多くの危機は未然に防げる!ヒヤリハットの危機管理
学校は、子供たちにとって安心、安全な場所であることが大前提です。様々な面から危険を管理し、子供たちの命を守りましょう。
執筆/福岡県公立小学校教諭・宮原佳太
目次
「危機管理マニュアル」の確認しておく
「危機管理マニュアル」は、学校保健安全法に基づき、すべての学校で作成が義務づけられています。まずは、勤務校の「危機管理マニュアル」を確認することから始めましょう。
- 未然防止のゼロ次対応
- 危機発生時の1次対応
- 危機発生後の2次、3次対応
これらの具体的な対応方法や心構えについて確かめることができます。
目を通してみて不明な点があれば、管理職や安全担当に指導を仰ぎましょう。
事故につながる道具の管理
事故につながりそうな道具は、整理整頓を徹底した上で、正しい使い方を指導し、守らせます。次のような道具を使用する学習では、特に注意が必要です。
理科
アルコールランプ、実験用ガスコンロ、薬品類
図画工作
はさみ、カッター、彫刻刀、のこぎり、電動糸のこぎり、釘、金づち、きり
体育科
ソフトボール、バット、マット、跳び箱
家庭科
ミシン、針、ガスコンロ、包丁、ピーラー
アレルギー対応は職員間・保護者と連携共有が大事
アレルギー対応では、次のような連携と情報共有が大切です。
- 給食、宿泊学習、修学旅行など、食事の際の対応を保護者と話し合う。
- 職員間で、子供たちへのアレルギー対応を共有する。
- 発達の段階に応じて、本人もアレルゲンを除去できるよう話し合う。
職員間での情報共有は、特に重要です。同学年の職員や出張の際に代わりに入る職員とは、その都度アレルギー対応を確認しておきましょう。
代替食やアレルゲンの除去といった具体的な対応は、一覧表を作成し、決められた場所に保管しておくことをお勧めします。万一のとき、他の職員が詳細を確認することができます。
また、休み時間や遠足など、いつ、どの子供の対応が求められるかはわかりません。他の学年であっても、症状が重い子供は確実に把握しておきましょう。
命の守り方を身につけさせる
避難訓練や交通安全教室は、子供たちに命の守り方を身につけさせる大切な機会です。職員会議の提案をもとに、指導する内容と方法を十分に確認しておきましょう。「自分や友達の命を守るための大切な学習」ということを子供たちに伝え、真剣に臨ませることが大切です。
また、パニックや衝動的な行動が予想される子供たちへの支援について、関係
者同士の協議をしておくことも忘れないでください。
【指導に役立つ参考資料】
国土交通省『防災教育ポータル』
文部科学省『「生きる力」を育む防災教育の展開』
JA共済『小学生向け交通安全教育ムービー』
校舎や遊具の安全点検
校舎や遊具の破損や異常は、重大な事故につながる恐れがあります。定期的に点検する仕組みがあると思いますが、常にアンテナを張っておきましょう。
- 清掃指導の際に、担当場所を確認する。
- 休み時間に子供と遊ぶ際、運動場や遊具を確認する。
というように、普段から意識しておくことで早期発見につながります。
また、子供から破損や異常の知らせがあったときはすぐに現状確認をし、管理職や安全担当に報告するなど、迅速に対応しましょう。
自分で自分の身を守れる指導を
休み時間や放課後、休日については、子供たちが自分で自分の身を守れるよう、安心、安全な過ごし方を身につけさせる必要があります。
- 廊下の歩き方
- 雨の日の遊び方
- 運動場や地域での遊び方
- 登下校のしかた(自動車、側溝への注意など)
- 不審者と遭遇したときの対応
- 水遊びの危険性(川、池、海など)
- エアガンや火遊びなどの危険性
などについて、機会を捉えて指導しましょう。朝の会や帰りの会を活用し、どのような危険が潜んでいるか、どうすれば危険を回避できるか、子供たちに考えさせながら指導することが大切です。
イラスト/高橋正輝
『教育技術 小五小六』2020年10月号より