小1国語「だって だっての おばあさん」指導アイデア
教材名:「だって だっての おばあさん」(光村図書 一年下)
指導事項:C ウ
言語活動:C オ
執筆/東京都公立小学校主幹教諭・市川明日香
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、東京都公立小学校校長・河村祐好
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
場面の様子について、登場人物の行動を中心に想像を広げ、好きなところを見付けながら楽しく読むことができるようにします。また、お話の中で好きな言葉や文を書き抜くことができる力も身に付けます。
②言語活動とその特徴
本単元では、お話を読んで好きなところを見付け、紹介し合う言語活動を設定します。一年生の学習も終わりに近付くこの時期には、子どもたちの多くは読書経験を積み、さまざまな文章にふれています。
「どうしてその本が好きなの?」「そのお話のどんなところが好きなの?」と尋ねると、そのわけを話したり、書いたりできるでしょう。今回は、その自分の考えを友達と交流することに重点を置きます。
「同じ叙述を選んでもわけが違う」「違う叙述を選んでもわけが同じ」などの交流から考えを広げ、学びを深めていきます。
友達の考えを聞いたり、自分の考えを聞いてもらったりして、交流の楽しさを味わわせ、二年生の学習への意欲をもたせましょう。また、この単元を通して、読書の幅も広げましょう。

単元の展開(8時間扱い)
主な学習活動
第一次(1・2時)
①これまでに読んだ本やお話の中で、どのお話が好きだったか出し合い、学習課題を設定する。
→アイデア1 主体的な学び
②好きなところを探すという目的をもって範読を聞き、感想を書く。(デジタル教科書や挿し絵などを利用して、想像を膨らませながら聞けるようにする。)
第二次(3~6時)
③④⑤挿し絵で場面を確認しながら、おばあさんの様子を読み取る。好きなところにサイドラインを引く。
→アイデア2 主体的な学び
⑥お話の中で一番好きなところとそのわけを考える。
第三次(7・8時)
⑦本文のサイドラインをもとに、自分のとっておきを選んで書き抜き、その理由を書く。
⑧「とっておきカード」を持って、友達と交流をして、感想を伝え合う。
→アイデア3 対話的な学び・深い学び
アイデア1 学習材を読む必要性をもたせる

まず、教師が既習の学習材や図書の時間に読み聞かせをした本の「とっておきカード」を子どもの前で発表します。それを踏まえ、子どもにもこれまでの読書経験を振り返らせ、お気に入りの一冊について、二人組やグループなどで好きな場面やその理由を自由に話させます。
そのことで、「だってだってのおばあさん」のお話をどのように読んでいき、何を学んでいくのかが明確になり、見通しをもたせるとともに、学習課題を設定することができます。
アイデア2 全文シートを使って全体を把握し、その中から自分のとっておきを見付ける

一年生の教材の中でもページ数が多く、読みごたえのある文章です。全文シートを作成し、物語の流れを捉えやすくします。おばあさんの心情の変化も分かりやすくなり、繰り返しの表現がどこに何回使われているかも把握しやすくなります。

また、最終的に「とっておきカード」をつくる時にも、自分のお気に入りの言葉や文章が比較でき、一番好きなところを選びやすくなります。
▼全文シート
▼とっておきカード
みんなの「とっておきカード」を、拡大した全文シートと一緒に掲示するのもいいでしょう。
アイデア3 「とっておきカード」を紹介し合い、感じ方や考え方の違いを認め合いながら読みの世界を広げる

「とっておきカード」を元に、友達と交流をします。交流の中で何を話せばいいのか分からないと不安に思う子どももカードが手元にあれば、それを手掛かりに話すことができます。

交流の前に子どもに、交流の視点を示しておくのも大切です。低学年から効果的な交流ができていると、学年が上がるとともに、その交流の意義も高まっていきます。
▼ともだちのはなしのききかた
・おなじ文しょうやことばをえらんでいた人は、いるかな。
・そのわけは、おなじかな。ちがうかな。
・すきなところがちがうともだちのわけをきいて、どうおもったかな。
好きなところは同じだけど、わけが違うね。
ねこの気持ちを考えていて、感心したよ。
一年生はとくに、単元の終末に、「読んで楽しかった」という思いをもたせたいですね。また、自分とは違う友達の考えを「聞いてよかった」や、「わたしと○○さんは違う考えだったけれど、それもいいなと思った」などの肯定的な言葉を引き出せるような学習を展開していきましょう。
イラスト/やひろきよみ 横井智美
『教育技術 小一小二』2020年3月号より