小3国語「わたしたちの学校じまん」指導アイデア
教材名:「わたしたちの学校じまん」(光村図書三年下)
指導事項:〔知識及び技能〕(1)イ・キ 〔思考力、判断力、表現力等〕A(1)イ・ウ
言語活動:(2)ア
執筆/東京都公立小学校主幹教諭・齋藤美津子
編集委員/文部科学省教科調査官・大塚健太郎、東京都公立小学校校長・加賀田真理
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
この単元では、これまで身に付けた力も活用しながら「相手に伝わるように、理由や事例などを挙げながら、話の中心が明確になるよう話の構成を考えること」や「話の中心や場面を意識して、言葉の抑揚や強弱、間の取り方などを工夫すること」などの話す力を育成することに取り組みます。
② 言語活動とその特徴
本単元では、「日常的にお世話になっている地域の方に、もっと学校について知っていただき、より学校を好きになってもらうため、お礼とともに『学校のじまんできるところ』を、グループで話し方を工夫して伝える」という言語活動を設定します。
どのようなきっかけで学校とかかわるようになったのかや、学校に対してどのような思いでかかわってくださっているのかを知り、その方にふさわしい「学校のじまん」を行うため、伝える相手の方にインタビューを行います。
学校で畑をお借りしている地元の農家の方には、給食の地産地消メニューとともに残食率の少なさの数値を紹介したり、「子供たちのあいさつが元気で良い」という印象をもっていただいている登下校の見守りの方には、学校全体で取り組んでいる「あいさつ運動」について知っていただいたりします。
話す相手のことをよく知り、相手の方が驚いたり喜んだりしてくださるような情報を収集・精査して、「自慢したいこと」と「その理由」が明確になるようにして、中心を意識した分かりやすい構成を工夫します。言葉で伝わりにくい内容については資料などで補足を行います。そして、実際に伝える際の言葉の抑揚・強弱、間の取り方などの話し方を工夫することにも取り組んでいきます。
良い話し方のための構成メモ、ビデオなどの学習の手引きのほか、録画を活用した自己評価や、互いに発表を聞き合うことによる相互評価などにより、自分たちの力で話し方の質を高めることに取り組みます。
単元の展開(8時間扱い)
主な学習活動
第一次(1・2時)
①学習の見通しをもち、学習計画を立てる。
・ふだん、ゲストティーチャーなどでお世話になっている地域の方々に関連する「学校のじまんできるところ」について紹介する意欲をもつ。
・インタビューを行い、お世話になっている方についてよく知る。
・場所やもの、行事、学習活動、生活にかかわることなどの観点に基づいて、その方にふさわしい「学校のじまんできるところ」を出し合う。
・よりよく伝えるための話す力を身に付けようとする意欲をもち、学習計画を立てる。
【学習課題】世話になったあの方に、「学校のじまん」をとどけよう。
第二次(3~6時)
②発表する相手や目的を確かめ、グループで自慢する内容を決める。
・相手や目的を意識し、各グループで自慢することを1つに決める。
③自慢する内容について、理由とともに、話の中心が明確になるように発表の構成を考える。
・自慢できることについて、さらに詳しく情報を集める。
・「学校のじまん」の内容について、地域の方々の知っていること、知らないことに分け、正確に分かりやすく伝わるように情報を整理する。
・集めた情報を、相手や目的を意識し、構成を工夫して整理する。
→アイデア1 主体的な学び
④教科書や教師オリジナルの動画モデルなどを活用し、自己評価や相互評価により、話の中心を意識した話し方を工夫する。
・学習の手引きを活用して、言葉の抑揚、強弱、間の取り方などを意識し、グループで発表練習をする。
→アイデア2 対話的な学び
第三次(7・8時)
⑤お世話になった方に「学校のじまん」を伝える発表会を行い、ふり返りを通して話し方のまとめを行う。
・観点に基づき、ふり返りを行い、良い話し方についてまとめる。
→アイデア3 深い学び
アイデア1 相手を知り、目的を意識して情報を集め、理由が明らかになる構成を工夫する
ふだん、ゲストティーチャーや登下校の見守りなどでお世話になっている地域の方々に、学校の様子をより詳しく知ってもらうことで、もっと学校を好きになり、親しくなっていただくために、「学校のじまんできるところ」を伝えるという活動を設定します。
子供たちは、毎日のように顔を合わせていて、学校にかかわってくださる地域の方々の名前は知っていますが、どのような思いでかかわってくださっているかや、学校に対してどのような印象をおもちなのかまではなかなか分からないものです。
そこでインタビューを行い、学校に対する思いを知り、その方にふさわしい「学校じまん」の情報を精査します。相手の顔を思い浮かべ、「もっと好きになる」という目的を意識することで、より良い話し方で伝えたいという意識も高めていきます。条件が許せば、老人ホームの方々や幼稚園児、他校の子供との交流なども考えられます。
相手意識が明確になることは、相手の年齢や知識の量に応じた言葉の選択や言葉遣いに対する意識を高めることにつながります。相手についてよく知ったうえで、学校にある場所やもの、行事、学習活動、生活にかかわることなどから、その方と学校とのかかわり方や知らない知識という視点ももって、「学校のじまん」を1つに絞り込んでいきます。
集めた情報は、自慢する内容の説明や自慢する理由を明確にして、話の中心が明らかになるように構成を工夫します。付箋にキーワードを書き出して、白い台紙の上で順番を入れ替えたり、事実と考えで付箋の色を変えて段落相互の関係を明らかにしたりする活動を通して、より良い話し方の組立てを完成させていきます。
アイデア2 自己評価や相互評価を活用し、話の中心が明確となる話し方を向上させる
自慢したい内容と話の組立てが決まったら、グループで役割分担などを行い、それぞれが担当する内容の原稿を考えたり、使う資料を準備したりします。良い話し方については、教科書の資料のほか、教師が自作した動画などを話し方のモデルとして活用することも有効です。
イラスト/横井智美
『教育技術 小三小四』2022年2/3月号より