

献立の秘密  牛乳が毎日出ている理由や、低・中・高学年でパンの大きさが違うことなどから、給食が栄養バランスや量を考えて作られていることを伝えます。
献立クイズ  給食の献立から1品をマスキングし、何を加えるとよいかをクイズで考えさせることをきっかけに、栄養バランスについて指導します。

(栄養教諭)
野菜にもお肉にも、それぞれの食材に大切な働きがあることが分かりましたね。みんなが健康に元気に過ごすためには、好き嫌いせずバランスよく食べることが大事なのですね。

③ 見つける 

バランスよく食べる方法を話し合います。苦手と思っていたものを食べられるようになった経験をもつ子供に発表してもらったり、苦手な物もまず一口だけ食べてみるなど、食べられるようになるこつを話し合ったりするのもよいでしょう。

好きな物を先に全部食べるより、ご飯とおかずと牛乳を、交互に食べるとよいと思います。

前はピーマンが苦手だったけど、友達がおいしいって言ってたから食べてみたら、食べられるようになったよ。

わたしは苦手なものを先に食べて、その後に好きなものを食べるようにしています。

苦手なものも一口だけがんばって食べるようにしていたら、だんだん食べられるようになったよ。

※栄養教諭は、子供たちから出された方法のよさを認めるとともに、子供たちから出されていない方法があれば紹介するようにします。

「鼻をつまんで牛乳で飲み込む」のように、望ましくない食べ方が出された場合、「そういう方法もあるんだね」と認めてあげるようにしますが、板書には「よりよい方法」を示すようにします。

④ 決める

話合いで出された意見を参考にして、自分に合った具体的なめあてを決めます。努力すれば達成できるめあてになっているかを考えさせ、無理なめあてにならないようにします。「今の自分の食べ方は~だから、□□するとよくなる」と自分の立てためあてをグループで交流します。友達から励ましの言葉やアドバイスをもらうことで、自分のめあてを見直すことができます。決めためあてを何人かの子供に全体の場で発表してもらうことも子供たちの見方を育てていきます。学級担任と栄養教諭は机間指導を行い、必要に応じて子供たちに助言しましょう。
意思決定しためあてを、実践カードに記入します。

実践カード<バランスのよい食事>(ダウンロード可)

<ダウンロード>

今までは苦手でも一口だけは食べようとしていたけれど、これからはもう一口がんばって、半分食べるようにしたいです。

いつも残さず食べているから、これからも続けていきます。それから、よく噛んでしっかり味わって食べるようにします。

食事のマナーや給食当番の仕方などに気持ちがいく子供がいたら、そのことを認めつつ、本来のねらいである「栄養バランス」と「自分の食べ方」について考えるように、助言しましょう。
普段から好き嫌いのない子供には、よく噛んで食べることやおかわりの仕方などについて、アドバイスするとよいでしょう。

事後の指導

① 決めたことの実践

本時の後、すぐにがんばりカードを使って実践します。給食を食べる挨拶のときに声をかけ、自分のめあてを意識して食べることができるようにするとよいでしょう。5日間取り組む中で、「今日もがんばったよ」などの子供たちのつぶやきが出たり、がんばっている友達に気付く子供が増えていったりすることが期待できます。楽しく食べる雰囲気も、子供たちのがんばりを後押しする力になります。

② 実践の振り返りとこれからへの意識付け

これまでよりバランスを考えて食べることができた喜びやがんばったことへの満足感を、今後の食生活につなげていきます。実践カードに自分のよさやがんばりを記入することで、これからも続けよう、もっと~なりたいという意欲を高めるとよいでしょう。
また、定期的に振り返りの機会を設けることで、実践意欲の継続化を図るようにします。

【これはダメ】
「全部食べることがよい」と、子供同士で食べられない子供を応援したり、教師が励ましたりすることはありませんか? 励ましや応援が、子供にとって「負担」に感じたり「強要」になったりしては絶対にいけません。大切なのは、一人一人が自分の課題に合った解決方法に取り組むことです。

【家庭と連携を】
食物アレルギーのある子供だけでなく、肥満傾向にある子供や極端に偏食がある子供などには、家庭と連絡を取り合い、授業の趣旨を理解していただくとともに、よりよい食習慣づくりについて協力していけるとよいでしょう。

【学級通信で広めよう】
授業の様子や子供たちの実践カードの振り返りなどを学級通信や学年だよりなどで家庭に伝えましょう。家庭の意識の啓発や実践の継続、今後のよりよい食習慣づくりへの関心が大きくなることが期待できます。

構成/浅原孝子 イラスト/小野理奈


監修
安部 恭子
文部科学省視学官
埼玉県さいたま市の小学校に勤務後、さいたま市教育委員会、さいたま市立小学校教頭勤務を経て、2015年より文部科学省初等中等教育局教育課程教科調査官・国立教育研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官、2022年より文部科学省初等中等教育局視学官を務める。


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著/安部恭子  著/平野 修  著/清水弘美
ISBN9784098402106


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