小1国語「どうぶつの 赤ちゃん」指導アイデア
教材名:「どうぶつの 赤ちゃん」(光村図書 一年下)
指導事項:C イ、エ
言語活動:C ウ
執筆/東京都公立小学校指導教諭・大村幸子
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、東京都公立小学校校長・河村祐好
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
時間的な順序や事柄の順序を考えながら、内容の大体を読む力を身に付けます。
②言語活動とその特徴
本教材は、ライオンとしまうまの赤ちゃんの様子について、生まれたときの様子と大きくなっていく様子の二つの観点で比較できるように書かれています。教材文を読むことを通して、子どもたちは、「観点ごとに、違いを意識しながら読む」ということを学んでいきます。
導入においては、「動物クイズ」などを用いて、動物の赤ちゃんの様子の意外性に興味をもたせ、「動物による違いや、大人と子どもの違いなどを考えながら読もう」という課題をもたせます。
また、単元の終末には、学習したことを生かして、カンガルーや他の動物の赤ちゃんが説明されている図鑑や文章などを読んでまとめる活動を設定します。

単元の展開(10時間扱い)
主な学習活動
第一次(1・2時)
①「動物クイズ」を行ったり、動物の赤ちゃんの映像を見たりして、様子の違いについて興味をもち、学習課題を立てる。
→アイデア1 主体的な学び
②「どうぶつの 赤ちゃん」の問いの部分を読み、学習の見通しをもつ。
第二次(3~7時)
③④ライオンとしまうまの赤ちゃんの生まれたばかりの様子を読み取り、違いを比べる。
→アイデア2 対話的な学び
⑤⑥ライオンとしまうまの赤ちゃんの成長の様子を読み取り、違いを比べる。
→アイデア2 対話的な学び
⑦カンガルーの赤ちゃんを読み、ライオンやしまうまと比べて、似ているところや違うところを見付ける。
第三次(8~10時)
⑧他の動物の赤ちゃんについて図鑑で調べ、ワークシートにまとめる。
→アイデア3 深い学び
⑨調べたことを交流し、感想を伝え合う。
⑩学習を振り返り、学習の感想をまとめる。
アイデア1 「動物クイズ」「動物の映像」から学習課題を設定する

導入では、教師が作成した「動物クイズ」を提示したり、動物の赤ちゃんの映像を見たりして、生まれたとき、大きくなっていく様子の違いに気付かせるとともに、他の生き物はどうなっているのだろう、調べてまとめてみたいという思いをもたせます。
比べて読むという視点を明確に示し、常に意識して活動させることが、主体的な学びにつながります。
▼動物クイズの例

Q1
①生まれたときの体重は120グラムぐらいです。
②耳や目の周りが黒色をしています。
③竹が大好物です。

Q2
① 生まれるとすぐに立ち上がり、1.8メートルもあります。
②アカシアの葉や小枝を食べます。
③背の高さは7メートルにもなり、首が長いです。

Q3
①お母さんのおなかの中に2年間います。
②生まれたときの体重は120キログラムです。
③長い鼻を使って飲んだり、食べたりします。
▼映像資料例
・上野動物園のジャイアントパンダ情報サイト
・光村図書デジタル教科書
動物の赤ちゃんに興味関心をもたせるとともに、それぞれの様子の違いに気付かせるようにします。子どもたちの気付きから、比べる視点をまとめておくとよいでしょう。
アイデア2 対話によって読みを深めていく

問いの文を検討して、「生まれたときの様子」「大きくなっていく様子」
の二つの視点から読み進めていきましょう。教科書の文を読み取った後、
関連図書などで集めた情報も付け足していくと、もっと読みたい、知りた
いという意欲の高まりにつながるでしょう。
ワークシートに書いたことをもとに話し合う際には、教師がファシリテーターとなり、子どもの言葉をつないだり、意見を整理したりしながら話合いを進めます。
違いを比べて気が付いたことはありますか。どうしてこんな違いがあるのでしょう。
少しずつ親に近付くタイプと、すぐに親と同じ行動をするタイプに分かれるね。
ライオン型と、しまうま型だね。
敵から身を守るためじゃないかな。
餌にも関係しているんじゃないかな。
▼ワークシート・板書例
■本文に書いてあることだけでなく、調べたことから分かったことや子どもたちの気付き(★)も板書するようにする。
■時間的な順序を表す言葉(――部分)にも着目させ、読み取らせた後、板書するようにする。
■カンガルーや他の動物についてのワークシートは、下につなげていくようにすると、それまでの読みを生かしてまとめることができる。
アイデア3 学んだことをもとに、他の動物について読んだり調べたりする
二次で学習したことを生かして、カンガルーや他の動物について説明されている文章を読んでまとめていきます。ワークシートにまとめるだけでなく、個人の図鑑をつくったり、発表会を行ったりするなど、楽しい活動を工夫するとよいでしょう。
学級の実態に合わせて、図鑑や本をそのまま使うか、資料を用意するかを決めましょう。でき上がった図鑑を、図書室に置いてもらったり、保護者や他学年の子どもに読んでもらったりすると、さらに学んでよかったという達成感につながります。
イラスト/やひろきよみ 横井智美
『教育技術 小一小二』2020年2月号より