子供が「絵日記を書きたい」と思う指導とは 【小1国語 京女式書くことの指導】7

連載
吉永幸司の京女式「書くことの指導」
【小1国語】1年生の賢い子を育てる「京女式 書くこと指導」

今回は、夏休みの宿題として定番となる絵日記の効果と指導術を紹介します。子供の書いた絵日記の裏面には、保護者の感想を書く欄が設けてあるのが、京女式の特徴です。子供の絵日記に保護者の感想を書いていただく試みは、保護者との信頼関係を高めるアイデアのひとつです。単行本『はじめてのひらがな、カタカナ 1年生担任の京女式国語の教育技術』(小社)を再編集して、1年生の国語の指導ポイントをわかりやすく紹介するシリーズです。

執筆/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永 幸司

絵日記で親の思いと先生の思いをつなげる

この絵日記のココがよい

「おとうさんとこままわしをしました」「三かいせんはかちました」というように活動をした順序を意識して書いています。また、「たいけつした」など、使ってみたい言葉を織り込んで、少し得意になっている様子がよくわかる日記です。経験を順序よく書くという力が反映されています。

用紙を手にして、すぐに書き始めるような子が教室に溢れるようになるのが、入門期の子供です。絵から始めることもできます。「何か、書きたいことはありませんか」など、高学年で使うような働きかけは、不要です。ぱっと頭に浮かぶことを書くことが絵日記指導のはじめです。

子供の絵日記(表)


文を読んでから絵を見ると、お父さんと子供がコマで対決している様子がよくわかる日記です。お父さんと対決という言葉が絵日記のテーマです。


一回戦、二回戦、三回戦と順序を意識して書いています。特に、負けた、勝ったという対比が文中に生かされています。言葉の使い方を生かした、読んでいて楽しい文です。


「対決」という覚えた言葉を使って生き生きと書いています。日記の中でその言葉は、生きています。日常的に使っている語彙量の多さを反映しています。

子供の絵日記(裏)


母親が子供を温かく見守っているコメントを大切に受け止めました。それが学校と家庭で子供を育てていることを自覚したメッセージになります。子供の日記を読んだ親の感動をそのまま受け止め、それを教育のエネルギーにしたいという気持ちを伝えることは、子供を見守る親に安心感を与えます。それが親子日記の効果です。

親と子で楽しい1日の思い出を作る場としての絵日記は、対話が生まれます、大人は、子供の心の中を覗くようなわくわく感があります。そんな楽しい時間を共有していることを楽しめることが大事なのです。


子供の絵日記を楽しむことが「書きたい」につながる
1年生の子供は、絵日記を書くことが大好きです。それは、絵と文によって、自分の体験したこと、心に残ったこと、心が動いたことなどを形として残せることに快さを覚えるからです。文を書くことに慣れていないので表現が幼く、わかりにくいのは当然です。上手に書きたいということより、書きたい、表現したい気持ちが強いのです。
書いているときの子供の気持ちをしっかり受け止め、描いた絵や言葉の奥にある心の動きを読み取るようになれば、1年生教師として、ちょっと子供に近付いているという誇りが生まれるでしょう。
絵日記の指導の上手な教師は、子供の絵が楽しい、子供の文を読むのが好きということから始まります。多く注文をせず、子供の絵日記を楽しむことが子供に伝わり、次も「書きたい」という意欲を高めます。
赤ペンで○を付けるとともに、時間に余裕があれば、がんばって書いたと思われるところをほめる言葉を書き添えます。文字が上手というのもよいでしょう。出来事や文についてということと決めないで、いいところを伝えるようにする赤ペンにしましょう。

<ダウンロード資料>

<ワークシート>ただしいもじをかきましょう

吉永幸司(よしながこうし)
京都女子大学附属小学校特命副校長
滋賀大学学芸学部卒業。滋賀大学教育学部附属小学校教諭(26年間)、同副校長、公立小学校校長、京都女子大学教授・同附属小学校校長。国語指導、道徳指導に長年携わる。国語教育、道徳教育の大家として定評が高く著書も多数。『教育技術ムック 考える子どもを育てる京女式ノート指導術 小学校国語』小社ほか。

構成/浅原孝子

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