小4算数「角の大きさ」指導アイデア《スノボ技の名前540と角度の関係を考える》
執筆/横浜市立庄戸小学校教諭・渡邊督之
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、島根県立大学教授・齊藤一弥
目次
単元の展開
第1時 回転してできる角の大きさの比較の仕方を考え、友達と直接比較や間接比較をしながら、角の大きさについて理解する。
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第2時 直角や三角定規のもつ角の大きさを任意単位にして、角の大きさを数値化する。度や分度器について知る。
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第3時 分度器を用いて、角の大きさを測定する方法を考える。
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第4時 分度器を用いて、さまざまな角の大きさを測定する。
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第5時 180度より大きい角度の測定の仕方を、既習の分度器を用いた測定の仕方を基に考え、説明する。
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第6時 1辺の長さと2つの角の大きさに着目し、三角形のかき方を考える。
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第7時 既習の角のかき方に着目し、180度より大きい角のかき方を考える。
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第8時(本時)日常の事象で使われている発展的な角の大きさの表現について、既習と統合させて見たり考えたりする。
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第9時 学習内容の習熟・定着を図り、角の大きさの数学的な見方・考え方についてふり返る。
本時のねらい
日常の事象で使われている発展的な角の大きさの表現について、角の大きさの単位を基にしたときのいくつ分や、2直角・4直角などを基にしたときのいくつ分と見たり、加法性のある量と考えたりして、既習と統合的に捉えることができるとともに、そのよさに気付くことができる。
評価規準
日常の事象で使われている発展的な角の大きさの表現について、既習と統合的に捉えている。
角の大きさが図形だけでなく、日常の事象で使われていることのよさに気付き、生活に活用しようとしている。
本時の展開
スノーボードの「540」という技は何だろう。
この写真、何だか分かりますか。
スノーボードです。
そう、スノーボードですね。知っていますか。
冬のスポーツです。
旅行で雪の降るところに行って、やったことあります。
1枚の板をはいて滑るんだよ。
よく知っていますね。そのスノーボードの競技に、「ハーフパイプ」というのがあるのですが、知っていますか(写真を提示)。
冬のオリンピックで見たことがあります。
日本人選手が金メダルをとっていました。
写真の人、たくさん回っているね。
この写真だとすごくたくさん回っているから、もう少し分かりやすい技の写真を見せますね(写真を提示)。この技には名前があって、「ファイブフォーティ」と言うんですよ。聞いたこと、ありますか。
聞いたことないけど、ファイブって5の……?
そうです。「ファイブフォーティ」は「540」という意味なんです。
どうして540なんだろう。
回っているのと関係あるのかな。
今まで学習してきた角度なんじゃない。
540と、回っているのが、角度と関係がありそうですか。
はい。ありそうです。
スノーボードの技の「540」と、角度の関係について考えよう。
見通し
90度は、1度の90個分だから、それとつながりそう。(方法の見通し)
1回転したとき、360度だから、540ってそれ以上回るってことかな。(方法の見通し)
540は、360と180を合わせた数だから、540度のことかな。(結果の見通し)
自力解決の様子
A つまずいている子
「540」と1度の540個分や180度、360度との関係に、分度器の支援シートを使っても気付いていない。
B 素朴に解いている子
分度器の支援シートや、友達の発言を参考にして、「540」と1度の540個分や180度、360度との関係に気付き、表現している。
C ねらい通り解いている子
主体的に「540」と1度の540個分や180度、360度との関係に気付いたことを、表現することができている。
学び合いの計画
Aの子が3割ほどいるので、まずは学習のねらいを示す前に、「540」と角の大きさの関係について、全体で解決の見通しについて話し合うよう計画します。そのことで、Aの子も解決に向かいやすくします。
イラスト/横井智美