読書指導のアイデア ⑫読書会を開こう

連載
本好きの子供を育てる読書指導のアイデア
関連タグ

東京学芸大学附属小金井小学校司書

松岡みどり
読書指導のアイデア バナー

12回目のテーマは「読書会を開こう」です。今回は、誰もが気軽に参加できる、ハードルを下げた「読書会」を開いてみてはいかがでしょう。本を好きな子も苦手な子もいろいろな角度で話し、本について話すのがおもしろいと思ってもらうような活動です。本の様々な魅力を語り合って、子供の知的好奇心につなげてください。ここでは本好きの子供たちを育てるためのアイデアを紹介します。

監修/東京学芸大学附属小金井小学校司書・松岡みどり

本について話そう

本についていろいろ話してみよう

「読書会」と言えば、きちんと話さないといけない、本を読み込んで臨まないといけないというイメージがあるかもしれません。今回はとてもゆるい感じの「読書会」の提案です。

まずは、「本について話しましょう」と先生から本を紹介して、「こんな感じにすればよいんだ」と子供たちにイメージをわかせるようにします。「本について話しましょう」と言うと、本の内容に着目しがちになります。しかし、今回はそこを度外視して、内容に注目しなくてもOKです。「表紙」「題名」「背表紙」「装丁」など、様々な角度からその「本」について話します。もちろん、内容に注目してもOKです。

読書指導 イラスト

「読んだことがないけど、表紙に注目してみました」「新聞で紹介されていたので、気になったところを紹介するね」「タイトルにひかれたよ。こんな話じゃないかな」など、本を真ん中に置いて、本の話を学級のみんなでできるようにするのがねらいです。

先生が紹介する本の表紙や題名を見せて、子供たちにどのような内容かを想像させることも楽しい会になります。

 

松岡司書の紹介例

『たまごのはなし』

(作/しおたにまみこ ブロンズ新社)

「この本は絵童話です。表紙のたまごのイラストが独特で、たまごのことが知りたくなったので、この本を紹介しました。たまごが語る話のようですが、みなさんはどのような話だと思いますか」

読書指導 イラスト

   



松岡みどり司書からのメッセージ
本について話すことができ、本について語り合うことで「本っておもしろい」という気持ちを子供たちにもってもらえるとよいですね。「読書会」は読み手によって受け取り方が違ったり、1人で読んでいただけでは知り得なかった発見があったりして、とてもおもしろい読書活動です。一方でどうしても「本をよく読んでいないと参加できないのではないか」とハードルが高いイメージがあります。そこをあえて崩し、中身を読んでいなくても参加できる「ゆるい読書会」を考えてみました。
内容だけを重視すると、読書の苦手な子には響かないことがありますので、様々な角度から本のおもしろさ、魅力を語り、1フレーズを読んでもよいと思います。
最初は先生がデモンストレーションをしてきっかけをつくると、子供がイメージしやすくなります。先生が取り上げる本は、先生が子供の頃に読んでいた本や授業単元に関連した本、今話題になっている本など、いろいろな視点で、なるべく子供が読んでいない本のほうがよいでしょう。
発表が子供のプレッシャーになりすぎないように、「教科書に載っている本でもよいよ」など、本を選ぶときのアドバイスをしておくことも大切です。「紹介する本がない」と言う子がいるときのために、先生が本を1冊用意しておくことも考えられます。
1単位時間をまるまる使うのではなく、朝の会や帰りの会、空き時間などを活用すると無理なく実践できるのではないでしょうか。楽しい時間にしていただくとよいですね。

 

読書や本の情報が満載

ウェブサイト「先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース」(東京学芸大学 学校図書館運営専門委員会)
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~schoolib/htdocs/

取材・文・構成・撮影/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ

 

授業で使える312冊の絵本を紹介

豊かな心と思考力を育む
絵本で広がる小学校の授業づくり

著/齊藤和貴(京都女子大学教授)

司書教諭の経験を生かしながら、長年、学校現場で「絵本を活用した授業」を行ってきた元小学校教諭が、小学校の授業で使える絵本312冊を厳選。絵本を使った実際の授業が、板書や指導案、豊富な写真とともにオールカラーで具体的に紹介されていますので、授業の進め方がよくわかります。

B5判/112頁
ISBN9784098402212

〈著者プロフィール〉
齊藤和貴(さいとう かずたか)

京都女子大学発達教育学部准教授。元小学校教諭・司書教諭。東京都公立小学校及び東京学芸大学附属小金井小学校、附属世田谷小学校で28年間、教育活動や授業実践に取り組む。その間、生活科や総合的な学習の時間を中心に指導法やカリキュラム、評価方法の工夫・改善を図り、「子供とともにつくる授業」の創造に励む。また、司書教諭の経験を生かし、「絵本を活用した授業づくり」にも取り組んできた。

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
連載
本好きの子供を育てる読書指導のアイデア
関連タグ

授業改善の記事一覧

雑誌『教育技術』各誌は刊行終了しました