特別支援教育 来年度に向けた引き継ぎ
特別支援教育における引継ぎのポイントを解説します。
執筆/福岡県公立小学校教諭・後藤和歌子
目次
子供の実態からスタート
特別支援教育では、子供の実態からスタートすることが大事です。引き継ぎ内容を整理することは、1年間の取組や子供の伸び等を整理することにもつながります。
来年度に向けた引き継ぎには、次のようなものが考えられます。
- 校内
(例)校内支援委員会での引き継ぎ - 担任間
- 学年間
- 学校間
(例)小学校から中学校へ引き継ぎ - 保護者
特別支援学級に在籍している子や通級指導を受けている子は、「個別の教育支援計画」や「個別の指導計画」がありますので、それらを漏れなく引き継ぎます。
その際、本年度の対象児に関する事項を書き込む欄があります。
担任1人で考えるのではなく、複数人で作成しましょう。
①個別の教育支援計画
支援を要する子供については、学校生活だけでなく、家庭生活、地域での生活も含め、長期的な視点に立ち支援を継続します。「個別の教育支援計画」を活用しましょう。
②個別の指導計画
1年間取り組んできたことを記入していきます。その際、抽象的な文章で書くのではなく、できるだけ具体的な言葉で書くことが大切です。
特に、支援を要する子は急激に何かができるというよりも、一歩一歩階段を上っていきます。
そのスモールステップをイメージして細かく記入していきましょう。
③引き継ぎノート等
各教育委員会で作成されたノート等がある場合はそれを活用し、引き継ぎを行いましょう。各小中学校区で作成されたノート等の場合も同様です。
テストやプリント等、その子が学習していた内容がわかるものもあるといいですね。
進級に際しての引き継ぎ
通級担当同士よりも、複数の人で引き継ぐことが望ましいです。人事異動で担当学年や職場さえも変わる中で、客観的に見てわかりやすい内容になるように具体的に記した引き継ぎ資料を作成しましょう。
中学校への進学は、大きな環境変化が想定されます。その変化に伴い、子供自身や家族も不安を抱くことでしょう。
子供の不安に寄り添った丁寧な引き継ぎを行いましょう。
引き継ぎはチームで行いましょう
引き継ぎをチームで行うことで、見落としがより少なくなります。多忙な年度末に行うものですから、複数の目で確認していきましょう。
引き継ぎノートの内容例
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- アレルギーの有無
- 医療機関等
- 各種検査の結果等
- 好きなことや苦手なこと
- この場合はこうすると効果的ということ等
- 服薬している薬
- 保護者の願い
引き継ぎノートの例
イラスト/高橋正輝
『教育技術 小五小六』2021年2月号より