小2道徳「ぼくは『のび太』でした」指導アイデア
執筆/大阪府公立小学校・近藤千尋
目次
内容項目
【希望と勇気、努力と強い意志】
何事にも粘り強く努力して、一生懸命にやりぬこうとする実践意欲を高める。
趣旨
好きなことや簡単にできることには興味を示し、行動に移すことができても、大変なこと、苦手なことをする場合や、大きな目標を目指す場合には、なかなか行動に移せないことがあります。
目指すものが素晴らしいことであっても、つい避けてしまうことは、子どもだけでなく大人でもよくあることです。また、難しいと感じたことをあきらめてしまうこともよくあります。それは、学習だけに限らず、様々な習い事やスポーツなどにおいても、同じような傾向が見られます。
「やればできる」という思いではなく、最後まで一生懸命努力することの大切さや、苦手なことにも立ち向かう強い気持ちをもつことの大切さを、本単元を通して子どもたちに感じてほしいと思います。
本教材では、子どもたちみんながよく知っている『ドラえもん』の作家、藤子・F・不二雄先生の漫画家になるまでのストーリーが取り上げられています。誰もが知る『ドラえもん』を創り出した人物でさえも、実は苦手なことがあり、私たちの知らない努力があったことが書かれています。
有名な人はもともと才能のある人だと思いがちですが、あきらめずに努力したことで夢をつかんだ人たちばかりです。
子どもたちには、努力すれば夢が叶う、成功するということではなく、たくさんの著名な人たちがあきらめない心をもち、多くの努力をしたからこそ結果を出したのだということに気がついてほしいと思います。
また、頑張り度(努力の度合)を数直線に書き、自分のものと藤子先生のものとを比べながら、視覚的にも捉えられるようにします。
最後に、授業を振り返った時に、
- 〇〇が苦手だったけど頑張って練習してみようかな。
- あきらめずに頑張ろう。
- 努力することが大切だな。
などの気付きをもてるような授業にしたいと思います。子どもたちのよく知るのび太について考えるため、興味を引きながら学習できる教材でもあります。挿絵や写真を掲示しながら、楽しい授業になるようにします。
また、子どもたちの知っているスポーツ選手などのストーリーも合わせて紹介すると、より興味をもって考えられる時間になります。
使用教材
「ぼくは『のび太』でした」(東京書籍 二年)
趣旨でも述べた通り、これは藤子・F・不二雄先生についてのお話です。漫画家になるまでの並々ならぬ努力や、実は幼少期は「のび太」のような子だったことが書かれています。
藤子先生からのメッセージの中の「ぼくは『のび太』でした」という言葉に着目して、自分たちの今までを振り返ることができるようにします。
本時の展開
①今頑張っていることややりたいことをワークシート(下のPDFをダウンロードして使えます)に書き、紹介し合う。
項目を書いて、自分の頑張り度が頑張り直線のどの辺りか印をつける。
(項目例)
・ピアノの練習を頑張っている。
・かけ算の九九を最後まで練習して言えるようになった。
・縄跳びで頑張ったら新しい技ができるようになった。
▼ワークシート(ダウンロードして使えます)
②『ドラえもん』について知っていることを発表する。
誰もが『ドラえもん』について知っていることや、のび太のキャラクターについても確認します。
- のび太、スネ夫、ジャイアン、しずかが登場する。
- 不思議な道具を出す。
- テレビ放送していて、みんなが知っている。
③本文を読み聞かせる。
④藤子先生が漫画をどんな気持ちで書き続けたのかを考える。
- みんなに喜んでほしいな。
- 読む人を楽しませたいな。
⑤手塚治虫先生の漫画を1か月かけて描き写した時の気持ちを考える。
- 自分もうまく描けるようになりたい。
- 漫画を描くのが楽しい。
⑥手塚先生から、1000ページ描いても300ページしか使われなかった話を聞いて、どう思ったか考える。
- 漫画家って大変だな。
- 自分だったらできるかな。
⑦「子どものころ、ぼくは『のび太』でした」という言葉を読んで、思ったことを話し合う。
- 最初から絵を描くのが得意だと思っていたけれど、努力して漫画家になったんだな。
- 不器用でも頑張ったらできるようになるんだ。
⑧藤子・F・不二雄先生以外の人のストーリーを紹介する。
(例)羽生結弦選手、八村塁選手など
⑨自分の生活を振り返る。
最初に書いた頑張り直線を思い出しながら振り返ります。
板書例
評価
・願いや目標に向かって努力してみようという気持ちが高まったか。
・努力することやあきらめないことの素晴らしさや大切さに気づくことができたか。
『教育技術 小一小二』2020年3月号より