小2国語「スイミー」指導アイデア
教材名:「スイミー」(光村図書 二年上)
指導事項:C読むこと イ、オ、カ
言語活動:イ
執筆/千葉大学教育学部附属小学校教諭・宮本美弥子
編集委員/前・文部科学省教科調査官・菊池英慈、千葉大学教育学部附属小学校副校長・大木圭
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元は、お話を読み、登場人物がしたことや出来事をあらすじにまとめて紹介することを通して、内容の大体を捉えて自分の感想をもち、友達と感じ方や考え方の違いを共有していくことをねらった単元です。
様子が分かる言葉を見付け、挿絵を手がかりにしながら、想像を広げて読む資質・能力を育てます。
②言語活動とその特徴
「スイミー」では、魚のスイミーの出来事を、場面の様子を具体的に想像して読むことが大切です。きょうだいとの別れ、広い海で見付けた海の生き物たち、きょうだいとそっくりの赤い魚たちとの出会い、力を合わせて大きな魚を追い出す結末。
それぞれの場面でしたことや様子を捉えながら読むために、あらすじをまとめて小さな絵本をつくる言語活動を設定します。できあがったら絵本を使って友達に紹介し、考えたことを共有します。
さらに発展として、レオ=レオニの絵本から、自分が読んだお気に入りの本を一冊紹介する活動を行うこともできます。同じ作者の絵本を楽しんで読み、あらすじや心に残ったことについて友達と伝え合うことを通して、考えを共有したり自分の考えを更新したりする姿をめざします。
単元の展開(8時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①教師がつくった言語活動の見本を見ながら、お話の紹介を聞き、これからの学習の見通しをもつ。
・レオ=レオ二のほかの絵本で作った見本を示し、学習のゴールの具体を示す。
【学習課題】パタパタ絵本をつくってお話のしょうかいをしよう。
第二次(2~8時)
②登場人物の特徴を読み取り、人物紹介の文を書く。
・スイミーの特徴を表す言葉を抜き書きしたり、組み合わせたりして書く。
→アイデア1
③~⑥場面やできごとを確かめながら、あらすじの文を書く。
・出来事と、スイミーがしたことを読み取り、あらすじの文を書く。様子を表す言葉を見付けて読み、一言感想を書きためておく。
→アイデア2
⑦⑧一言感想を読み返し、考えたことを書く。できあがったパタパタ絵本を使って、本の紹介をする。
→アイデア3
・一言感想を読み返すことを通して、自分の気に入った場面を見付け、考えたことを選んで書く。その部分を中心に紹介を行う。
発展(9~11時)
⑨~⑪レオ=レオニの絵本から一つ選び、パタパタ絵本を作って友達に紹介する。
・教師による読み聞かせや並行読書を行っておく。自分でお気に入りの話を選び、考えたことを話して共有する。
アイデア1 展開を想像させる文を付け加えて書く
紹介文の「はじめ」の部分に人物紹介の文をつくっていきます。まず、冒頭文からスイミーの特徴が分かるところを読み取り、全体で共有してから書いていくとよいでしょう。
書く段階では、例えば、文の数に制限をかけることにより、どの特徴を伝えたらよいかを考えることにつながります。また、最後の文にこの後の展開を想像させる言葉を取り入れるなど、友達に伝えるという視点を与えておくことも大切です。
人物の特徴を表す言葉を選んだり、それらを組み合わせたりしながら人物紹介の文をつくることを通して、主体的に読むことをねらいます。
からす貝よりも真っ黒で、小さな魚。名前は、スイミー。さて、どんなことが起こるのでしょう。
スイミーは、小さな魚のきょうだいたちと仲よくくらしていました。泳ぐのは、誰よりも速いです。これから広い海で、何が起こるのでしょう。
アイデア2 折り目に沿ってあらすじをまとめ、文に合った挿絵をかく
第2時からは、あらすじを捉えるために、スイミーの行動や様子を表す言葉を見付けながら読んでいきます。例では、厚紙をじゃばら折りにし、場面ごとに読み取ったことを書く形にしています。
折り目の一角を一つの場面と位置付け、次の展開を予想しながら読むように伝えることが大切です。あらすじに合った挿絵を取り入れることも、読み取りにおいて工夫の一つです。
イラスト/川野郁代 横井智美
『教育技術 小一小二』2020年6月号より