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子どもの思考を深める「発問」で授業力を高めよう

2019/10/6

二学期です! 教室で子どもたちは生き生きと活動しているでしょうか? 教師の発問に対して黙ってしまう場面はありませんか? 今回は「主体的、対話的で深い学び」につながる発問(主発問・補助発問)について考えてみましょう。

発問を見直してみよう

発問に答える子ども

以前教えていただいたことを参考に教材研究をして授業に臨んでいるのですが、授業に活気がありません。子どもたちが黙ってしまう場面が多くて ……。どこに原因があるのでしょうか?

うーん、発問を見直す必要があるみたいだね。先生の発問ひとつで、授業は大きく変わるはずだよ。

先生が発問した内容が子どもたちにうまく伝わらず、聞き方を変えて何度も問い直したという経験はありませんか? また、なかなか発問の内容が伝わらず、授業の大半が先生の説明になってしまった…… などという経験もあるかもしれません。

発問には、主発問と補助発問があります。主発問とは、本時の目標にかかわる中心的な発問で、その主発問を補ったり、詳しくしたりするものが補助発問です(文部科学省のホームページには、主発問とゆさぶる発問とが記されています)。主発問は、児童の思考に働きかけるものでなければなりません。一問一答になるような質問は、避けたいですね。

主発問で子どもの思考をゆさぶる

例えば、国語「ごんぎつね」の最後の場面、ごんが兵十に撃たれた場面の主発問を考えてみましょう。

A 「撃たれたときのごんの気持ちを考えてみましょう」

B 「撃たれたごんは、なぜうなずいたのでしょうか」

国語科物語文の学習では、主人公の気持ちに迫りながら読み深めていくことが多いですね。一見、Aの発問は主人公の気持ちに迫るための発問のように思われますが、子どもは、ごんが兵十に撃たれたという事象に着目し、そこから「嫌だった」「悲しかった」などと考えることが予想されます。これでは、本文を手掛かりにして考えているとは言えませんし、主人公の気持ちに迫る発問にはなっていません。

一方Bの発問では、なぜうなずいたかを問うているため、その理由や根拠を本文から探したり考えたりして読むことが予想されます。また、これまでの主人公の気持ちの変化にも着目するでしょう。友達の意見を聞いて「本当だ! ○ページで、ごんはこんなことを言っていたんだね」「○○さんは、3場面のごんの気持ちから想像したんだね」など、本文をもとにした話合いに発展することができます。

イラスト:机間巡視

このように同じ場面でも、発問ひとつで授業は大きく変わります。子どもたちの思考に働きかけ、子どもたちの心を揺さぶる主発問を吟味する必要がありますね。

また、発問をしたら、考えさせるための時間をしっかりととるようにしましょう。先生は発言を減らし、時には沈黙することによって考えさせることも大切です。

これからは教材研究をする時に、主発問を書きだすだけでなく、本当にこれでよいのか、もう一度考えるようにします。

次は補助発問について考えていこう。補助発問を工夫すれば、授業が変わるよ。

補助発問で主体的、協働的な思考に発展させる

補助発問は、事前に考えておく主発問とは異なり、臨機応変に子どもたちの発言に対応したり、深めたり、共有させたりするための発問です。先生の「場に応じた補助発問の引き出しの数」を増やすことが、よりよい授業への近道とも言えるでしょう。

子どもは授業中よくつぶやきます。そのつぶやきを聞き逃さず、「どうしてそう思ったの?」「それは、どういう意味なのかな?」などと問い返すことで、つぶやきから子どもの思考に沿った授業を展開していくことができます。

また、主発問に対しての発言を受けて、「○○さんはどうしてそう考えたと思う?」「○○さんの考えを詳しく説明できる?」「今、○○さんが言ったことをもう一度言ってみて」など、一人の発言を全体に広げ、再度説明させることで、友達の思考を解釈することができます。

○○さんが言いたいことは、……ということだと思います。

子どもの発言に対して問い返したり、子どもの発言をうまくつないだりする補助発問の数を増やしていくことで、子どもたちは主体的に考えたり、話し合ったりするようになるんだ。

補助発問には、他にも、「子どもが何気なく活動していることを意識化させる」ものもあります。

例えば、体育科のとび箱運動の学習を考えてみましょう。力強く踏み切って跳んでいる子どもに、「今、すごく大きな音が鳴っていたけど、どうして?」と問うことで、何気なく活動していた子どもは、音が鳴るほど力強く踏み切っていたことに気付きます。気付いた子どもが友達に、「バンッと音をたてて踏み切ったら跳べるよ」と発信し、全体に広がれば協働的な学びへと発展するわけです。

この「何気なく活動していることを意識化させる」という発問は、音楽や図画工作、体育などで有効です。

同じ補助発問でも、少し言い方を変えるだけで、子どもたちの反応が変わることもある。学級の実態に合わせた発問を考えよう。

最後に、授業の流れにおけるそれぞれの場面での発問について考えてみましょう。いつ、どんな発問をするのかによっても、授業は変わります。発問の順番を変えたらよかった、ということがないようにしたいですね。

授業の導入場面では、子どもの興味・関心を引き出す発問や、問題点に気づかせる発問、学習課題を明確にする発問などが必要です。

展開場面では、子どもたちの話合いを活発にしたり、子どもたちの思考を深めたりする発問を準備しましょう。

まとめの場面では、授業のまとめや振り返りにつながる発問や、その日の学習内容を活用させるような発問、そして、次時へのつながりを図る発問が有効です。

 秘伝 

●主発問は、本時のねらいに即したものである。子どもの思考に働きかけ、子どもの心をゆさぶるものであるか、しっかりと吟味すべし!

●補助発問の引き出しの数を増やすべし!

●先生は時に沈黙し、子どもたちが考える時間を確保すべし!

主発問を吟味、時に沈黙、補助発問の引き出しの数を増やす ……、ですね!

執筆/大阪府公立小学校教頭・今村友美
イラスト/伊原シゲカツ

『小四教育技術 増刊』2017年8月より

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