執筆/福岡県北九州市立高槻小学校教諭・石丸こずえ
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・笠井 健一、福岡教育大学教授・清水 紀宏
目次
本時のねらいと評価規準
(本時の位置 2/ 12)
本時のねらい
10 のまとまりに着目し、具体物の操作、言葉、式を使って考え、説明する活動を通して、減加法を理解することができる。
評価規準
減加法について理解し、それを言葉や式で表現することができる。(数学的な考え方)
問題場面
やきいもが 12 こあります。7こ たべると、なんこ のこりますか。

本時の学習のねらい
12 -7の けいさんの しかたを かんがえ、せつめいしよう。
見通し
・答えは、5になりそう(結果の見通し)。
・「10 のまとまり」から、取ればよい(方法の見通し)。
自力解決の様子とそこでの指導の手立て
A:つまずいている子
ブロック操作ができない。
または、ブロック操作を言葉で説明できない。
B:素朴に解いている子
10 から7を取ることなど、一部のブロック操作を言葉で説明する。
C:ねらい通りに解いている子
「はじめに」「次に」「最後に」のように、ブロック操作の過程を筋道立てて言葉で説明する。
ブロック操作と言葉、式を関連付けることで、減加法を理解し、正しく計算することができることをねらいます。
具体から抽象の方向だけではなく、抽象から具体の方向の関連付けも大切にしましょう。
Aの子供については、前時の学習を振り返りながら、減加法の仕組みを確実に操作できるようにしましょう。また、その核心である「10から7を引くこと」を言葉で表現するよう促しましょう。
Bの子供については、問題文に10という数がないことを知らせ、10のまとまりがどのようにできたか、答えの5がどのようにできたかを問い、言葉で説明させましょう。

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
12 -7の計算をブロックを使って、答えを出してみましょう(ブロックの操作をする)。
答えは、5になります。
どのように計算したか、言葉で説明しましょう。
「10のまとまり」から、7を引きました。
3と、ばらの2で、5です。
問題文に、10はないですね。「10のまとまり」は、どこから出てきたのですか。
12を「10のまとまり」と、ばらの2に分けたら、「10のまとまり」ができます。
なるほど。まずはじめに、12を10と2に分けるのですね。(A)
次に、どうしましたか。
次に、「10のまとまり」から7を引きました。 (B)
最後に、どうしますか。
最後に、残った3とばらの2を合わせました。 (C)
答えは、5になりました。
では、もう一度、ブロックを操作しながら、言葉でまとめてみましょう。
形式化を急がず、ブロックの操作と言葉の表現を結び付けていきます。具体的には、上記A、B、Cの言葉と同時に、黒板で教師用ブロックを使って操作します。その際、その言葉に合わせながら、子供にも一緒に操作をさせます。
その後、ブロック操作から離れ、計算の仕方を言葉で表現することを繰り返しながら、12を10と2に分けていることを表す図式と関連付けて、考えることができるようにしていきます。
言葉で表現させるときには、「はじめに」「次に」「最後に」などの順序を説明する言葉を適宜使っていきましょう。この時、前ページの対話のように子供たちの言葉をつなげていきながら、計算の仕方をまとめていきましょう。
ノート例

本時のまとめ
12 -7の けいさんの しかた
①12 を、10 と2にわける。
②10 -7=3
③3と2で、5。

評価問題
つぎの けいさんの しかたを せつめいしましょう。
①14 -8
② 13 -7
期待する子供の姿
減加法について理解し、言葉や式で説明することができる。
子供の感想例
ブロックがなくても、かんたんにけいさんができそうです。
けいさんのしかたがわかったので、大きなかずでも、けいさんしてみたいです。
ワンポイントアドバイス
福岡教育大学教授 清水 紀宏
第一学年で学習する繰り下がりのある減法の学習では、子供たちは10のまとまりに着目し、ブロックなどの具体物を用いた活動を通して、それまでに学習した減法や加法に帰着することを考え、説明していくことになります。
この授業は、減数を□として適切に数を決めることで、13 -2などの既習の問題と本時で扱う13 -9という未習の問題が共に出現し、本時のめあてが明確になります。こうした「□を使った問題の形式」は、数と計算領域の授業ではしばしば有効な導入の方法となります。
全体発表では、それぞれの方法を「聞きっぱなし」にするのではなく、全員に再度、操作させることで(前を見ながら手元の操作をするのは難しいので、丁寧な指導が必要!)、それぞれの考え方の意味を確認しつつ、「10から9をまとめて取り去るよさ」を際立たせている点が素晴らしいです。
なお、この実践では、減加法に焦点化した指導となっていますが、子供の実態や先生の指導観に応じて、減減法と併存しながら学習を進めていくことも考えられます。
イラスト/佐藤雅枝 横井智美
『小一教育技術』2018年12月号より
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