保護者に好印象を与え、信頼を得るためには?~前編~

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中野信子

小学校の先生方が抱えがちな悩みや問題を、脳科学者・中野信子先生が脳科学の視点から分析。悩みの原因とその対処法を科学的に解き明かします。
今回は、 経験の浅い女性教師が同性である女性の保護者に好印象を与え、信頼を得るためのポイントを前編・後編に渡りアドバイスいただきました。

中野信子
撮影/長嶋正光

女性の保護者は若い女性教師に厳しい目を向けがち

一年間の学級運営をスムーズに進めるためにも、新学期のうちに保護者の心をつかみ、信頼関係の基礎をつくりたいと考えている先生も多いことでしょう。しかし、現在は保護者と信頼関係を築くことは簡単ではないようです。

二学期後半になっても保護者との間の溝が埋まらない、もしくは二学期以降に関係性が悪化してしまい悩んでいるという先生もいるのではないでしょうか。

特に経験の浅い、若い女性の先生方に対しては、女性の保護者が厳しい目を向けがちであると聞きます。今回は、なぜ若い女性教師に女性の保護者がネガティブな感情を抱きやすいのかを脳科学的に分析し、対応策を考えてみたいと思います

「獲得可能性」と「類似性」を遠ざけることが大事

そもそも女性教師は、女性の保護者と「同性である」ことから、「妬み」と「嫉妬」の両方を買いやすいのです。心理学的には、互いの関係において、「類似性」と「獲得可能性」が高くなる時に、妬み感情が強まると言われています。

「類似性」とは、性別や職種や趣味嗜好などが、どれくらい似通っているかを示す指標です。

つまり、自分と同じくらいの立場の人が、自分よりも優れたものを手に入れていると、より悔しいという感情が生まれやすいと言えます。

「獲得可能性」とは、相手が持っているものに対して、自分もそれらが得られるのではないかという可能性のことです。例えば、自分と同等、もしくは僅差だと思われる人が、自分が手に入れられないものを手に入れ、また自分が届かなかったレベルに相手が届いてしまったときに、羨ましがったり、妬みが生まれやすいのです。

保護者の中には、学歴の高い方や、仕事をしているお母さん方も多いでしょう。つまり、教養があり、キャリアもある保護者にとって、先生は手が届きそうでありながら、手が届かない存在であるという、その僅差によって「妬み」が生まれると考えられます。

ただし、若い女性の先生であっても、この「獲得可能性」と「類似性」を遠ざけることができれば、保護者の「妬み」「嫉妬」の感情を「憧れ」に変えることもできます。では、どうすれば、「獲得可能性」と「類似性」を遠ざけることができるのか、次回その対応策を考えてみましょう。

女性の保護者は若い女性教師に厳しい目を向けがち
イラスト/須長千夏

中野信子(なかの のぶこ)● 1975年、東京都生まれ。脳科学者、医学博士、認知科学者。東京大学工学部応用化学科卒業。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。科学の視点から人間社会で起こりうる現象及び人物を読み解く語り口に定評がある。現在、東日本国際大学教授。また、テレビコメンテーターとしても活躍中。著書に『ヒトは「いじめ」をやめられない』『キレる!』『「嫌いっ!」の運用』(いずれも小学館)等がある。

取材・構成・文/出浦文絵

※この記事は2016年『小二教育技術』に連載された記事に加筆修正したものです。

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