4年生の通知表は、4つの視点に基づいて書く
この時期から、新学習指導要領をふまえ、日頃から主体的・対話的な学習を意識し、創意工夫を生かした特色ある教育活動を進めていきましょう。学習指導要領の改訂にもあるように、個性を生かし、多様な人々との「協働」を促す教育の充実に努めることが、所見を書くときの大切な材料になります。日々の教育活動に基づいた通知表の作成に心がけましょう。
目次
所見文の構成について
通知表の様式や内容などは、各学校の校長の裁量によるもので、担任教師それぞれに文章量や書き方の好みもあります。以下の4視点を意識すると書きやすいので、例を参考に書いていきましょう。
1.子どもの全体的な様子
2.学習面について
3.生活面について
4.期待する言葉や今後の指導
〈所見例〉
1.難しい問題や新しいことに積極的に取り組む姿勢が数多く見られました。
2.特に国語では「白いぼうし」を読み、ファンタジーのおもしろさをみんなにわかりやすく紹介していました。友達の感想も聞き入れて、自分の読みをさらに深める姿勢に感心しました。
3.代表委員に立候補して挨拶週間を提案しました。計画した通りに活動できたのは素晴らしかったです。
4.二学期もさらなる成長を期待しています。
記録をもとに具体的に書く
通知表「所見」を書くときには、普段からの記録が大事になってきます。日々の学習面や生活面で特に気になる出来事や、子どもの成長を感じたことなどについて、メモや記録に残しておきましょう。
また、子どものノートや学習プリントなどをこまめにチェックしておいたり、ファイルにまとめたりしておくと、成長の様子がよくわかります。資料を有効活用して、具体的に所見が書けるように準備しておきます。
国語科………作文、日記、漢字練習帳
社会科………表や学習カード
算数科………計算ドリル、カード
理 科………観察カード
図画工作科…作品、鑑賞カードなど
学習で使用するノート以外に取り組んできたものを集め、子どもたちの成長をしっかり把握しておくようにします。
マイナス面を伝えるとき
所見には、基本的には子どものよい面を記述します。しかし、子どもによって課題があることを伝えなければならないこともあります。内容にもよりますが、通知表にどうしても書かなければならないものか、電話や個人面談などで直接伝えたほうがよいのか、吟味する必要があります。困ったときには、学年の先生や管理職に相談してみましょう。
また、ストレートに書くのも考えものです。所見は、次のステップへつなげるものであり、子どもが読んで励みになる内容にします。担任がその子の抱える課題についてどのように指導しているのか、今後どのように指導するのかなどを保護者に伝えていきます。
×→給食をいつも残すので困っています。家でもしっかり食べるように声をかけてください。
○→給食の時間に苦手な野菜に挑戦し、少しずつ食べられるようになってきました。給食の栄養について話をしました。作る人たちの気持ちも考えて、食べようと努力していて感心しました。
保護者に理解と協力を
通知表は、保護者の理解や協力を求めるための目的もあります。また、子どもにとっても自分のよさや成長を感じ、励ましのプレゼントにもなります。通知表を出すまでに、通知表のねらいや内容について、保護者会などで伝えるとよいでしょう。
所見NGワード
次のようなワードは使用しないようにしましょう。課題がある場合は、個人面談や保護者会などで口頭で伝えることが望ましいでしょう。
「残念でした」「注意してください」「困ります」「直しましょう」「できません」「努力してください」「○○さんと比べ・・・」「劣ります」「苦手です」「わかっていません」「遅れています」「変わりません」
最終確認
現在は、通知表をパソコンで作成することが多いかと思いますが、パソコン上で確認するだけではなく、印刷後、紙ベースでも確認しましょう。他の先生にお願いして参考に見せてもらったり、自分が作成した通知表を見てもらうことで、よりよい通知表ができます。文章の書き方を学んだり、誤字脱字を見つけたりと、大変有効です。
ここで注意したいのが、評定と所見の整合性です。所見でほめているのに評定は普通であったり、評定が優れているのに、努力を要することが所見に書かれていたりすることです。これでは、保護者に不信感を与えてしまいます。評定と所見は連動するように、気を付けて作成しましょう。
最終チェック
・よさや成長したところを書いているか。
・評定と所見の整合性はあるか。
・誤字脱字はないか。
・NGワードを使っていないか。
・一文が短く、読みやすい文になっているか。
4年生は、3年生までに見られた仲間意識の強さが徐々になくなり、個々の視野を広げていく学年です。学習面では、相手の意見を受け止めてから自分の意見を述べます。
その意見に賛成したり反対したりしながら、学習を深めていくことができるようになります。日頃から、子どもの外見や内面の変化を見逃さず、成長していく姿を記録しながら見守っていきましょう。
執筆/東京都公立小学校教諭・佐々木陽子
『小四教育技術』2018年7/8月号より