防災訓練のポイント 〜自分の身を自分で守ることができるように〜

避難訓練のポイントや、学級活動(2)でできる事前指導について紹介します。

執筆/神奈川県公立小学校教諭・塚本裕美

自分の身を自分で守ることができるように

地震だけでなく、大雨や雷などさまざまな災害が起こることが考えられる昨今、防災教育の推進が求められています。防災教育の主なねらいとして、身の回りの危険を予測・回避し、安全な生活に対する理解を深めること、また、子供たち自身で判断し行動する力を付けることがあります。

子供たちが、避難訓練をはじめ、引き渡し訓練や地域防災訓練などをくり返し経験することで、防災に関する知識と技能を身に付けることができるように指導することが大切です。

災害が起こってしまったときには、まずは、自分の身は自分で守ること。そして、互いに助け合うことの重要性を示していきましょう。

避難訓練 〜さまざまな状況を想定して〜

避難訓練は、自分と友達の命を守る大切な訓練であることを子供たちと確認しましょう。

そして、命を守るために約束を必ず守り、危険を回避する力を身に付けていくことができるようにしましょう。具体的な場面を示し、子供たちとその場に応じた行動を考えましょう(ワークシートなどを活用すると効果的です)。

避難する際の約束事として、「おかしも」を合い言葉に指導している学校が多いと思います。災害が起こったときに懸念されるのは、パニックになって速やかに避難できず、けが人が出てしまうことです。自分も友達も安全に避難するための「おかしも」が大切であることを指導しましょう。

感染症予防の観点から、全校での避難訓練の実施が難しい場合は、学年や学級ごとに日や時間を分けて行うことも考えられます。その際も、避難時の約束や避難経路など、学校で共通の指導事項を押さえたうえで実施しましょう。

学級活動(2)の授業で行う

避難訓練や引き渡し訓練の事前指導として、学級活動(2)「ウ 心身ともに健康で安全な生活態度の形成」の授業で扱うこともできます。

つかむ

これまでの避難訓練の様子を、事前にとったアンケートを基に学級みんなでふり返り、自分たちの問題に気付くようにします。

さぐる

地震が起こったときの、校内の危険箇所について考えます。

見付ける

校内のさまざまな場所にいるときに地震が起こったときの、身の守り方や避難の仕について話し合います。

決める

地震が起こったときに、「ここにいたらこんな行動をして危険を回避する」ということを決めます。また、「放送をしっかり聞く」「ろうかは歩く」など、日常の生活でも実行できることを決めます。


本時で決めためあてを、1週間ほどの期間を決めて実践します。その1週間のうちに避難訓練があるとなおよいでしょう。日々の取組をふり返るためのカードを用意し、活用しましょう。

実践後は、学級全体でのふり返りの場を設け、取り組んだ感想を共有します。

また、保護者にも学習の内容とともに、学校外で災害が起きたときの行動を親子で話し合っておく大切さを伝えましょう。

教師自身も危機回避の目を

子供たちが避難訓練を行うように、教師自身も発災時に、身の回りの環境で危険な場所はないかということを常に確認しておくことが大切です。子供が避難している場面を想起しながら、改めて教室環境の見直しをしてみましょう。

また、定期的に、他の先生方と一緒に学校の中を見回って、危険な場所がないか探すとよいでしょう。

地域の防災訓練に参加する

大規模な災害が起こった場合、学校が「地域防災拠点」となり、地域の方を受け入れる避難所が開設されることが多いでしょう。子供たちが地域の防災訓練に参加することで、自分たちの住む地域でどのような防災訓練がされていて、どのような方々の協力で安全が守られているのかを知ることができます。

ただし、コロナ禍で実施が見送られたり規模が縮小されたりしている地域も多いと思います。その場合には、訓練の内容や避難所の役目などを過去の写真や映像を使って子供たちに知らせておくことも大切です。

イラスト/山本郁子

『教育技術 小三小四』2021年8/9月号より

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