2年国語「かんさつ名人になろう」ICT活用授業アイデア|樋口綾香のGIGAスクールICT活用術⑬

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大阪府公立小学校教諭

樋口綾香

Instagramでは1万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生による人気連載! 今回は、 ICTを活用した、2年生国語「かんさつ名人になろう」 の授業アイデアの紹介です。

執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香

GIGAスクールのICT活用⑬~2年国語「かんさつ名人になろう」授業アイデア~

使用タブレット:iPad
使用アプリ:ロイロノート

単元について

観察する視点を知り、身近なものを詳しく観察することで事実や気づきを得て、観察記録文を書く力を身につける単元です。

導入の工夫

①単元名を書く

子供たちは、単元名を書いただけでたくさんの反応をしてくれます。その反応を鎮めることなく、「みんなは、何かを観察したことがある?」と尋ねました。

すると、次から次へと教えてくれました。

  • キューリ
  • ミニトマト
  • チューリップ
  • アサガオ
  • パンジー
  • ビオラ
  • ナス

「お家で育てているよ」

「一年生の時に、生活で観察したよ」

私は、子供の経験が新たな学習につながる瞬間を大切にしています。

普段の生活の中で何気なくしていたことが学習に取り上げられると、子供たちは自分がしていたことに価値を感じ出します。それが、これからの学習意欲にもつながっていきます

②これまでの観察の仕方を振り返る。

子供たちに、「観察は、どうやってするの?」と聞きました。

  • よく見る
  • 思ったことを書く
  • 感じたことを書く
  • 前と比べる
  • 合言葉「おいかにさん」(大きさ・色・形・におい・触る・⦅ん⦆」)を思い出す

子供たちにはたくさんの知識や経験があります。それを無かったことにして、「さて、観察のやり方はね…」と進めると、学習が積み上がっていきません。

この授業をしたクラスでは、すでに生活科の単元で「おいかにさん」という合言葉を使って、学習していました。廊下にあった観察カードを見ると、「おいかにさん」のどれかを使って、短い文を書いていることが分かりました。

私は、子供たちの生活科の学習も生かしながら、より長い文章を書く力を身につけたいと考えました。

板書

事前の準備をしていると

観察するものは、子供たちが今夢中で育てている「ミニトマト」に決めました。

数名のミニトマトが渡り廊下の屋根の下にある

事前に子供たちのミニトマトを写真に撮っていると、数名のミニトマトが渡り廊下の屋根の下にあることを知りました。どうしてこんなところにあるのだろうと疑問に思っていると、一人の子が教えてくれました。

「ミニトマトは水が嫌いだから、明日の大雨に備えて雨宿りをしているの」

聞くところによると、園芸が得意な先生から、トマトは水をやりすぎない方が甘くて美味しい実ができるのだと教わったそうです。私は感動しました。子供たちがそれほど大切に育てているミニトマトです。きっと観察も楽しくなるだろうと感じました。

カスタマイズできるワークシート

観察メモは、ロイロノートで作成しました。1時間目に学習した観察のポイントをカードにします。カードを自分で選んで入れられるので、ワークシートを自分でカスタマイズすることができます。

観察メモは、ロイロノートで作成

場の工夫

生活科では、外に出て、バインダー等を持って観察することが多いと思います。国語の時間は、文章を書く力を身につけるのが指導目標なので、じっくり書くことができる環境にします。

観察するミニトマトは、教室に持ってきて、机に敷いた新聞紙の上に置きました。目の高さに観察するものがあると、距離が近くなり、細部まで観察できます。

観察するミニトマトは、教室に持ってきて、机に敷いた新聞紙の上に置いた

表現のいいところ見つけ

観察カードはオンライン上の提出箱に提出し、みんなで共有します。同じものを観察しているので、自然と自分の観察カードと友達のカードを読み比べます。「同じ」観点における「違い」を見つけるのが、子供たちは得意なようです。

「長さが違った!」

「葉っぱの数が違った!」

ここで大切なのは、「表現の多様さ」に気付けるかどうかです。

花の様子を見て、「黄色い花ができていた」と書く子もいれば、「花びらは5枚だった」「キュウリの花と似ていた」「星みたいだった」と書く子もいて、一人ひとりの感じ方や表現は違ってきます。

カードを読み比べて気づいたことを子供たちに発表させた後、私が発見した「表現の多様さ」を子供たちに伝え、これを「よく伝わる表現」として押さえました。

板書

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観察メモから観察記録文へ

ロイロノートの観察記録文

オンライン上で作成した観察メモを基に、観察記録文を書きます。これは、紙に鉛筆で書くことにしました。マス目の使い方や構成を意識して書くことが大切だと考えたからです。

撮影したミニトマトの写真を貼り付けられるように、完成した記録文は、スキャンして、オンライン上に保存しました。

保存の仕方

  1. メモアプリの設定
  2. メモアプリで観察記録文をスキャン
  3. 写真アプリに保存
  4. ロイロノートに写真をアップロード
  5. ミニトマトの写真を貼り付ける

こちらの記事でメモアプリの設定・活用方法について詳しく紹介しています! →GIGAスクールのICT活用⑥~便利機能で仕事効率化!~

タブレット画面を見ながらスムーズに文章にしたり、一度書いた文章を次の手本として二画面表示しながら書いたりするなど、子供たちは書きやすい方法を選んで主体的に学習していました。

タブレット画面を見ながら文章を書く
かいた観察記録文

デジタルポートフォリオ

観察メモや観察記録文を蓄積し、学習の深まりや、自分自身の頑張りを可視化できるようにします。オンライン上にアップしたカードはデジタルポートフォリオに、紙で書いた記録文はホチキスでとめて、廊下の観察カード入れに入れました。

オンライン上のファイルを整理することは、情報活用能力を高める上で大事な活動です。定期的に整理する時間をとり、子供たち自身が学習を積み上げている意識を育てるとともに、自分が学んだことを使える知識・技能にできるよう声かけをしていきましょう。

観察記録文のデジタルポートフォリオ

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樋口綾香教諭

樋口 綾香

ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書出版)ほか。編著・共著多数。

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