一学期後半のあるあるトラブル対応術・二年生編

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東京都公立小学校教諭

佐々木陽子

一学期後半に入るこの時期、二年生の学級で起きがちなトラブル例を挙げ、 その対処法についてアドバイスします。

文・ 東京都江戸川区立大杉小学校 教諭 佐々木陽子

CASE 1 外遊びが中止になり、子どもが落ち着かなくなる

今日は10分だけフルーツバスケットをしましょう
イラスト/バーヴ岩下

→教室遊びを充実させる。

暑さが厳しくなることや梅雨が長引くなどで、外遊びが長らく中止になる日が続くことがあります。
 
大好きな外遊びができないことで、子どもたちはエネルギーの発散場所がなくなり、落ち着かない様子が見られるようになります。こうなると「静かにしなさい」「教室では走りません」 など担任の叱る場面が増え、今後の学級経営にも支障が出てきます。
 
この時期に外遊びが長らく中止になることも予想して、事前に教室遊びの準備をしておきましょう。クラス全員でフルーツバスケットをしたり、少人数のグループでトランプやかるた、パターンブロックをしたりと、室内で熱中できる遊びを用意しましょう。

CASE 2 暑さで食欲がなく、給食を残す子が多くなる

→適度な水分補給を促し、普段とは違うイベントを企画する。

この時期に食欲が落ちてしまう原因には、過度の水分補給でおなかがいっぱいになってしまうことや、暑さによって気分的に食べ物を受け付けないことなどが考えられます。    

こまめな水分補給は大切ですが、一度にゴクゴク大量の水を摂取することは考えものです。美味しい給食が食べられる量に調整するよう声かけをしていきましょう。
 
また、この時期に栄養士さんと協力して、バイキング給食を開催したり、クイズや紙芝居などで食育を深めたりするなど、イベント的な企画をすることで食べることへの関心が高まります。  

食べる気分でなかった子も、違う視点からアプローチすることによって、食べられるようになります。

CASE 3 学習中に使う下敷きがうちわとして使われる

学習に入る前にパタパタタイムです。強く扇ぎすぎないようにね
イラスト/バーヴ岩下

→禁止にせず、パタパタタイムをつくり、うちわとして使用させる。

学習中にもかかわらず、気がつくと下敷きがうちわに変身します。一人が始めれば、どんどん広がり、そのうちクラス中でやってしまいます。きっぱりと禁止することも大事ですが、禁止すると、再びやってしまったり、学習のやる気を失ったりします。
 
そこで、学習のはじめや終わりなどわずかな時間に「パタパタタイム」をつくり、うちわとして使用します。子どもの欲求もある程度満たしてあげることで、学習への切り替えもスムーズにできます。ここでは、はじめの約束が肝心です。きちんと切り替えることができるなら、うちわとして扇いでよいことにします。また、強く扇ぎすぎると下敷きが折れるので注意も促します。

CASE 4 冷房機器を使用するのに暑い、寒い、と 苦情が出る

→暑い人は、廊下側に机を寄せる。 寒い人には、羽織るものを持参させる。

冷房機器を使用しているのに、子どもから「暑いです」や「寒いです」 と苦情が出ます。
 
座席によっては、冷風が直撃しますし、窓側はカーテンを閉めていても直射日光で気温が上昇します。大人と同じで寒がりの人もいれば、暑がりの人もいます。感じ方が様々なのは分かりますが、クラス全員の要望を満たすことは難しいものです。
 
寒いと感じる人には、羽織るものを用意させて、その都度、自分で調節させます。

窓側で暑いと感じる人には、廊下側に机を寄せてもらいます。冷房機器を使用する時期がきたら、クラス全体の座席の位置を廊下側にずらしておくとよいでしょう。

CASE 5 ミニトマトが成長しない

「僕だけ実がならない」「特別に先生のものをプレゼントします」
イラスト/バーヴ岩下

→先生が育てているミニトマトをプレゼントする。

生活科の学習でミニトマトの苗を植えたのに成長しない子、実がならない子が出てきます。
 
原因としては、お世話を継続的にできていないこと、思わぬトラブルで成長できないこと等が挙げられます。
 
お世話が疎かになってしまった子には、次からしっかり育てることを約束させます。トラブルに巻き込まれてしまった子には、残念な気持ちに共感してあげます。
 
そのあと、先生の育てたミニトマトをプレゼントしましょう。育てる時には、子どもたちの分だけではなく、もしもの場合に備えて、余分に育てておきます。みんな収穫するのを楽しみにしています。だから、先生からの大サービスです。

CASE 6 かけ算の習得に、すでに個人差が生まれている

「さざんがく、さんしじゅうに」 「九九っておもしろい」 「私も早く覚えるぞ」
イラスト/バーヴ岩下

→得意な子を中心に、かけ算九九を楽しんで学習できる環境づくりをしておく。

かけ算九九は、二年生の算数の学習で最も大切な単元です。しかし、夏休みを前にしてすでに個人差が出てきています。九九を全て唱えることができる子もいれば、かけ算を全く知らない子もいます。

得意な子は、学校で習う前から九九の覚え方のイロハを知っています。二学期から一斉に学習するため、それ以前に歌ったり唱えたりすることを禁止する先生もいますが、子どものやる気や人に伝えたい気持ちを尊重して、クラス全体にかけ算の楽しさを広げるチャンスにします。遊び感覚で朝や帰りの会などで、得意な子を中心に歌や語呂合わせやゲームなどを紹介させ、クラスに少しずつかけ算ワールドをつくり上げていきましょう。


佐々木陽子(ささき・ようこ) 島根県松江市生まれ。子どもが主体的に動く声かけや学級経営にこだわり、独自のアイディアを多く持つ。 著書に『クラスがまとまる 小学生一年生 学級づくりのコツ』(ナツメ社)など。

『教育技術 小一小二』2019年7/8月号より

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