小6 国語科「漢字の広場②」全時間の板書&指導アイデア
文部科学省教科調査官の監修のもと、小6国語科「漢字の広場②」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。
監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/山梨大学大学院教授・茅野政徳
執筆/神奈川県川崎市立はるひ野小学校・田中真琴
目次
1. 単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、5学年で学習した漢字を中心に、これまでに学習した漢字を文や文章で用いる技能を身に付けます。挿絵の場面を文に表し、さらに同じ意味や似た意味の語句を使って言い換えた文を書くことで、国語だけでなく、他の教科・領域、日常生活でも積極的に漢字を使って表そうとする態度が育まれることを期待しています。
2. 単元の評価規準
3. 言語活動とその特徴
「漢字の広場」の学習は1から6まで設定されており、5年生で学習した漢字が網羅されています。
学習指導要領では、当該学年の前の学年までに配当されている漢字については、読めるだけでなく書けるようになることも目標としています。つまり、各学年の教科書に準備されているこの「漢字の広場」を意識的に行うことが、目標達成には必要です。
新出漢字の指導や習熟に時間を費やしてしまい、その学年以前の漢字についてはなおざりになってしまっている現状があるのではないでしょうか。
「漢字の広場」は、毎回様々なテーマで挿絵とともに漢字が載っており、活動の提案がなされています。ぜひ、楽しい創作活動を行いながら、漢字の習熟を図るとともに、文や文章の中で使っていこうとする態度を育みましょう。
「漢字の広場」では、多くの漢字が熟語で提示されています。
5年生で学習した「漢語・和語・外来語」のように、漢語は少し改まった印象を与えます。
また、正しい熟語を選ぶことで、伝えたい内容を、より的確に短い言葉で伝えることが可能になることも多いです。高学年ともなれば、文や文章の中で進んで熟語を使用していけるようにしたいところです。
4. 指導のアイデア
〈深い学び〉 語句の意味と捉え方や感じ方の違い
教科書には、遊園地での人々の様子が描かれています。
今回提示されている漢字には比較的和語が多いのが特徴です。それを生かし、漢語や和語など違う言葉を使って、同様の意味を表す文を作成する活動を設定しました。別の言葉に言い換えてみることで、漢字の習得に留まらず、語句を増やし、語彙を豊かにしていく学びとなるでしょう。
例えば、「条件を満たしたので、許可が出た」という文を作ったとします。教科書で提示されている語句は「許可」ですが、「条件を満たしたので、許された 」という語句に替えてみます。
「許可が出た」と「許された」では、受ける印象が変わってくるのではないでしょうか。
その違いをクラス全体で共有し合うことで、新たな語句の獲得や意味の把握、そしてより適切な語句を使っていこうとする態度の形成につながっていくと思います。
文を作成する段階では、辞書を活用して提示されている語句の意味を調べる必要が出てくるでしょう。その際に、その語句の意味を理解するだけでなく、言い換えることができる語句(類義語)を知ったり、思いついたりすることもあるでしょう。
小学生向けの辞書には類義語が載っていることも多いので、関連した語句を獲得するおもしろさ、楽しさを味わってほしいですね。
最終的には、相手や目的、文種などに応じて使う語句を意識的に選んだり、使い分けたりしようとする態度の形成に結び付けたいものです。
5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント
(1)共有のツールとして
今回の活動では、同じ場面を似た語句を使って表すので、作成する文の量が多くなると思われます。
二つの文を比べる際に、毎回板書していては、紹介できる数が限られてしまい、時間もかかってしまうので、端末を利用し、教室のモニターに提示していくのがよいでしょう。
教師用の端末で児童のノートを写真に撮ったり、児童一人一人が撮ったものを端末の機能を利用して提出してもらったりしてもよいでしょう。
キーボード入力に負担のないクラスなら、文書作成アプリなどで、作った文を入力し、それを提出することもできますね。
実際に漢字を綴ることも大切な学習です。児童の実態に応じて、初めから端末を利用して文を作るのではなく、一度ノートやワークシートに書く時間を確保することも意識しましょう。
利用しやすい方法を用いて、児童が作った多くの文を紹介し合い、語句や文の意味、受ける印象などについて、比べていけるとよいですね。
6. 単元の展開(1時間扱い)
単元名: 漢字の広場② 5年生で習った漢字
【主な学習活動】
(1時)
① 示されている語句と挿絵を手がかりに場面の様子を文で表し、それを他の語句を用いて言い換えた文を作ったり、感じ方や受ける印象の違いについて話し合ったりする。
全時間の板書例と指導アイデア
イラスト/横井智美