「いじめ防止対策協議会」とは?【知っておきたい教育用語】

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いじめ防止対策推進法の施行に基づいて文部科学省が設置した「いじめ防止対策協議会」。その役割や実施状況について、いじめ対応の現状を含めて理解しておきましょう。

執筆/創価大学大学院教職研究科教授・渡辺秀貴

いじめ防止対策協議会の設置に至る経緯とその目的

2011年10月、滋賀県大津市の中学校でいじめを苦にして自殺に至るという大変痛ましい事件が起き、重大な問題として取り上げられました。学校におけるいじめ問題については、それまでも抜本的な対策の必要性が叫ばれてきましたが、この事件を契機に国としての取り組みが大きく動きました。

2013年2月には、教育再生実行会議第1次提言で、「社会総がかりでいじめに対峙していくための基本的な理念や体制を整備する法律の制定が必要」と示され、同年6月に「いじめ防止対策推進法」が成立し、9月に施行されました。

「いじめ防止対策推進法」では、いじめ防止などのための基本的な方針やいじめ防止のための組織の設置について定められています。この法に基づいて、文部科学省は「いじめ防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学大臣決定)を出し、「いじめ防止対策推進法に基づく取組状況の把握と検証」を国として行うことを明記しています。

具体的に国は、毎年度、地方公共団体・学校のいじめ防止基本方針の策定状況等、いじめの問題への取り組み状況を調査するとともに、「いじめ防止対策協議会」を設置して、いじめ問題への効果的な対策が講じられているかどうかを検証する、また各地域の学校関係者を集めて普及啓発協議会を実施し、その検証の結果を公表、周知するとしています。

協議会の役割と実施状況

この協議会は、国の基本方針に基づいて、学校関係者や各種職能団体等関係団体から有識者を集め、いじめ防止対策の取り組み状況の把握とその効果等の検証を行います。同時に、関係者間の連携を強化し、いじめの問題を含めた生徒指導上の問題に対して、より実効的な対策を講じるという役割を担っています。

2021年度、いじめ防止対策協議会は5回実施されました。自治体へのヒアリングやアンケート調査を実施し、その結果をもとにいじめ防止策の成果と課題、それらを踏まえた今後の対応策を明らかにしています。そこでは例えば、「学校・教育委員会等のいじめ防止対策推進法等への理解の徹底」の必要が指摘されています。アンケート等の結果から、学校・教職員等のいじめに対する理解不足や関係法令等への認識が不足しているために、いじめ発生時に迅速かつ適切な対応ができないといった課題が浮き彫りにされました。

2022年度に向けた具体的な対策として次にことを進める必要が示されています。
●文部科学省による教育委員会等への行政説明等を活用した周知・徹底
●教育委員会等が主催する学校への研修等の機会を活用した周知・徹底

また、「学校・保護者・地域等でのいじめの対応に係る共通認識等の促進」については、次のことが示されています。
●定期的な学校いじめ防止基本方針の児童生徒、保護者等への徹底した周知
●児童生徒、保護者、地域と協働した学校いじめ防止基本方針の見直し等
●教育委員会等による、学校の日頃からの取組への支援
●保護者・地域等の閲覧を念頭に置いたガイドラインの改訂等

ここでは、2つの項目を例示しましたが、このように国が主催するいじめ防止対策協議会で審議されたことが学校現場等で実施されるよう、それぞれの地方公共団体に対して求める対策が提案されています。

「いじめ問題対策連絡協議会」と「いじめ対策組織」

いじめ防止対策協議会が文部科学省の所管で実施されているのに対して、いじめ問題対策連絡協議会は、地方公共団体がいじめ防止対策推進法に基づいて地方いじめ防止基本方針の策定とともに設置するものです。さらに、学校ごとにいじめ防止のための対策組織も設置されています。まさに、「社会総がかりでいじめに対峙していくための基本的な理念や体制」の実現に向けて、法に基づいて国と地方公共団体、そして学校が下記のような関係で対策を進められるよう、仕組みが整えられていると言えます。

国 ⇄ 地方公共団体 ⇄ 学校

「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の策定

2013年にいじめ防止対策推進法が施行され、いじめ防止基本方針が国や地方公共団体、学校等で策定され、「社会総がかり」でその対応を進めているにもかかわらず、いじめの重大事態は発生しており、その対応が不適切だと指摘する声も起きています。児童生徒に深刻な被害を与えたり、保護者に対して大きな不信を与えたりする結果となっているものもあり、文部科学省は重大事態への対応についてガイドラインを策定しました。

ガイドラインには、学校の設置者や学校の基本姿勢、重大事態の定義、対応手順等が具体的に示されています。いじめの未然防止や早期発見と対応、解消をめざして取り組みを進めていても、万が一発生した場合、特に重大な事案と判断されるものについてはこのガイドラインに基づいて慎重な対応が求められています。

▼参考資料
独立行政法人教職員支援機構(ウェブサイト)「学校におけるいじめ問題への対応ポイント」
文部科学省(ウェブサイト)「いじめ防止対策協議会の設置について」(初等中等教育局長決定、平成26年6月20日)
文部科学省(ウェブサイト)「【資料】令和3年度いじめ防止対策協議会における議論のまとめ(案)」
文部科学省(ウェブサイト)「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」

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