SDGs ~子どもたちに育みたい性別観~

ビジネス界のマインドや手法を教師の仕事に落としこむエッジの効いた発信で多くの若手教師に支持される、”さる先生”こと坂本良晶先生の連載。今回は、国連サミットで2015年に採択された、世界平和のために目指すべき持続可能な開発目標= SDGsをテーマに、子どもたちの中に育みたい性別観について考えます。
執筆/京都府公立小学校教諭・坂本良晶

目次
消えゆく”レディースアンドジェントルマン”
ここ最近、民間における性別観がどんどん更新されていっています。
2021年3月18日より、ディズニーランド、ディズニーシーにおいて「Ladies and Gentlemen, Boys and Girls」というアナウンスが廃止され、「Hello Everyone」に置き換えられたそうです。
これは世界的な流れであり、例えばJALの機内アナウンスも、2020年から「Ladies and Gentlemen」は既に廃止されています。
世界はどんどんと厳しく優しくなっていきます。
ESG(※1)の観点から、旧い性別観のままの企業体質でいると、生き残れない厳しい時代です。そして、これまで歴史的にも差別されがちだった女性や性的マイノリティの方々にとっては、優しい世界になりつつあります。
※1 Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)
ムラ化する日本の価値観
しかし先日、我が国において、今日的な性別観の欠如に起因するスキャンダル(※2)が世界的ニュースとなり、問題となりました。
※2 女性蔑視発言により、森喜朗元首相が東京五輪・パラリンピック実行委員会の会長を辞任
日本はその島国性が故に、価値観のムラ化が生じやすいと感じます。
内では問題ないと考えられていた価値観が、外界と繋がった途端、問題として表面化してしまったというのが今回の構図のように見えます。
先述の通り、世界は厳しく優しくなっていってます。
もし、子どもたちが無意識のうちに差別的な発言をしてしまっても「知らなかった」では済まされない世界がやってきています。そんな失敗に巻き込まれないためにも、性別観を改めていく必要があるのです。
SDGsの目標5に「ジェンダー平等を実現しよう」が掲げられています。
ここにおけるジェンダー平等とは主に、次の二つのことが大切になります。
1 女性差別問題
多くの国において法律上では差別は解消されているものの、実質的な平等はまだまだ先にあるように見えます。事実、多くの国の政府や企業のトップの顔ぶれを見れば、圧倒的に男性の比率が多いのが実情です。世界がより洗練されていけば、ゆくゆくは同じ比率になっていくはすです。
2 性的マイノリティ問題
日本では残念ながら、性的マイノリティの方に対する差別意識が残っています。学校現場の肌感覚的には、差別用語は特に罪の意識もなく、子どもたちの口から言葉として出てきているように見受けられます。コメディ番組等でそういった雰囲気がつくられているようにも感じます。
【関連記事】SDGs 〜国際観をアップデートする〜