「最初とポン」で覚える力を伸ばそう【漢字コグトレ #2】課題シート付
2回目の今回は「覚える」力を伸ばすトレーニングのなかの「最初とポン」にチャレンジしましょう。「コグトレ」とは、宮口幸治先生たちが開発した「コグニティブ(認知)機能」を高めるトレーニングのことで、身体面、学習面、社会面の3方面から包括的にトレーニングする特徴があります。本連載では、学習面のトレーニング(認知機能強化トレーニング)を基に、図形や記号、数字などを漢字に置き換え、漢字に特化した「漢字コグトレ」を紹介します。
監修/立命館大学教授・宮口幸治
目次
「認知機能強化トレーニング」とは
コグトレの認知機能強化トレーニング(→詳しくは連載第1回を参照)は、以下の表のように「覚える」「数える」「写す」「見つける」「想像する」の合計5つの分野をターゲットとしたトレーニングから成り立っています。
今回は、上記の「覚える」(記憶する)のなかから、「最初とポン」の課題を紹介します。
「最初とポン」は、複数の言葉を順番に覚えることで、聴覚(言語性)ワーキングメモリをトレーニングします。
例えば、先生から「国語の教科書の16ページを開いて、2行目の文章から読みましょう」と言われると、「国語」「16ページ」「2行目」という言葉を順番に覚えておく必要があります。このように、先生の話をしっかり聞いて覚えて学んだり行動したりする能力を鍛えます。
また、最初の言葉を覚え、動物の名前が出てきたときに手をたたくという2つの動作が混ざっているので、集中力を付けることも期待できます。学習時には欠かせない力です。
今回の「最初とポン」の最初の漢字は、小学3年生で習得する漢字と小学4年生で習得する漢字を入れています。漢字力を養うことにもつながります。
「最初とポン」にチャレンジ!
ねらい
授業中の先生の話や人の話に注意を向けて、集中してしっかり聞く力をつけます。
進め方
1 先生が2つまたは3つの文章を読み上げます。
2 子どもたちは各文章の最初の単語(太字)だけを覚えます。動物の名前(下線)が出たら手をたたきます。
3 先生が読み終わったら、子どもは最初の単語をノート(用紙)に書きます。
※最初の単語に関しては厳密な決まりはなく、長く答えても内容が一致していれば正解とします。
※目の前の子どもたちに応じて、2文だけにする、漢字が難しい場合はひらがなで書いてもよいと伝える、教師が単語を入れ替えるなど、難易度を調整しましょう。
※動物の名前が出たら手をたたく代わりに、手をあげてもよいでしょう。
問題文シート(最初の単語が3年生の漢字)
※教師が読み上げる。
問題文シート(最初の単語が4年生の漢字)
※教師が読み上げる。
授業の進め方
進め方は以下の手順を参考にしてください。※詳しくは『子どもの認知能力をグングン伸ばす!マンガコグトレ入門』(小学館)をご覧ください。
宮口幸治(みやぐちこうじ)
立命館大学教授 一般社団法人日本COG-TR学会代表理事
京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、2016年より現職。困っている子どもたちの支援を行う「日本COG-TR学会」を主宰。医学博士、子どものこころ専門医、日本精神神経学会精神科専門医、臨床心理士。著書『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)が大ベストセラーになる。
取材・文・構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ
出典:『コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング』(三輪書店)、『1日5分! 教室で使える漢字コグトレ 小学1~6年生』(東洋館出版社)
『子どもの認知能力をグングン伸ばす! マンガコグトレ入門』(小学館)
子どもの認知能力をグングン伸ばす!マンガコグトレ入門
教室を舞台にしたマンガでコグトレの進め方を楽しく具体的に紹介しています。「コグトレを取り入れたいけれど、何からどのように始めたらよいかわからない」という方にもピッタリの1冊です。「コグトレ」の代表的な50種のトレーニングのねらいや進め方・ポイントなどを、マンガを交えて易しく解説。紹介する課題のワークシートはすべてダウンロード可能。
A5判/224頁
ISBN9784098402182