小5算数「分数のたし算とひき算」指導アイデア
執筆/新潟県公立小学校教諭・濱中大輝
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、新潟県公立小学校校長・間嶋哲
目次
本時のねらいと評価規準(本時の位置 5/10時)
ねらい
異分母分数について、図と通分を関連づけていくことを通して、分母を揃えれば計算できることを理解することができる。
評価規準
異分母分数について、分母を揃えると計算できる理由を説明することができる。
問題
2つの入れ物に、[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]Lと[MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH]L のジュースが入っています。合わせて何L ありますか?
「[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]Lと」まで提示した後に間を取り、問題の続きを考えさせる。ここで既習の同分母分数を想起させることで本時との違いを比較できる素地をつくる。
この(「[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]Lと」まで板書した)後は、どうなると思いますか?
[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]とかならいいのに。
でも、今回は分母が違うんじゃないかな。
(問題文の続きを書く。)今までの学習と違うところはありますか?
今日は、分母が違うたし算になってる。[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]+[MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH]だよね。
どこをたしたらいいかわからないよ。
本時の学習のねらい
分母がちがうたし算は、どのように計算すればよいか。
見通し

[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]Lと[MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH]Lを図に書いてみると、合わせたときどれくらいの量になりそうですか?
あともうちょっとで1Lになりそう!
大体の量はわかるけれど、めもりの幅が違うからわかりにくい。
分母が違うとめもりの幅が揃ってないからうまく数えられない。
分母がどうなったら計算できたり、数えられたりしそう?
分母が同じになったら計算できる。
[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]+[MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH]のやり方を図や計算で考えましょう。
自力解決の様子
A つまずいている子
・分母と分子をたしている。
[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]+[MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH]=[MATH]\(\frac{2}{5}\)[/MATH]
・大きい分母に合わせている。図から解釈している。
[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]+[MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH]=[MATH]\(\frac{2}{3}\)[/MATH]
B 素朴に解いている子
通分して分母を6に揃えて計算している。
[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]+[MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH]=[MATH]\(\frac{2}{6}\)[/MATH]+[MATH]\(\frac{3}{6}\)[/MATH]=[MATH]\(\frac{5}{6}\)[/MATH]
C ねらい通り解いている子
通分し、計算したことを図でも解釈できている。

学び合いの計画
自力解決の際に、手が止まったり、困っていたりする子には、気持ちを聞き、全体に広めることを行います。同じ分母にしたいけれど、どのようにすればいいかわからない子が想定されます。その気持ちを全体に広め、「同じ大きさの分数なら変身できるよ。」や、場合によっては「通分する」という言葉まで共有します。
ノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]+[MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH]=[MATH]\(\frac{2}{5}\)[/MATH]と書いている人もいたけれど、気持ちはわかりますか。
分子もたすから、分母もたしている。
でも、それだと半分よりも小さくなっちゃうよ。
みんなはどう考えていたんですか。
通分して、[MATH]\(\frac{1}{3}\)[/MATH]+[MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH]=[MATH]\(\frac{2}{6}\)[/MATH]+[MATH]\(\frac{3}{6}\)[/MATH]=[MATH]\(\frac{5}{6}\)[/MATH]と考えました。
なるほど。それは図の中に見えますか?
(クラスの実態によっては、「[MATH]\(\frac{2}{6}\)[/MATH]や[MATH]\(\frac{3}{6}\)[/MATH]は図の中に見えますか?」と発問する。)

どちらも1Lが6等分になるように線を引けば見える。
6等分することでめもりの1つ分がそろうんだね。
[MATH]\(\frac{1}{6}\)[/MATH]が5こって数えられるから、分母をそろえるって大事だね。
本時のねらいに正対した学習のまとめ
通分して分母をそろえて計算すればよい。
本時の評価問題
[MATH]\(\frac{1}{2}\)[/MATH]Lと[MATH]\(\frac{2}{5}\)[/MATH]Lは合わせて何Lになるでしょう。
子供に期待する解答の具体例
通分すると、[MATH]\(\frac{5}{10}\)[/MATH]+[MATH]\(\frac{4}{10}\)[/MATH]になるから、[MATH]\(\frac{9}{10}\)[/MATH]Lになる。通分すると、目盛りがそろって、[MATH]\(\frac{1}{10}\)[/MATH]が9つ分になるから、計算できる。
感想例
分母がちがうときのたし算は、分母をそろえるとめもりの1つ分が揃うから計算できることがわかりました。自分は計算だけしか書いていなかったけれど、Cさんの図を見て、計算できる理由に気づきました。次は、分母がちがうひき算をやってみたいです。
『教育技術 小五小六』 2021年8/9月号より