小2国語「ニャーゴ」板書の技術
今回の教材は、「ニャーゴ」です。この単元は、「音読発表会を行い、感想を交流し合う」という目標に向けて、学習活動をしていきます。こだわりの言葉をわかりやすく書いた板書、音読を意識できる板書、お気に入りの場面を伝え合う板書の工夫を紹介します。色チョークや矢印も効果的に使います。
監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/大阪府公立小学校教諭・岡本美穂
教材名 「ニャーゴ」(東京書籍)
目次
単元の計画(全8時間)
1 全文を読んで感想を伝え合い、学習の見通しを立てる。
2 題名や挿絵を基に物語の中で起こった出来事を場面ごとに確かめる。
3〜6 場面ごとに、場所や人物の行動・心情を、叙述を基に読み取り、音読で表現する。(全4時間)
7 グループごとにお気に入りの場面を選んで、絵を描き、その場面の音読の練習をする。
8 音読発表会を行い、感想を交流し合う。
板書の基本
ICTと板書をどうつなげて考えていくべきなのでしょうか。電子黒板もタブレットもあるから「板書は必要ない」と思われるかもしれません。しかし、板書は絶対に必要です。
板書は子供の思考をつなぐ、
教師と子供をつなぐ、
子供と子供をつなぐ役目をしており、
授業の中で絶対に欠かすことはできないからです。
教師が直接書く、というその手間が「温かみ、ライブ感」を生み出します。だからこそ、板書を見れば、その教師が
どんな学級を目指しているのか、
どんな授業を理想としているのか、
つまり「どんな先生なのか?」が見えてくるはずです。
以前担任した4年生の児童は、板書を授業後に自分のタブレットで撮影して、板書の画像を貼り付け、授業のまとめを自分で作成して「プレゼンの資料」のように仕上げていました。まるで研究授業の記録のようです。こういうことも自主学習として認めていきながら「子供たちの力」を引き出すICT教育と板書を考えたいものです。
板書のコツ(1/8時間目)
板書のコツ①
「このお話を読んでみてどう思いましたか?」と発問したところ、
「話を聞かなかった3匹の子ネズミが気になります」
「猫はどきっとしましたって書いてあるけど、そこがなんでどきっとするのか気になる」
という意見が出てきたので、それについて子供たちと考えることにしました。すると、何に「どきっ」としたのか、ということを追究する子供の姿が見られました。
今回は「ねこはどきっとしました」ということを基に感想を交流しながら、物語を読むことの面白さに気付き、学習意欲を高めたいと考えました。言葉にこだわった授業が始まりました。言葉にこだわった授業をするためには、その「言葉」を板書のどこに、どのように書くのかが大事になると考えています。
今回は、少し段落を下げて書き始めることで、他との区別がされて子供たちの視点が集まりやすいように工夫をしました。「文頭をどこにするのか」ということは板書計画であらかじめ考えておくことで、授業中どこに書くかで悩むことは少なくなります。
板書のコツ②
この作品の題名を見たとき、とっさに「猫の鳴き声」と子供たちは解釈していました。しかし、「ニャーゴ」はどんな言葉にも代えられない「ニャーゴ」でしかない、ということがわかりました。つまり、「ニャーゴ」が象徴しているものは、単なる泣き声ではないということです。「ニャーゴ」という言葉を見て自分の概念で意味付けてしまっていたことがわかったのです。
この作品では登場人物が「ニャーゴ」という言葉でつながり、その言葉こそが関係性を表していることがわかりました。だからこそ、「題名」は必ず板書するようにしています。毎回、国語の板書では「題名」を書いていますが、ただ、何を学習しているのかということを知らせたいというわけではありません。作者意識をもたせることと、題名を大事にして読める力を育てることを意図しています。作者や題名は読書指導につながります。
板書のコツ(7/8時間目)
構成/浅原孝子