授業力を高めたい!⑩ アウトプットで自分を高める|樋口綾香のすてきやん通信

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板書や指導のコツを伝授!樋口綾香の「すてきやん通信」

大阪府公立小学校教諭

樋口綾香

Instagramでは2万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による人気連載! 研究の仕方が分からなかったり一人では不安だったりする先生に向けて、授業力を高めるための手段や考え方についてお伝えしてきました。シリーズ最後のテーマは、「アウトプット」です。

執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香

写真AC

アウトプットでさらに授業力を高めよう!

第1回から第9回まで、授業力を高めるための指導技術や考え方についてお伝えしてきました。これらは知識や技能を取り入れること、つまりインプットについての内容が大半でした。

授業力を高める上では、授業を分析することが必要であるため、「実践する → 振り返る」のサイクルが回り続けます。このサイクルの中で、少しずつ気づきが増え、授業力が高まっていきます。

さらに授業力を高めるには、「実践する → 振り返る → 発信・発表する」のサイクルを回して、自分の実践を書くことや話すことでアウトプットするのがおすすめです。

研究授業、やりっぱなしで終わっていませんか?

時間をかけて書いた指導案、子供たちが楽しそうに学んだ授業、たくさん意見をもらった協議会。「あ~終わった」でおしまいにしていませんか? それは、とてももったいないです!

書いて残す。そして次に紹介するようなアウトプットをすると、さらに多くの気づきを得られます。私がこれまで機会を得たアウトプットについてお伝えします。

校内の研究報告冊子や研究紀要に実践を掲載する

研究報告冊子や研究紀要は、研究授業後の授業者の感想を一言だけ載せたり、指導案のみを掲載したりする場合もあると思います。その場合は、担当者と交渉して実践を載せてもらうという方法があります。一部の教員しか書けない場合もありますが、機会を得られるならぜひ挑戦してほしいです。

研究授業をした本時についてだけではなく、単元全体の授業について振り返ることで、自分の授業づくりを俯瞰しながら記録することができます。

校内研修や仲間の教員に向けての実践報告をする

校内で学び合う環境がある場合は、実践の記録を印刷して配付したり、プレゼンテーションをして交流するのがおすすめです。

話しながら自分の考えがまとまったり、研ぎ澄まされていったりする感覚を知ることができたり、多面的・多角的に実践を批評してもらうチャンスにもなります。

自身のSNSで発信する

SNSが盛んになり、これまでよりもアウトプットの場が増えました。オンライン上で研究会を運営する団体も多くなっています。

私も、Instagramで@ayaya_t_として実践をアウトプットしています。誰かから意見をもらうというよりは、自分の実践を書いて残すことで、思考を整理したり、反省を次の実践に生かせるようにと考えています。

SNSはあくまで個人の責任で行うものなので、子供の写真や名前、作品等を載せてはいけません。また、教科書や挿絵などの著作権にも注意が必要です。匿名であっても信用失墜行為となることがあるので、実践をアップするときには、十分に気を付けて行いましょう。

研究会や研究サークルに所属して発表する

この方法がいちばんおすすめです。自分が興味をもっている分野の研究団体に所属すると、同じ考えをもっている人に出会えたり、ストイックに学んでいる仲間から刺激を受けたりすることができます。

アウトプットすると、必ずフィードバックが返ってきて、対話によって考えを深めていくことができます。そのような環境は、授業力向上に欠かせないと考えています。

出版社や教育財団等が主催する教育論文コンクールなどに応募する

まとめた実践は、論文コンクールなどに応募することができます。まとめ方については、それぞれ違いがありますので、インターネットで検索するなどして確かめてください。

アウトプットする機会を得るだけでなく、選ばれると賞金をもらえるコンクール等もあるので、がんばったご褒美になります!!

教育実践コンテスト「実践! わたしの教育記録」特集
主催:一般財団法人 日本児童教育振興財団
後援:小学館・教育技術研究所


アウトプットはインプットの何倍も時間がかかりますが、整理・分析された実践は、記憶に残りやすいもの。これからさらに授業力を高めていけるよう、自分を支え続けてくれます。どんな方法でもいいので、ぜひ挑戦してみてください。

樋口綾香教諭

樋口 綾香

ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書出版)ほか。編著・共著多数。

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