「作家の時間」 書きたくなる原稿用紙とは
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連載|ayaya先生のすてきやん通信
書く活動をワークショップ形式で取り組む学習法「作家の時間」。6回目は、子供が書きたくなる「原稿用紙」について! Instagramでは1万人超えのフォロワーに支持され、多くの女性教師のロールモデルにもなっている樋口綾香先生イチオシの実践です。
執筆/大阪府公立小学校教諭・樋口綾香
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■「作家の時間」はじめてみませんか
■「作家の時間」を面白くする二つの工夫
■「作家の時間」はじめてのレッスン ~魅力的な人物を考える~
■「作家の時間」2回目のレッスン ~中心人物の悩みや課題と事件をつなげよう~
■「作家の時間」3回目のレッスン ~事件の解決を考えよう~
■「作家の時間」4回目のレッスン ~物語の冒頭を工夫しよう~
■「作家の時間」5回目のレッスン ~比喩表現を使おう~
目次
イメージした作品を形にするために
今回は、「子供たちが書きたくなる原稿用紙」についてです。
原稿用紙といえば、思い浮かべるのは、四百字詰めのあの原稿用紙ですよね。
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子供たちにとっても、「いつもの原稿用紙」であり、これでわくわくした気持ちを引き出すことは至難の技かもしれません。
私は、「作家の時間」を始めるときに、子供たちに、どんなお話が書きたいかを想像してもらうようにしています。
子供たちには、自分が書きたい理想とする作品があるはずです。
「幼稚園のときに読んだあの本のようなお話を書いてみたい」とか、「今流行っているあのマンガのようなお話が書きたい」とか。
そして、お話の内容と同時に、絵や文章のレイアウトを思い浮かべる子も少なくありません。
絵や文章がどのように配置され、読み手がどうページをめくっていくのかはとても大切なイメージであり、書くことへの意欲につながります。
子供たちが書きたいと頭の中で想像した作品をできるだけその通りに書かせてあげたいと考え、私はいろいろな原稿用紙を作るようになりました。
5種類の原稿用紙を用意
「作家の時間」で、初めて原稿に物語を書き起こすときには、いつも5種類の原稿用紙を用意し、紹介しています。
5種類は、次の通りです。
1 絵本型 … 横書き(挿絵2)
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2 横書き(挿絵1)
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3 横書き(挿絵なし)
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4 縦書き(挿絵1)
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5 縦書き(挿絵なし)
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この5種類の原稿用紙は、発達段階に応じて変えてもよいでしょう。
例えば、一年生では、罫線ではなくマス目にした上で、絵本型を使うことも可能です。
また、大きさはB4で印刷し、八つ切りの画用紙を表紙にしてぴったり合うサイズにしていますが、高学年では、A4やB5で印刷して、文庫本サイズにするのもよいのではないでしょうか。実際に担任した6年生では、文庫本サイズの縦書き挿絵なし原稿を選んで、小説のように仕上げている子もいました。
3年生までの子供たちは、絵本型原稿用紙で書き始めることがもっとも多かったです。
自分に合う原稿用紙を選択するというだけで、子供たちは前向きに取り組む気持ちを高めてくれます。
慣れてくると、「こんなレイアウトの原稿用紙がほしい」とリクエストをもらうようになりました。
おかげで、私の原稿用紙フォルダには、このようにたくさんの原稿用紙のレイアウトでいっぱいになっています。
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みなさんも、まずは5種類の原稿用紙を用意して、子供たちに紹介してみませんか?
次回は、「作家の時間」をより充実させるための、教室環境についてお伝えします。
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樋口 綾香
ひぐち・あやか。Instagramでは、ayaya_tとして、♯折り紙で学級づくり、♯構造的板書、♯国語で学級経営などを発信。著書に、『3年目教師 勝負の国語授業づくり』(明治図書)ほか。編著・共著多数。
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