教科の中で実施するプログラミング教育実践例(理科・算数・特活・音楽)
プログラミング教育について、教科別の実施例と共に解説します。
執筆/福岡県公立小学校教諭・村上暢崇
目次
プログラミング教育とは?
子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うように指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育成するものです。
プログラミング的思考力について
プログラミング的思考力とは、自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つひとつの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力のことです。
プログラミング教育においても、育成をめざす資質・能力の3つの柱は同じです。
【知識・技能】
身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気づくこと。
【思考力・判断力・表現力等】
発達の段階に即して、「プログラミング的思考」を育成すること。
【学びに向かう力、人間性等】
発達の段階に即して、コンピュータの働きを、よりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養すること。
プログラミング教育の必要性
自動販売機やロボット掃除機など、身近な生活の中でコンピュータとプログラミングの働きの恩恵を受けています。これらの便利な機械が「魔法の箱」ではなく、プログラミングを通じて人間の意図した処理を行わせることができるものであることを理解できるようにすることもその目的の1つに挙げられます。
プログラミング教育の目的が「プログラミング言語やその記述の仕方等の学習」という誤った理解がなされている場合もあるので、注意しましょう。
プログラミング教育を実施する前提として、言語能力の育成や各教科等における思考力の育成など、すべての教育の基盤として重視されている資質・能力の育成もしっかりと図っていく必要があります。
プログラミング教育の実施例
理科
理科では、プログラミング自体が学習内容となり、教科書に取り上げられている例もあります。
プログラムにより作動する電気製品が多くあること、それらが生活を豊かにしていることなどを学習することができます。
算数
プログラミング的思考を育む際の算数科の役割は大きいものがあります。
計算(筆算)や作図などにも、繰り返しやパターン分けなどが多く含まれています。
特別活動
プログラミングを主たる活動とするパソコンクラブやプログラミングクラブを結成することも考えられます。
音楽
音楽では、基本となる音の組合せなどを試行錯誤し、つくる過程を楽しみながら見通しを持ってまとまりのある音楽をつくることができます。
環境の整備や職員研修の実施
世の中の仕組みが大きく変わり、今後の社会において必要とされる資質・能力も変わってきました。この変化は、新型コロナ下においてさらに加速しています。この激しい変化に対応するために、教師は、少なくとも次の2つのことに積極的に取り組まなくてはなりません。
意識改革
ICT等の機器について、「使わなくても、どうにかなる」といった考えから「絶対必要なものだ」「時代が変わった」という考えへ切り替えていきましょう。
スキルアップ
今の技術はどの程度進んでいるのかといった現状に対する知識を得るとともに、指導のために必要な事柄について、研修に励みましょう。
イラスト/菅原清貴
『教育技術 小五小六』2020年10月号より