【木村泰子の「学びは楽しい」#9】学校は失敗するところ

今回は、小中学生の不登校が24万人を超え、前の年度から4万9000人近く増えて過去最多を更新(2021年度調査)という報道から、この現実を変えるために学校はどう変わればいいのか、今、私たちは何をすべきなのかを考えていきます。(エッセイのご感想や木村先生へのご質問など、ページの最後にある質問募集フォームから編集部にお寄せください)【 毎月22日更新予定 】
執筆/大阪市立大空小学校初代校長・木村泰子

目次
小中学校の不登校が24万人超に
この原稿を書こうとした日、「小中学生の不登校24万人を超える」の記事が目に飛び込んできました。小学生81,498人中学生163,442人です。このような残念な過去最多をいつまで更新するのでしょうか。子どもの「不登校」が増えれば増えるだけ、若い先生たちの姿が学校現場から消えていく気がしてなりません。
子どもを学校の規範に合わそうとしている限り、「過去最多」はどこまでも続くでしょう。学習マニュアルや学校の決まりを守る子どもをつくる時代ではありません。なぜこのルールがあるの? 目的は何なの? 何のために自分が行動するのかを子ども自身が問い続ける力をつけなければ、10年後の多様性社会・共生社会・予測困難な社会で「生きて働く力」はつきません。
「発達障害」かもしれません!
最近は全国どこに行っても、困っている保護者の方から同様の話を聞くようになりました。暴力をふるう子・椅子に座れない子・宿題をしてこない子・暴れる子・教室を飛び出す子・忘れ物が多い子・指示を守れない子・静かにできない子など、挙げればきりがありません。このような子どもは、「『発達障害』かもしれないのでお医者さんに診てもらってください」と学校から言われるとのことです。そして多くは、山ほど出される日々のプリント学習や長期休業中の宿題の多さに学習意欲を奪われてしまっているとのことです。
宿題は家庭学習でしょうか? 家庭での学習習慣をつけるためですか? 基礎学力を向上させるためですか? もしそうだとすれば、一人一人の子どもが今もっている学力に応じた学習課題を出さなくてはならないはずです。授業でわからないことを家庭でできるわけがありません。ところが、子どもはできないのは自分が悪いと思うのです。みんなは宿題をしてくるのに自分はできないので、やらないまま学校に行く。みんなのできることを自分ができないと思う毎日が続けば、だれでも学校に行きたくなくなりませんか?
先生から保護者に宿題をさせてくださいと連絡が入り、子どものためだと言われる。すると、親が家で子どもを叱る日々が続くのです。そして、担任も困り親も困る状態が続くと、「発達障害」かもしれないから診断をと言われるのです。「発達障害」の診断結果が出れば、担任も親も宿題をさせなくてもいい状況ができるのです。
このようなことが学校の当たり前になってしまっていませんか? 当事者である子どもはどう育つでしょうか。特別支援学級在籍の子どもの増加も「過去最多」である現状を問い直すことがら始めなければ、負の連鎖は止まりません。