小3国語「サーカスのライオン」指導アイデア
教材名:「サーカスのライオン」(東京書籍 三年下)
指導事項:「読むこと」ウ、オ
言語活動:ア
執筆/香川県公立小学校・高橋直美
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、香川県公立小学校校長・川井文代
目次
単元で付けたい資質・能力
身に付けたい資質・能力
本単元では、物語を読んで、中心人物の変化する気持ちを読み取ることがねらいです。中心人物の性格や境遇、状況を把握し、地の文や行動、会話などから気持ちを関連的に捉えることで、変化する気持ちについて読み取る力が身に付きます。
言語活動とその特徴
本単元では、物語の中心人物に対する感想を根拠とともに伝え合うという言語活動を設定します。人物の様子や行動に着目し、そのときの気持ちを想像しながら感想をもちます。
感想をまとめるには、中心人物について、心を打たれたところを明らかにするとともに、その根拠を気持ちの変化と結び付けながら読む必要があります。そのため、必然的に気持ちの変化に着目して読む力を身に付けることができます。
単元の展開(11時間扱い)
主な学習活動
第一次(1~2時)
①既習の物語の中心人物についての感想を聞き、感想を伝えるには気持ちの変化を捉えることが大切であることに気付く。
【学習課題】物語を読み、中心人物についての感想を伝え合おう
②「サーカスのライオン」を読み、中心人物について、初発の感想を交流し、 感想をもった根拠を明確にしていくことを確認する。
→アイデア1 主体的な学び
第二次(3~9時)
③④中心人物について、一番心を打たれた場面とその理由について交流する。
→アイデア2 対話的な学び
⑤⑥⑦自分の選んだ物語の中心人物について、一番心を打たれた場面の感想とその根拠をはっきりさせる。
⑧⑨自分の選んだ物語の中心人物について、心を打たれた理由を気持ちの変化とつなぎながら感想を書く。
→アイデア3 深い学び
第三次(10・11時)
⑩⑪感想文を紹介したり読み合ったりして交流する。感じ方や考え方に違いがあることに気付く。
アイデア1 感動を伝えるうえで、気持ちの変化を捉える重要性に気付く
第一次で、既習の物語の感想を聞かせます。はじめに物語の中心となる人物の気持ちだけ取り上げた感想(→①)を聞かせます。
次に、気持ちの変化とつなげながら書かれた感想(→②)を紹介します。二つを比べることで、中心となる人物について感想を述べるときは、気持ちの変化を捉えることが必要であることに気付かせます。
▼①人物の気持ちだけ取り上げた感想
「おとうとねずみチロ」のチロがチョッキをもらえたのがうれしくておばあちゃんに大声でお礼を言ったのが、素直でかわいらしいねずみだと思いました。
▼気持ちの変化をつなげて書いた感想
チロのチョッキはないよと言われて、とても心配していたチロが、木のてっぺんに立っておばあちゃんにお願いすると、ちゃんとチロのチョッキもとどきました。それがうれしくてまた、木の上からおばあちゃんに「ありがとう」とさけんだところが、素直でかわいいネズミだと思いました。
最後の場面の説明だけでは、感想がよく伝わらないな。心配していたチロのことを伝えたほうが分かりやすいな。
アイデア2 心を打たれた根拠と気持ちの変化をつなぐ
第二次では、心を打たれた中心人物の行動について、「前は~だったけれど、この場面では、~」「この場面が最後の~の場面につながっているから」というように、心を打たれた根拠を説明していきます。
そして、交流する中で、中心となる人物の気持ちがどのように変化しているのかまとめていきます。
▼板書例
イラスト/横井智美
『教育技術 小三小四』2019年10月号より