「こども基本法」とは?【知っておきたい教育用語】

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「こども基本法」は2023年4月1日に施行された法律です。「こども基本法」の概要を知ると同時に、なぜ制定されたのか、子どもの権利をどう守るのかを考えてみましょう。

「みんなの教育技術」用語解説プロジェクトチーム

「こども基本法」とは

「こども基本法」は2022年6月15日に国会において可決・成立し、22日に公布されました。2023年の4月1日より施行されています。こども基本法の基本理念は以下のとおりです。

①全てのこどもについて、個人として尊重されること・基本的人権が保障されること・差別的取扱いを受けることがないようにすること
②全てのこどもについて、適切に養育されること・生活を保障されること・愛され保護されること等の福祉に係る権利が等しく保障されるとともに、教育基本法の精神にのっとり教育を受ける機会が等しく与えられること
③全てのこどもについて、年齢及び発達の程度に応じ、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会・多様な社会的活動に参画する機会が確保されること
④全てのこどもについて、年齢及び発達の程度に応じ、意見の尊重、最善の利益が優先して考慮されること
⑤こどもの養育は家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、十分な養育の支援・家庭での養育が困難なこどもの養育環境の確保
⑥家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境の整備

『内閣官房こども家庭庁設立準備室』こども基本法説明資料


以上の基本理念のもと、子どもの権利を守り、国の施策に子どもや子育て当事者の意見を反映していく方針を示しています。

なぜ、こども基本法が制定されたのか

これまで「児童福祉法」や「母子保健法」、「児童虐待防止法」など、子どもに関する個別の法律は存在していましたが、子どもに主体を置き、権利そのものを保障する法律はありませんでした。

しかし、いじめや不登校、児童虐待といった問題や、コロナ禍における子どもの行動制限といった社会のめまぐるしい変化など、子どもをめぐる環境の深刻化に対して大人の視点だけで解決を図るのではなく、当事者である子どもの視点を尊重すること、ひいては子どもの権利を包括的に保障する原理原則および法整備が必要とされ、こども基本法の成立に至りました。

こども基本法で守られる権利

こども基本法の第一条を要約すると、「日本国憲法および児童の権利に関する条約に則り、すべての子どもが自立した個人としてひとしく健やかに成長できるよう、子どもの権利を守る」といった目的が定められています。

なお、「児童の権利に関する条約」とは1989年に国連で採択された、子どもの基本的人権を保障する条約で、通称「子どもの権利条約」と呼ばれています。「子どもの権利条約」で定められている子どもの権利には4つの代表的な原則があります。

●差別の禁止(差別のないこと)
●子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)
●生命、生存及び発達に対する権利(命を守られ成長できること)
●子どもの意見の尊重(意見を表明し参加できること)


こども基本法によって、子どもの権利を守り、子どもに関する様々な問題を抜本的に解決していくこと、子どもが自立した個人として積極的に社会的な活動に参画できることをめざします。また、子ども政策の総合調整・司令塔機能として一元的に取り組む「こども家庭庁」も同時に発足しました。これからの未来を担う子どもたち一人一人がいきいきと成長できる環境整備が期待されます。

▼参考資料
こども基本法WEBサイト(ウェブサイト)「こども基本法について
内閣官房こども家庭庁設立準備室(PDF)「こども基本法説明資料
こども家庭庁(PDF)「こども基本法パンフレット
日本ユニセフ協会(ウェブサイト)「子どもの権利条約

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