小5算数「単位量あたりの大きさ」指導アイデア
執筆/埼玉県公立小学校教諭・藤原亮太
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫
目次
本時のねらいと評価規準
(前時2/7時、本時3/7時 2時間続きで実施)
異種の2量の割合としてとらえられる数量について、単位量あたりの大きさで比べることの有用性をとらえることができる。(数学的な考え方)
前時の流れ
前時では、第1時にこみぐあいを調べたA、B、Cの小屋にDの小屋を加えて問題を提示します。「4つの小屋のこみぐあいを比べる方法を考えよう」という課題に対して、多様な考え方をさせます。比較検討の場面で、面積やうさぎの数を公倍数にそろえて比べるやり方をとりあげ、求めることはできるが、4つのうさぎ小屋では公倍数をみつけることが大変であるという児童の反応を大切にします。その後、単位量あたりの方が計算しやすそうであるという見通しをたて、本時につなげます。
本時
問題場面(前時と同じ場面を扱う)
うさぎ小屋ABCDのこんでいる順番を調べましょう。
前時では、4つの小屋の混み具合を比べました。どのようなやり方がありましたか。
面積やうさぎの数を公倍数にそろえるやり方です。4つの数の公倍数をもとめて比べました。
比べられたけれど、4つの数の公倍数を求める計算が大変でした。
1㎡あたりのうさぎの数や1匹あたりの面積を求めて比べました。こちらの方が計算ですぐに求められました。
でも、求めた答えが何を表わすのかが分かりにくかったなあ。
1㎡あたりのうさぎの数や1匹あたりの面積の大きさを「単位量あたりの大きさ」といいます。本時では、単位量あたりの大きさで比べる方法を考えましょう。
本時の学習の課題
4つの小屋のこみぐあいを、単位量あたりの大きさで比べる方法を考えよう。
自力解決の様子
A つまずいている子
単位量あたりの大きさで比べることはわかるが、どのようにすればよいかが分からない。(立式できない。)または立式できるが、式の意味を説明できない。
B 素朴に解いている子
1匹あたりの面積で比べる
A:6÷9=0.66…(㎡)
B:6÷8=0.75(㎡)
C:5÷8=0.625(㎡)
D:9÷14=0.642…(㎡)
C、D、A、Bの順でこんでいる。
C ねらい通り解いている子
1㎡あたりのうさぎの数で比べる
A:9÷6=1.5(匹)
B:8÷6=1.33…(匹)
C:8÷5=1.6(匹)
D:14÷9=1.55…(匹)
C、D、A、Bの順でこんでいる。
学び合いの計画
立式をして答えを求められたものの、その数値が何を表すかを説明することが難しい児童が少なくありません。そこで、数や式と数直線図を関連させ、求めた数値が1㎡あたりのうさぎの数なのか1匹あたりの面積なのかが視覚的に理解できるようにします。その後、公倍数で求めたやり方を想起しながら、単位量あたりの大きさで比べると手際がよいということに気づかせます。また、混み具合を比べる際には、単位面積(㎡)あたりで考えると、平均のうさぎの数が多いほど(数値が大きいほど)混んでおり、感覚と合っていることを全体で共有させます。
ノート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け
(式と数直線を関連付ける場面)
Bさんのやり方の6÷9=0.66…の0.66…とは何を表していますか。
1匹あたりの面積です。
数直線でいうと□です。

数直線図を縦に見ると、1匹あたり0.66 …(㎡)であることがよくわかります。
(B、C、D のうさぎ小屋を確認後)どのうさぎ小屋が一番混んでいますか。
1匹あたりの面積が小さいからCが一番混んでいます。
では、Cさんのやり方の9÷6=1.5の1.5は何を表していますか。
1㎡あたりのうさぎの数です。
数直線図でいうと△です。

数直線を縦にみると1㎡あたり1.5匹いることがわかりやすいです。
1㎡あたり平均するとうさぎ1.5匹いるという意味ですね。
(B、C、D の確認後)どの小屋が一番混んでいますか。
1㎡あたりのうさぎの数が多いので、Cの小屋が一番混んでいることがわかります。
前時に学習した公倍数で比べる方法と、単位量あたりで比べる方法ではどちらの方が手際がよさそうですか。
単位量あたりで比べる方法です。計算が一度ですみました。
公倍数を見つける必要がなくて楽でした。
では、混み具合を比べやすいのは、1匹あたりの面積と1㎡あたりのうさぎの数のどちらの考え方ですか。
1㎡あたりのうさぎの数です。同じ面積にたくさんのうさぎがいる方が混んでいるとわかりやすいです。
1㎡あたりのうさぎの数の方が、数が大きいほど混んでいるからわかりやすいです。
まとめ
こみぐあいは、1㎡あたりの平均のうさぎの数や1匹あたりの平均の面積(単位量あたりの大きさ)を調べて比べると便利。
評価問題
どちらのプールがこんでいるでしょう。単位量あたりの大きさで比べましょう。

子供に期待する解答の具体例
1㎡あたりの人数で比べる。
A…36÷450=0.08(人)
B…40÷520=0.076…(人)
1㎡あたりの人数が多いので、Aのプールの方がこんでいる。
※数直線図は省略。授業では数直線に表すようなげかける。
感想例
- 公倍数で比べると、そのたびにいくつになるか考えたり、比べる数が増えると求めたりするのが大変でした。単位量あたりの大きさの考えだと、数が増えてもすぐに求められるので便利でした。
- 1㎡あたりのうさぎの数で考えた方が、数が大きくなるほどこんでいるからわかりやすい。
『教育技術 小五小六』 2020年11月号より