子供の資質・能力を育てる読書指導とは【小三小四】
中学年は「お話の中に自分が入り込む」時期から、「お話を読む自分を俯瞰できるようになる」時期への移行期です。ここでは、子供の心を育てる読書指導のポイントについて解説します。
お話しを伺った方/
東京都世田谷区立烏山小学校校長・廣石雄司
東京都世田谷区立烏山小学校副校長・橋口直美
東京都世田谷区立烏山小学校教諭(図書主任)・冨田久美子

目次
学校図書館司書や保護者と連携し、楽しく本に触れる『読書旬間』
東京都世田谷区立烏山小学校は、保護者ボランティアや地域の有志団体による読み聞かせを長年にわたり実施。さらに常駐の学校図書館司書と連携しながら、学校全体で読書活動を充実させるさまざまな取り組みを行ってきました。
その活動が認められ、子供の読書を推進する優れた実践を行っている学校として、「令和3年度子供の読書活動優秀実践校」にて文部科学大臣賞を受賞。同校の先生方に、読書好きの子供を育てるためにどのような取り組みを行っているのか、特徴的な読書活動と中学年への読書指導のポイントを伺いました。
「烏山小学校では、学校経営方針の重点目標の一つとして、読書好きな子供の育成に取り組んでいます」(廣石校長)
「本校では、週に2回の全校で朝読書を行うほか、年に2回『読書旬間』を設定しています。『読書旬間』では、朝読書の時間に教員をシャッフルして各教室で読み聞かせを行っています。どの先生が自分たちの教室に来て、どんな本を読んでくれるのかは当日のお楽しみなんです」(橋口副校長)
「『読書旬間 』では、学校図書館司書と協力しながらさまざまな参加型イベントも行っています。
例えば、図書室の本の分類と配置場所をビンゴに挑戦しながら学べるようにしたり、あみだくじをして、たどり着いたジャンルの本を読むとしおりがもらえる『本のおみくじ』をしたりするなど、子供たちが楽しみながら読書の幅を広げられるような取り組みをしています。
家庭と連携した『家読』も本校の特徴的な活動です。親子で読み聞かせをしたり、同じ本を読んで感想を伝え合ってもらったり、全校児童に配付した『家読』の用紙に、読んだ本の題名やどのような方法で実施したか、自分の感想、お家の人の感想を書いていただいています」(冨田教諭)
本を中心に子供の表現を高める「ブックフェスティバル」
さらに令和2年には新型コロナウイルスの影響で中止となった学芸会の代替行事として、「ブックフェスティバル」を開催。各学年でそれぞれテーマを設け、作品の世界観をさまざまな方法で表現して発表しました。
「代替行事を開催するにあたり、読書活動に力を入れてきた烏山小学校として、本を中心に子供たちの表現を高めようと考えました。
3年生は『ファンタジー』をテーマに、作品のキャッチコピーを考えて立体的なブックポップを作成したり、心に残った登場人物や物を飛び出す絵にして『飛び出す絵カード』にして紹介したりするなど、いろいろな方法で紹介しました。
4年生は国語科で学習した『ごんぎつね』がテーマ。場面ごとにごんの気持ちを書いて発表する『ごん日記』、一つの場面を詳しく紹介する『ごん絵日記』、ごんぎつねの続きの話を考える『ごんぎつね その後の話』の三つから一つを選んで自分なりに表現し発表しました」(橋口副校長)