小4算数「式と計算の順序」指導アイデア
執筆/福岡県公立小学校教諭・中村翔
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、福岡教育大学教授・清水紀宏
目次
本時のねらい(本時6/8時)
数のまとまりや演算に着目し、式と場面を結び付けて考える活動を通して、式表現について理解を深める。
評価規準
具体的な場面について式の表す意味を読みとり、説明することができる。(知識・技能)
問題
黒石と白石を合わせた数は何個ですか。
一つの式に書いて求めましょう。
黒石と白石は全部で何個ですか。
5×6=30だから、30個です。
正解です。式が5×6になることを図で説明してください。
縦に5個、横に6個あるから5×6です。
縦と横の数を逆にして、6×5でもよいと思います。
今日は式と図を結び付けることを考えます。次の3人の考えを図で説明してください。
はなこ:2×6+3×6
しょう:6×2+6×3
たろう:(2+3)×6
学習のねらい
式がどのような考え方を表しているか、図と結び付けて説明しよう。
見通し
石のまとまりに目を付けてみよう。
黒石と白石を別々に考えてみよう。
自力解決の様子
A つまずいている子
式の表す数が図のどこに対応しているのか、見付けることができない。
B 素朴に解いている子
式と図の対応を丸で囲んで線でつなぐなどして表現することはできるが、言葉で説明することができない。
C ねらい通り解いている子
式と図の対応を式の数や場面を表す言葉を用いて、説明することができる。
学び合いの計画
Aの子供には、はなこの式の2×6について、図で2×6がどこに対応するか考えさせ、丸で囲ませたり印を付けさせたりして、式の数と図の対応を線でつながせます。
残りの3×6や、たろうの式も同じように考え、表現するよう促します。
Bの子供には、図で対応を示すだけでなく、その対応を式の数や「縦の数」といった言葉を補いながら表すよう促します。
全体交流では、石のまとまり、縦の個数、横の個数、かけ算、たし算という観点から、式と図の対応を確認していきます。
また、計算の順序のきまりをふり返りながら、式表現の理解につなげていきます。
ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
はなこさんの式の検討
(黒板上で、はなこさんの式と図の対応を子供と確認する)
それでは、この対応を言葉で説明しましょう。
はなこさんの式の2×6は黒い石の数です。3×6は白い石の数です。黒と白を合わせた式が2×6+3×6です。
付け加えます。黒い石のまとまりは縦の数が2個、横の数が6個だから2×6になります。
縦と横を入れ替えてつくった式が、しょうさんの式になっています。
2×6や3×6にかっこがないけれど、これでよかったでしょうか。
かけ算を先に計算するきまりがあるので、かっこはなくても大丈夫です。
たろうさんの式の検討
たろうさんの式を図や言葉で説明しましょう。
(2+3)×6の「2たす3」は黒い石と白い石の縦1列のまとまりの数です。これに横の数の6をかけると全部の個数になります。
式にかっこがあるのはどうしてですか。2+3×6ではいけませんか。
2+3×6だと、かけ算の3×6を先に計算しないといけません。だから2+3にかっこが必要です。
今日の学習で大切なことを言いましょう。
数のまとまりを見ることです。
かけ算とたし算が図のどこにあるか探すことです。
1つの式で表すときに、計算の順序のきまりに気を付けることです。
学習のまとめ
式の数やたし算やかけ算に目を付けると、図をどのように見ているかが分かる。
評価問題
○、□の全部の数を式①、②で表しました。図をどのように見たか、説明しましょう。
① 3×4+3×6
② 3×(4+6)
子供に期待する解答の具体例
式が表す関係を図と結び付けて考え、式の数と言葉で説明することができる。
感想例
式を見ると、図がどのようにできているか分かります。
『教育技術 小三小四』2021年10/11月号より