【相談募集中】複合立体の置き方を変えてから体積を求めるよさがわからない

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複合立体の体積の求め方について悩んでいるという先生からの相談が、「みん教相談室」に届きました。置き方を変えて底面積×高さで求められることに気づかせたいけれど、5年生のときのように分けて考えても結果は同じなのだから、そうすることのよさを説明することができないそうです。ここでは、富山県公立小学校教諭・前田正秀先生からのアドバイスをお届けします。

イラストAC

Q.複合立体の体積を、置き方を変えて底面積×高さで求めるよさがわかりません

立体の体積の単元を研究授業で行うことになりました。複合立体の体積を求める所です。5年生のときにもL字型の複合立体の体積を求めています。分けて考える、補って考えることをしています。複合立体の体積も、置き方を変えると、底面積×高さで求められることに気づかせたいのですが、底面積×高さで求めるよさがわかりません。分けて、底面積×高さでもよいのに、なぜ、倒して底面積×高さでもできることに気づかせるのか、自分でもわかりません。ということは、児童にもわからないということですよね。学習指導要領でも、縦×横を底面積としてとらえ直すと書いてあり、分けて考えても底面積×高さ+底面積×高さでよいのか。これは、中学校の数学の分野である、三角錐のために底面積ということを押さえているのか。悩んでいるので、 どうしたらよいのかアドバイスをください。

 (チョポ先生・30代 女性 6年) 

A.算数における2つの「よさ」について考えてみましょう

やり方を教えるだけでなく、そのよさを伝えたいという姿勢が素敵ですね。

まずは、算数における「よさ」について考えてみましょう。算数という教科は、なるべく楽チンにできる方法を考える教科です。算数では、よく「は・か・せ」という合い言葉が使われますが、「はやく」「かんたんに」「せいかくに」できることが、算数における「よさ」の1つです。

今回の質問の場合、分けずに「底面積×高さ」で求めることで、よいことが2つあります。

1つ目は、計算です。□×△+○×△なら、(□+○)×△と計算する方が、かけ算の手間が1回減るので計算が簡単になります。複合図形の場合、2つの直方体に分けて計算すると、底面積A×高さ+底面積B×高さとなる計算が、「底辺×高さ」とみると、(底面積A+底面積B)×高さとなり、かけ算の手間が1つ省ける分だけはやく解けるのです。

2つ目は、考える手間です。三角柱、直方体、複合図形など、1つ1つの図形に対して、「三角形の底辺×三角形の高さ×高さ」「縦×横×高さ」「1つの直方体の縦×横×高さ+もう1つの直方体の縦×横×高さ」と、ばらばらに考えていては大変です。しかし、それらを全て柱体の仲間とみることができれば、「底辺×高さ」という1つの公式で解決でき、いちいち考える手間が省けて簡単になります。

チョポ先生が書かれているように、「底辺×高さ」を教える意図には、中学校の数学の分野である三角錐や、高校の数学の分野である積分にもつなげる意図もあることでしょう。しかし、小学生が納得できるのは、上に書いた2つのよさではないでしょうか。

さて、私自身、チョポ先生の質問に答えようと「よさ」について考えているうちに、算数の奥深さにふれ、楽しくなってきました。こうした楽しさを子供たちにも体験させたいものです。例えば、子供たちに「底辺×高さとすると、どんなよいことがあるのでしょう」と問いかけ、子供たちに「よさ」を考えさせてみても面白い授業になると思います。


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