21世紀型の考える力を育てる「思考ツール」17チャート解説

目次
これからの時代に必要なスキル
2011年度にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう。
産業競争力会議 雇用・人材・教育WG(第4回) 文部科学省提出資料
ニューヨーク市立大学教授、キャシー・デイビッドソン氏のあまりにも有名な予言からおよそ10年。それを裏付けるように、ITとユビキタス技術の加速度的な進化は、社会と経済に目まぐるしい変化を与え続けています。常に新しく創出される産業や経済価値。これに対応していくため、これからの子どもたちには21世紀型のスキルが必要と言われています。
21世紀型スキルとは?
国際団体”ATC21s( 21世紀型スキル効果測定プロジェクト )”は、21世紀型スキルを以下のように提言しています。日本国内でも、内閣府が「人間力」、経産省が「社会人基礎力」などとして提言を行っていますが、いずれも内容的には、こちらの異口同音であると言えます。
○思考の方法(Ways of Thinking)
田村学・黒上晴夫著『考えるってこういうことか!「思考ツール」 の授業』(小学館)より
・創造性とイノベーション
・批判的思考、問題解決、意思決定
・学習能力、メタ認知
○仕事の方法(Ways of Working)
・コミュニケーション
・コラボレーション(チームワーク)
○ 仕事の道具(Tools of Working)
・情報リテラシー
・情報コミュニケーション技術(ICT)
リテラシー
○生活の方法(Ways of Living in the World)
・地域や国際社会の市民性
・人生とキャリア設計
・個人と社会における責任
この中で最も重要で、教育現場において最も期待されているのは、「思考の方法」であることは論を待ちません。では、「思考」とは一体なんなのでしょう?
関西大学総合情報学部教授・黒上晴夫氏は、以下のように解説しています。
思考とは、収集した情報を再構成し、そこに関係や傾向を見いだすことと考えることができる。自分で調べたことや友達の発言などから、人は多くの情報を入手する。もちろん、体験を通して情報を入手することもある。こうして獲得した情報を再構成することによって、そこに新しい関係や傾向、偏りなどが見えてくる。この再構成しているプロセスが「思考」であり、その結果として生成するプロダクトが「考え」と言うことができよう。
田村学・黒上晴夫著『考えるってこういうことか!「思考ツール」 の授業』(小学館)より
思考とは主観的で個人的な性質のものだと、一般的には思われがちです。しかし思考とは技術であり、客観的な基準と方法で訓練・習得が可能であると、黒上先生は唱えます。そして、その訓練・習得のために考案されたのが、数々の「思考ツール」なのです。