【相談募集中】国語の“要点のまとめ方“をわかりやすく指導するには?
小四を受け持つ女性教諭から「みん教相談室」に相談が届きました。国語の要点や要約について、子供にわかりやすく指導するにはどうすればよいのでしょうか? という内容です。これを受けて教育アドバイザー・多賀一郎先生は、キーワードの取り出し方に焦点を当て、その指導法を教えてくれました。
目次
Q. 要点のまとめ方を子供たちにわかりやすく教えたい
国語で要点、要約指導をしています。段落の要点をつかませる具体的な発問や方法、そしてそのまとめ方は、キーワードなのか、文章にするのが良いのかを教えていただきたいです。どの子にもできるようにさせたいと思っています。(要子先生・50代女性・4年生担当)
A. キーワードを取り出すことが有効な手立てです
キーワードをまとめて文章にすることを要約と言います。「要点をまとめる」とよく言いますが、これは、結局段落や文章を要約することなのです。ここでは「要点をキーワードでまとめることは、どういう意味があるのか」ということを伝えます。
段落の要点をまとめるための手だてとしては「キーワード」、別の言い方をすれば「重要語句」ですが、これを取り出すことが、かなり有効です。
キーワードを取り出すために段落を読み、主張に沿った文から言葉を取り出していくという作業が、実は、文章の読み取りにつながるのです。この学習を通して、子供たちは、作者の主張することを確実に読み取っていきます。
さて、教えにくいこととして次の2つが挙げられます。
- 一つの段落からキーワードを何個くらい取り出せばよいか
- 要点をまとめた文の長さは、どの程度が適当なのか
キーワードの個数ですが、子供は思いつくままに言葉を取り出してきます。それをいくつかに絞らないと、要点はまとまりません。しかし、いくつだとなかなか決められるものではないのです。その文章、段落によって変わるものですから。なので、まとめる文の長さを先に設定すると、キーワードが取り出しやすくなります。
文の長さについては、結論からいうと「20字程度でまとめましょう」という指示がよいでしょう。
20字程度にまとめるという目標を設定したら、段落からキーワードを取り出すことになります。キーワードについては、次のように指導します。
キーワードを取り出す際のヒント
①題名と関係のある言葉
説明文は題名について書かれた文章です。したがって、題名に出てくる言葉やそれと直接関係あるような言葉は、キーワードだと考えられます。
②繰り返し出てくる言葉
筆者が必要だと思う言葉は当然、繰り返し使われます。一つの段落に何度も出てくる言葉は、キーワードと考えられます。
③言い換えの言葉に注意
「人間」「人々」「私たち」のように同じような意味を表す言葉が出てくると、これは、一つの言葉を繰り返し言っていることと同じだと考えられます。
④強調表現が出てきたら注意
「とても」「すごい」「だいたい」のような言葉を強くする言葉(主に副詞)は、キーワードに入れない。要約は、簡単にまとめるのですから、こういう強調表現はカットします。
⑤並立の関係に注意
「AとB」「甲や乙や丙」のような表現は並立された言葉なので、Aだけや乙だけを取り出してキーワードとすることはできません。
指導をする際のヒント
さて、指導ですが、授業の最初に具体例を使って、上記5つの基本的な考え方を教えます。それを教室に掲示しておいて、段落ごとに要約していくことを一緒に行います。
段落を音読して、キーワードをノートに書かせます。このとき、「20字程度にまとめる」ということを頭においてキーワードを取り出させます。
そうすると、例えば「北アメリカの東海岸とヨーロッパの地中海側」という表現があったときに、⑤の法則で、どちらかだけをキーワードとして取り出すことはできません。両方を取り出したら、それだけで20字に達してしまうので、これは両方とも使えないということになります。
実は、説明文にはこういう形で例を挙げている表現が多いので、この考えが徹底されると、キーワードがかなり絞られてきます。そうして、子供たちが挙げてきたキーワードすべてを板書して、
「この中で特に重要だと思う言葉に手を挙げてください。ひとり2つだけ選んでください。」
と言って、挙手させます。だいたい、多くの子供たちが手を挙げた言葉が、教師が想定していたキーワードと重なります。あとは、その絞り込んだキーワードをつなげて一文でまとめると、要約が完成します。これを、繰り返していくのです。
できれば、他社の教科書の説明文から段落を取り出してきて、毎時間5分ずつ「要約」の練習をさせましょう。10回も続けていると、子供たちの多くがキーワードを取り出すコツをつかめてきます。
このやり方を続けていけば、どの子も要約の力をつけることができると思います。
みん教相談室では、現場をよく知る教育技術協力者の先生や、各部門の専門家の方が、教育現場で日々奮闘する相談者様のお悩みに答えてくれています。ぜひ、お気軽にご相談ください。