小3体育「体つくり運動」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・田中喜教
編集委員/国立教育政策研究所教育課程調査官・塩見英樹、埼玉県教育委員会主任指導主事・河野裕一
目次
授業づくりのポイント
今回の体つくり運動は、多様な動きをつくる運動のなかで「体を移動する運動」及び「用具を操作する運動」を行います。本実践は感染症拡大防止の観点から、一人でできる運動を中心に学習を進め、自己の伸びを実感したりペアで動きを見合ったりしながら楽しく運動することをめざします。
「多様な動きをつくる運動」は、ほかの運動領域では扱われにくい体のさまざまな動きを取り上げ、その行い方を知るとともに、運動の楽しさや喜びに触れ、基本的な体の動きの幅を広げ、動きの質を高めていくことをねらいとしています。
また、自己の課題を友達とのかかわりから見付け、その解決のために活動を工夫し、それを友達や教師に伝える授業展開としましょう。さらに、きまりを守って誰とでも仲よく運動をし、友達の考えを認め、場や用具の安全に気を付けることも大切にしていき、全員が進んで楽しく運動できるよう支援しましょう。
※4月に、体ほぐしの運動と多様な動きをつくる運動のなかで、「体のバランスをとる運動」「力試しの運動」を扱いました。今回は「体を移動する運動」と「用具を操作する運動」を扱います。
かけ足を行う際の授業の安全確認
・コースの整備
・スタート位置の分散
・マスクの着用は必要なし
・休憩時間の確保
・AEDの位置把握
単元計画(例)
楽しむ① 友達とできそうな動きを見付けて、運動を楽しもう
多様な動きをつくる運動では、楽しく運動するなかで、これまでに学習した内容や用具の特徴を生かして、今できる動きから取り組んでいきます。その際、子供の発想を場づくりに生かして、進んで運動をできるようにしましょう。できるようになったら、「もっとチャレンジしてみたい行い方はないかな」と動きの工夫を引き出しましょう。
「用具を操作する運動」では、「リングランド」でフープを操作したり、「体力コツコツ貯筋ジャンピング」のなかで短なわを使用したりします。これらの用具は友達と距離を確保しながら、見合うことができたり、一人でもいろいろな操作ができたりします。
「体を移動する運動」では、短なわを使った用具操作と合わせて取り組みます。各運動において、動きのポイントを意識しながら楽しく取り組むことで、基本的な動きを身に付けられるようにしましょう。
用具を操作する運動例「リングランド」
フープは操作の多様性から、いろいろな動きを引き出しやすい用具です。工夫する姿を称賛し、子供の意欲を高めたり、思考する姿を広めたりしていきましょう。また、考えたことを友達に伝え、チームで動きを考えることもいいですね。
●リングジャンプ ●フープくぐり
●なわとび川通し ●たくさん輪投げ
※一人でできる運動から複数人数でできる運動まで、楽しく安全に取り組みましょう。


多くの動きができるようになったね! 次は、動きを工夫して楽しみましょう! どんな工夫が考えられるかな?
【工夫の視点例】
(1)人数の増加
(2)向きや方向の変化
(3)長さ、距離、速さの変化
(4)動きを組み合わせる
子供から引き出したい工夫例(もっと楽しもう)
・友達とタイミングを合わせてジャンプしたい
・なわとびの川をもっと長くしたい。狭くしたい
・転がしたフープにボールを投げたい
・輪投げのペットボトルを増やして友達と競いたい
体を移動する運動例「体コツコツ貯筋ジャンピング」
体力コツコツ貯筋ジャンピングの行い方
四隅では短なわの課題に取り組む。回数を設定し、クリアしたら次に進む。移動の際は、それぞれの場でポイントを読んで運動をする。
競走ではなく、自己に合う運動を選択できるようにしましょう。ポイントを読み、運動の行い方を決めたり、ペアで見合ったりしながら運動をするとよいでしょう。
楽しむ② 体力コツコツ貯筋ランニングをして楽しもう
「リングランド」は、単元前半で身に付いた動きの質を高めることをねらいとします。人数、姿勢、速さ、リズム、方向、長さなどの視点から変化をつけることで、友達と動きを合わせて運動を楽しんだり、質の高い動きに挑戦したりして、楽しめるようにしましょう。
「体力コツコツ貯筋ランニング」は、一定の速さでのかけ足に取り組みます。誰もが無理のない速さで楽しみながら走ることができるように、学習の場やきまりを工夫します。
イラスト/高橋正輝、横井智美
『教育技術 小三小四』2021年12/1月号より