「漢字はどこ?」で覚える力を伸ばそう【漢字コグトレ #1】課題シートと回答用紙付
「コグトレ」とは、宮口幸治先生たちが開発した「コグニティブ(認知)機能」を高めるトレーニングのことで、身体面、学習面、社会面の3方面から包括的にトレーニングする特徴があります。本連載では、学習面のトレーニング(認知機能強化トレーニング)を基に、図形や記号、数字などを漢字に置き換え、漢字に特化した「漢字コグトレ」を紹介します。1回目の今回は「覚える」力を伸ばすトレーニングにチャレンジしましょう。
監修/立命館大学教授・宮口幸治
目次
コグトレって何?
「コグトレ」とは、コグニティブ(Cognitive:認知)機能に着目したトレーニング(Training)の略称です。コグトレは、学習面…認知機能強化トレーニング(Cognitive Enhancement Training:COGET)、社会面…認知ソーシャルトレーニング(Cognitive Social Training:COGST)、身体面…認知作業トレーニング( Cognitive Occupational Training:COGOT)の3方面から包括的に子どもたちを支援するという特徴があります。学習面では基礎学力の土台づくり、社会面では対人スキルの向上、身体面では身体的不器用さの改善を図ります。
学習面の「認知機能強化トレーニング」とは
コグトレの認知機能強化トレーニングは、以下の表のように「覚える」「数える」「写す」「見つける」「想像する」の合計5つの分野をターゲットとしたトレーニングから成り立っています。
認知機能の強化が学習面で必要と考えるのは、認知機能そのものが学習の土台になっているからです。認知機能とは、記憶、言語理解、注意、知覚、推論・判断といった要素が含まれた知的機能を指します。つまり、五感を通して外部環境から情報を得て、整理・計画・実行し、結果を出すときに必要な能力です。コグトレは、その認知機能の強化につながるトレーニングです。
学習においては覚える(記憶する)力が不可欠です。記憶には、目や耳といった感覚器から入った情報を記憶する「短期記憶」と「長期記憶」があります。コグトレの「覚える」では、先生の話をしっかり聞いて覚えて学んだり行動したりする際に必要な聴覚性の短期記憶、板書などを正確に見て覚えて写したりする際に必要な視覚性の短期記憶や文章理解力を鍛えます。
今回は「覚える」のなかから「数字はどこ?」の漢字版「漢字はどこ?」に挑戦しましょう。
課題シートには漢字が5個あります。目の前の子どもによって、漢字を3〜5個にしたり、やさしい漢字にしたりしましょう。
「漢字はどこ?」にチャレンジ!
【課題シート】(例)
【課題シート】
※子どもの学習状況に合わせて、マスの中に漢字を記入してご活用ください。
【解答用紙】
「漢字コグトレ」の進め方
進め方は以下の「数字はどこ?」の手順を参考にしてください。※詳しくは『子どもの認知能力をグングン伸ばす!マンガコグトレ入門』(小学館)をご覧ください。
[COGET 覚える] 数字はどこ?
(ねらい)
数字の位置を見て記憶することで、複数の正確な場所と順番を覚える力をつけます。
(進め方)
①出題者が4×4のマス目に1〜5の5つの数字がランダムに書かれた課題シートを、10秒間提示します。
②子どもはどこにどの数字があったかを思い出し、解答用紙のマス目に、それらの数字を書きます。
宮口幸治(みやぐちこうじ)
立命館大学教授 一般社団法人日本COG-TR学会代表理事
京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、2016年より現職。困っている子どもたちの支援を行う「日本COG-TR学会」を主宰。医学博士、子どものこころ専門医、日本精神神経学会精神科専門医、臨床心理士。著書『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)が大ベストセラーになる。
取材・文・構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ
出典:『コグトレ みる・きく・想像するための認知機能強化トレーニング』(三輪書店)
『子どもの認知能力をグングン伸ばす! マンガコグトレ入門』(小学館)
子どもの認知能力をグングン伸ばす!マンガコグトレ入門
教室を舞台にしたマンガでコグトレの進め方を楽しく具体的に紹介しています。「コグトレを取り入れたいけれど、何からどのように始めたらよいかわからない」という方にもピッタリの1冊です。「コグトレ」の代表的な50種のトレーニングのねらいや進め方・ポイントなどを、マンガを交えて易しく解説。紹介する課題のワークシートはすべてダウンロード可能。
A5判/224頁
ISBN9784098402182