小1 国語科「かん字のはなし」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小1国語科「かん字のはなし」(光村図書)の全時間の板書、発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/相模女子大学学芸学部 子ども教育学科専任講師・成家雅史
執筆/東京学芸大学附属大泉小学校・今村 行
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
1年生の児童は、1学期中に平仮名を習い終え、その後片仮名の学習をスタートしています。
9月からはいよいよ漢字の学習も始まり、すでに20程度の漢字を学んだ状態で本単元を迎えます。
1年生の児童が一層漢字に興味・関心をもち、これから意欲的に学んでいこうとする前向きな姿勢を養うことができるよう学習を進めていきます。
本単元で身に付けたい資質・能力は、漢字の成り立ちの面白さに気付き、漢字の表意性に気付くことです。今回扱う「かん字のはなし」を読み、漢字のでき方の不思議さや面白さに気付きながら、漢字には意味があるということを知識として定着させていきたいところです。
本単元では、「すがた」「ようす」「しるし」という1年生にも分かりやすい言葉で、象形文字と指事文字が説明されています。児童に象形文字、指事文字の詳しい違いを理解させる必要はありませんが、「すがた」「ようす」と「しるし」という言葉を丁寧に扱い、その違いを感じさせることができればよいでしょう。
そして、漢字には1文字で2音以上表せるものもあることを確認しながら、表音文字である平仮名と表意文字である漢字の違いに気付けるよう指導していきます。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
本単元では、言語活動として漢字の成り立ちの絵を見る活動を大切に扱います。
教科書にも、山、水、雨、上、下など、多くの字の成り立ちが絵で説明されています。それらの絵を丁寧に見て、そこから漢字ができたことを児童が理解できるようにします。
絵を見て成り立ちを考える活動の中で、山、水、雨などの象形文字と、上、下などの指事文字については、少し成り立ち方が違うということを、児童が感じられるよう指導したいところです。
また、漢字は表意文字であり、表音文字である平仮名とは違う、ということを実感するために、漢字と平仮名を比較して、漢字には2音以上を表せるものがあること、漢字は音ではなく意味を表していることも活動の中で実感できるようにしたいものです。
4. 指導のアイデア
〈主体的な学び〉 漢字の成り立ちについての意見を自由に発表できるように
漢字を学ぶというと、単なる暗記と捉えてしまう一面もあるかもしれません。ですが、本単元では、漢字の成り立ちを知ることで、漢字の面白さを児童が感じ、意欲的に学んでいこうとする姿勢を養いたいと考えます。漢字の成り立ちの絵を見る中で、「なるほど、こういうことか!」「こうやって漢字ってできたんだ、面白いね!」「上っていう絵はちょっと分かりにくいけど、上にものが乗っかってるってしるしなんだね!」など、児童な素直な意見を引き出し、受動的になるだけでなく自分から進んで漢字の成り立ちを知ることができるよう支援していくとよいでしょう。
〈深い学び〉 これからの漢字の学びに生かそうとする意欲をもつ
深い学びを考える際に、学んだこと同士が結び付き合ったり、関連付いたりすること、ネットワーク化することが大切な視点の一つだと考えます。
本単元では、漢字を学び始めた児童が、その成り立ちを知ることでこれからたくさん学ぶことになる漢字について一層興味・関心をもったり、漢字と平仮名を比較することによって漢字の表意性に気付いたりして、漢字を見る視点が豊かになり、今後の学びに生かされるよう、意図して指導していくことが大切だと考えます。
新出漢字を学ぶ際にも、本単元で学んだことを振り返り、どんな成り立ちなのかを短時間でも考えてみることも有効な手立てとなるでしょう。これからの学びに生かす視点をまずは教師がもち、伝えていくことが大切だと考えます。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
本単元においては、教科書の「かん字のはなし」に添えられているQRコードを読み取り、元となった絵がどのように文字になっていったのかを視覚的に捉える活動をします。
この漢字の成り立ちのアニメーションは視覚的にとても分かりやすく作られており、教科書本文にもある「すがた」「ようす」「しるし」が、どのように文字になっていったのか、その過程が描かれていますので、児童の理解の助けとなるでしょう。
6. 単元の展開(4時間扱い)
単元名: かん字のはなし
【主な学習活動】
(1時、2時、3時、4時)
第1時、第2時
漢字の成り立ちとなった絵カードを見て、漢字の成り立ちに興味をもって、簡単なお話を作る。
第3時
漢字と平仮名を比べ、漢字は意味を表すものであり、2音以上を表せるものがあることを知る。
第4時
教科書26、27ページを読み、習った漢字を使って、短い文を書く。
全時間の板書例と指導アイデア
イラスト/横井智美