小2算数「たし算のしかたを考えよう」指導アイデア(3/12時)《くり上がりのある2位数のたし算》
執筆/神奈川県公立小学校教諭・三上 顕
編集委員/文部科学省教科調査官・笠井健一、島根県立大学教授・齊藤一弥
目次
本時のねらいと評価規準
(本時3/12時 くり上がりのある2位数のたし算の計算のしかたの考察)
ねらい
くり上がりのある2位数のたし算の計算のしかたを考え、解決方法同士や式と図を比較して関連付け、既習を用いて説明することができる。
評価規準
くり上がりのある2位数のたし算の計算のしかたを、既習を使って考えたり説明したりしている。

問題
37+25 の計算のしかたを考えよう。
二年生になってから最初のたし算の授業で、一年生の時に学習したたし算をふり返りましたね。一年生の頃どのようなたし算を学習してきましたか。
1けた+1けたのたし算を勉強しました。
くり上がりのあるものも勉強しました。
昨日まではどんなたし算を勉強していましたか。
2けた+2けたの計算を勉強しました。
くり上がりはなかったね。
今まで学習したことを使ったら、ほかにもできそうなたし算はありますか。
もっと数が大きくなってもできそうです。
でも、2けたでくり上がりのあるたし算の勉強はしていません。
1けたでくり上がりができたから、2けたでもできそう。
では、例えば37 + 25 のようなくり上がりのあるたし算はどのように計算したらいいか考え、説明してみましょう。
学習のねらい
これまで学習したことを使ってくり上がりのある2けた+2けたの計算のしかたを考えよう。
見通し
前の時間でも位に分けて計算したらできたから、今回も位に分けてみよう。
〔方法の見通し〕
ブロックや図で考えたらできそうだな。
〔方法の見通し〕
7+5は12 だから、一の位は2になりそうだな。
〔結果の見通し〕
自力解決の様子
A つまずいている子
くり上がった数をどのように処理や表現をしてよいか分からずに困っている。
B 素朴に解いている子
ブロックや位の図など具体物や半具体物を用いて答えを出そうとしている。
C ねらい通りに解いている子
既習を生かして位ごとに分けて計算し、そのしかたの説明を考えている。
学び合いの計画
既習との関連を子供に気付かせたり価値付けたりしながら、学び合いを展開します。
本時では筆算の形式にすることを急がず、筆算を使わずとも位ごとに分けて計算すると、くり上がりのない2位数のたし算で答えを簡単に求められたことや、1 位数同士のくり上がりのあるたし算は計算できたことに気付かせ、解決の見通しをもたせて既習との関連を図っていきます。
学び合いを通して、くり上がりがあっても位ごとに分けて計算すればよいことや、既習のくり上がりのある1位数のたし算さえできれば2位数の計算もできることに気付かせ、既習を活用することの価値に触れましょう。
そうすることで、「3位数のたし算も同じようにできそうだ」という発展への興味・関心を引き出すこともできます。そのために、式と図を関連付けたり、解決方法同士を比較したりして、丁寧に学び合いを展開していきましょう。

ノート例
全体発表とそれぞれの考えの関連付け
37を30 と7、25 を20 と5に分けて計算しました。30と20をたして50、7と5をたして12になります。そして、0 と12をたして62 です。
37+25=(30+20)+(7+5)=62 です。
[C1]
今まで学習してきたように、ブロックを使って考えました。
[C2]

図を使って考えました。答えは62でした。
37+25=62
[C3]

*「ブロックを使った考え方」の発表で答えをはっきりさせた後、「式を使った考え方」の発表を行う。
37 を「30と7」と見たんですね。これは何に分けて計算したということですか。
位に分けました。前の時間と一緒です。
[C3]
C3さんは前の時間に表した図を使ったみたいですね。ブロックの場合と比べてみると、同じところや違いはありますか。
位ごとに分けているのは同じです。
ブロックは10をそのまま10で表しているけど、〇〇さんの図は、十の位を1つの●で表しているから違います。
C3さんのほうが分かりやすくて、筆算にも似ています。
C1さんの式とC3さんの図を比べてみると、同じところや違いはありますか。
やっぱり位ごとに分けているのは同じです。
30 + 20 が3+2になっています。
でも、10のまとまりで考えたら同じことだね。
10のまとまりで見ると、30+20 も3+2と見られるんですね。では、C3さんの図を、7+5の場合の図と比べてみるとどうですか。
一の位でやっていることは同じです。ただ30と20がくっついただけです。
位ごとに分けて考えれば、37+25 と7+5は、やっていることは同じですね。
だったら、1けたのたし算ができれば、ほかの数でもできそうです。
3けたでも、できそうな気がします。

評価問題
23+68の計算のしかたを考えてせつ明しよう。
子供に期待する解答の具体例
23を20と3に分けます。68を60と8に分けます。位ごとにたし算します。20+60は80で、3+8は11なので、80と11をたして91になります。
本時の評価規準を達成した子供の具体の姿
位ごとに分けて計算のしかたを考え、説明している。
感想例
位に分けて計算すると、くり上がりがあってもできました。1けたのくり上がりのたし算ができれば、ほかの数でも3けたになってもたし算ができそうで、やってみたいです。
イラスト/松島りつこ・横井智美
『教育技術 小一小二』2021年4/5月号より
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