小2算数「図を使って考えよう」指導アイデア(5/5時)《問題の場面をテープ図に表す》

執筆/東京都台東区立浅草小学校教諭・横須賀咲子
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、東京都目黒区立八雲小学校校長・長谷豊

目次
単元の展開
第1時 全体と部分の数量の関係に着目して、加法逆の減法(未知数が後に出てくる)の問題解決のしかたを考える。
▼
第2時 全体と部分の数量の関係に着目して、減法逆の加法(未知数が先に出てくる)の問題解決のしかたを考える。
▼
第3時 全体と部分の数量の関係に着目して、加法逆の減法(未知数が先に出てくる)の問題解決のしかたを考える。
▼
第4時 全体と部分の数量の関係に着目して、減法逆の減法の問題解決のしかたを考える。
▼
第5時(本時)適用問題を解き、学習内容の定着を図る。
本時のねらい
加法逆の減法(未知数が後に出てくる)の問題解決を通して、加法と減法の相互関係について理解を深める。
評価規準
全体と部分の関係に着目し、場面を図に表して構造を捉えたり、立式の根拠を説明したりしている。
本時の展開
問題を見ていきますよ。※一文ずつ隠してある紙を、2文目まで順に取る。

次の文、分かりました。
開いてみましょう。

おかしいです。
全部で何個かは分かっています。
全部は32個です。
買ってきた数が分かっていません。
では、最後の文は何と聞いたらいいですか。
「買ってきたみかんは何個ですか」だと思います。
そうですね。全部の数は32個と分かっていますね。分かっているのは全部の数だけですか。
初めにあった数も分かっています。
初めにあったのは15個です。
問題の場面を図に表そう。
見通し
「みかんが15個あります」を、このテープで表します。「何個か買ってきた」はどうやって表したらいいでしょう。ここ(㋐)でしょうか、ここ(㋑)でしょうか。

㋑だと思います。 ㋐は、買ってきた□個の上に15個が重なってしまっているから、□個のなかに15個が入っていることになってしまいます。
もともと15個あって、さらに□個買ってくるということだから、15個に付け足されないといけません。
「全部で32個」と書いてあります。㋐だと、重なってしまっているから、全部がどこだか分からなくなってしまいます。15個と□個で全部の32個だから㋑です。
そうですね。㋑のほうがこの問題を表していますね。今、「全部で32個」と言ってくれました。「全部で32個」はどうやって表したらいいでしょうか。
15個と□個で「全部」だから、ここが「全部」です。
そうですね。「全部」を表すここを「全体」と言います。そして、初めにあったみかん「15個」や買ってきた「□個」は「部分」と言います。では、この図を先生と一緒に、ノートに書いてみましょう。まず15個のテープをかいて……。
※ノートに全員問題をテープ図に表す。
式に表して、答えを求めよう。
自力解決の様子
「買ってきたみかんの数」は、図のどこですか。
※指を差させる。
では、「買ってきたみかんの数」を求める式を立てて、答えを求めましょう。答えを求められたら、どうしてその式になるのか、説明してみましょう。
A つまずいている子
式をたてることができていない。
B 素朴に解いている子
32-15=17
32+15=47
たし算をすると47になって、全部の数より買ってきた数が多くなってしまうから。または、説明が書けていない。
C ねらい通り解いている子
32-15=17
全部の数から、初めにあった部分を取れば、買ってきた数の部分が出るから。
ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
式を立てるときに悩んでいた人がいましたね。どうして悩んだか、お話できる人はいますか。
問題に「全部で」とあるからたし算かなと思ったのですが、たし算をすると32より大きくなってしまうから困りました。
今言ってくれた人が悩んだ理由は分かりましたか。
15+32をすると47で、全部の数よりも大きくなってしまうということです。
そうですね。確かに、「全部で」とありますね。
問題文の「全部で」は、初めの15個と買ってきた□個の「全部で」32個ということだから、15と32を足してはだめです。
今のは、15+□=32ということです。
そうです。図で見ても、15個と□個を合わせて32個だから、15+□=32です。
では、答えを求める式はどうしたらいいのでしょう。
32個から15個を取ればいいので、32-15です。
図の全体から、この部分を取れば、この部分(買ってきた数の部分)が出ます。
なるほど。図を見ると買ってきた部分を求めるには、「全体」から初めにあった数の「部分」を取ればいいことが分かり、式は、32-15となりますね。では、答えは何人になりますか。
17人です。
学び合いの計画
本時は、テープ図をはじめて本格的に扱うので、まず全員がテープ図をかけるようにていねいに指導を行います。
そのうえで、問題文とテープ図を基にして正しく立式し、答えを導くようにしていきます。立式の根拠を明らかにする際は子供の言葉だけでなく、その考えがテープ図のどこのことを指しているのかを明確にしながら話合いを進めることが重要です。

式を立てるときは、問題の言葉だけに注目すると悩んでしまうことがありますね。どんなことに注目したらいいですか。
図を見て、何と何で全体かを見れば分かります。
図をかいて、全体を求めるときはたし算だけど、部分を求めるときはひき算だということに気を付ければいいです。
図の全体と部分に注目するとよさそうですね。
評価問題
教室に18人います。あとから何人か来たので、ぜんぶで34人になりました。あとから来たのは何人でしょう。㋐~㋒から図を問題文に合う図を選んで、式を立て、答えを求めましょう。

子供に期待する解答の具体例
正しい図㋐を選び、34-18と立式している。また、立式の理由を、全体や部分に着目して説明している。
学び合いの計画
評価問題で立式の根拠を説明し合う活動を設定し、図、式の全体と部分の関係がふさわしいお互いに確認させる。
イラスト/横井智美
【関連記事】
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の教科指導ヒントとアイデアシリーズはこちら!
・小3 国語科「わたしたちの学校じまん」全時間の板書&指導アイデア
・小4外国語活動 Unit 9「This is my day.」指導アイデア
・小3外国語活動 Unit 9「Who are you?」指導アイデア
・小5体育「ボール運動(ゴール型)」指導アイデア②
・小1体育「体つくりの運動遊び(多様な動きをつくる運動遊び)」指導アイデア①
・小1体育「体つくりの運動遊び(多様な動きをつくる運動遊び)」指導アイデア②
・小6体育「陸上運動(ハードル走)」指導アイデア①
・小6体育「陸上運動(ハードル走)」指導アイデア②
・小2体育「器械・器具を使っての運動遊び(マット使った運動遊び)」指導アイデア①
・小2体育「器械・器具を使っての運動遊び(マット使った運動遊び)」指導アイデア②
>>もっと見る