小5社会「放送などの産業とわたしたちのくらし」指導アイデア
執筆/北海道札幌市立山鼻南小学校・山本勝洋
編集委員/文部科学省教科調査官・小倉勝登
北海道札幌市立山鼻小学校校長・佐野浩志
目次
年間指導計画
・国土の広がり
・国土の地形と気候の概要
・低い土地のくらし
・高い土地のくら
・あたたかい土地のくらし
・寒い土地のくらし
・米づくりの盛んな地域
・水産業の盛んな地域
・日本の工業生産と工業地域の特色
・自動車工業の盛んな地域
・工業生産を支える貿易や運輸
・放送などの産業とわたしたちのくらし
・情報を生かして発展する観光業
・情報を生かして発展する販売業
・情報を生かして発展する運輸業
・国土の自然災害
・私たちの生活と森林
・公害からくらしを守る
目標
放送などの産業と情報との関わりいについて、情報を集めて発信するまでの工夫や努力などに着目して、聞き取り調査をしたり、映像や新聞、インターネットなどの各種資料で調べたりしてまとめ、放送などの産業の様子を捉え、それらの産業が国民生活に果たす役割を考え、表現することを通して、放送などの産業は国民生活に大きな影響を及ぼしていることを理解できるようにするとともに、主体的に学習問題を追究・解決し、学習したことを基に情報の受け手として正しく判断することや、送り手としての責任をもつことが大切であることを考えようとする態度を養う。
評価規準
知識・技能
①情報を集めて発信するまでの工夫や努力などについて、各種資料で調べ、必要な情報を集め、読み取り、放送などの産業の様子を理解している。
②調べたことを図表や文などにまとめ、放送などの産業は国民生活に大きな影響を及ぼしていることを理解している。
思考・判断・表現
①情報を集め発信するまでの工夫や努力などに着目して、問いを見いだし、放送などの産業の様子について考え、表現している。
②発信される情報と国民生活とを関連付け、放送などの産業が国民生活に果たす役割を考えたり、情報を有効に活用することについて情報の送り手と受け手の立場から多角的に考えたりして、適切に表現している。
主体的な学習に取り組む態度
①放送などの産業と情報との関わりについて、予想や学習計画を立てたり、学習を振り返ったりして、主体的に学習問題を追究し、解決しようとしている。
②学習したことを基に、情報を有効に活用することについて、情報の送り手と受け手の立場から多角的に考え、受け手として正しく判断することや送り手として責任をもつことの大切さについて考えようとしている。
学習の流れ(7時間扱い)
問題をつくる 2時間
- 自分たちの周りには、多様な情報とそれを得るための手段が多くあることに気付き、クラスの集計をとることで、テレビでのニュース番組づくりへの興味をもつ。
- 学習問題に対する疑問や予想を出し合い、放送局の人々の工夫を学ぶ学習計画を立てる。
(学習問題)
放送局の人々が多くの人に情報を伝えるために、どんな工夫があるのだろう?
追究する 4時間
- ニュース番組をつくるために、放送局の人たちが情報収集、情報編集、情報発信という過程を調べる。
- ニュース番組を正確に伝えるために、放送局の人たちが見る人の立場になって工夫や努力を調べる。
- 多くの情報の中から、ニュース番組で伝えるべき情報を選ぶ放送局の人たちの責任について考え、話し合う。
- テレビなどの情報が人々の生活や行動に与える影響を考え、情報を送る側、受け取る側としての情報との関わり方を考える。
まとめる 1時間
- 放送局の人々のニュース番組を伝える工夫を振り返り、タブレット型端末にあるオクリンクの動画撮影や編集機能を活用してオリジナルニュース番組づくりにまとめる。
- 情報の受け手や送り手として大切なことについて考える。
問題をつくる
メディア利用アンケートをとり、集計結果から情報を受け取る手段としてテレビが多いことに気付き、放送局の人たちの情報を伝える工夫や努力に対して疑問をもつとともに、学習問題をつくる。(1/6時間)
導入のくふう -メディア利用のアンケート集約結果から単元の学習問題を生む-
クラスのメディア利用アンケートをGoogle Formsでとり、リアルタイムで集計結果を共有することで、情報を得るメディアとしてテレビが多いことに気付かせ、単元の学習問題を設定していきます。
1時間目
メディア利用のアンケート集約結果を共有することで単元の学習問題をつくる。
クラスのメディア利用のアンケートです。ニュースなどの情報をどこから得ている人が多いでしょうか?(Google Formsを活用してアンケートをとると、リアルタイムで結果を共有でき、効果的です。)
私は、テレビが多いと思います。なぜなら、私の家族は、毎日テレビのニュース番組で情報を得ているから。
ぼくは、インターネットかなと思います。最近スマホをもつ人も増えてきて、いつでも見られるからです。
予想していて素晴らしいです。では、実際にこのクラスのメディア利用のアンケートを行ってみましょう! リアルタイムで集計結果も分かりますよ。
様々なメディアの中でも、テレビを一番多くの人が利用しているのが分かる。
テレビを利用する人が多いのは、映像が分かりやすいからだと思うな。
アナウンサーや記者の他に、どんな人たちがどんな仕事をしているのかな?
実際のニュース番組を見てみましょう! 何か気付くことがありますか?
(正午の時間帯などは、ニュース番組が多く、比較的授業時間に視聴しやすいです。)
ニュース番組を見ると、話し方や字幕、表情など工夫がたくさんありそう。ニュース番組づくりの工夫を学んで、ぼくたちもニュース番組をつくってみたいな。
アナウンサーの伝え方にも工夫があるはずだよ! たくさんの情報から何を優先して情報を選んでいるのかも調べていきたい。
放送局の人々が多くの人に情報を伝えるために、どんな工夫があるのだろう?
主体的な学びにつながるポイント
「オリジナルニュース番組をつくって放送しよう!」という単元を通した活動を設定することで、子供の「どんな工夫があるの?」「工夫を学びたい!」という追究意欲を掻き立てます。これが原動力となり、単元を通して主体的に学ぶ子供の姿が期待できます。
追究する
教科書や資料集、1人1台端末などを活用して、「①ニュース番組ができるまでの工夫」「②正確にニュースを伝えるための工夫」「③大量の情報の中から選ぶ工夫」「④情報を発信する側としての工夫」を調べる活動を通して、多くの人に分かりやすく正確に情報を届ける工夫や責任の重さについて理解する。(3、4、5、6/7時間)
対話活動を生むくふう
教科書や資料集、放送局のHPなどを活用して、調べて分かったことをタブレット型端末にあるオクリンクに学んだ工夫を整理、蓄積、共有することで、気付いた工夫の共通点や相違点を見いだし、対話活動を促進し、協働的に学んでいくことが期待できます。
3時間⽬
放送局の人たちのニュース番組ができるまでの工夫を学ぶ。
ニュース番組は、どうやってできるのだろう? 今日はその工夫を調べていこう。
ニュース番組ができるまでには、大きく3つの過程があるんだね。大量の情報を集めて、見る人が分かりやすくすることが工夫だね。
記者やアナウンサーだけでなく、他にもたくさんの人が番組づくりに関わっているんだね。番組づくりには協力が不可欠なことが分かったよ。
たくさんの人の協力という点は気付かなかった。工夫に追加しよう。
4時間⽬
放送局の人たちが正確にニュースを伝える工夫を学ぶ。
イラスト/栗原清、横井智美