小4算数「思考・表現の時間を多くとる」メリハリ授業のポイント

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大幅に削られた授業時数の中でも、国語と算数については、特に慎重に指導をしたいもの。二学期の授業内容の精選や組み方を工夫して、子供たちの「積み残しゼロ」をめざしましょう。ここでは小四算数について、メリハリある授業のポイントをご紹介します。

執筆/石川県公立小中学校教諭・久保和美

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写真AC

授業では体験や実感を伴う学習が中心

自治体や学校ごとに授業時数の余裕は異なると思いますが、急な休業を強いられる可能性もまだあるだろうと思います。そうすると、単元の中でしっかり軽重をつけ、簡単に扱う内容も考えておくことが必要でしょう。

例えば技能的な部分であれば、家庭学習や帯時間などで工夫できるところもあると思います。あるいは教科書の活用の仕方も、自分で教科書を読むことで学習を進められるように、プリントや動画配信でサポートすることを考えるようになってきました。

そのような工夫によって、進めていける分、授業ではしっかり時間を取り、半具体物や具体物の操作活動を入れて体験をし、実感を伴う学習を行っています。そして、友達と操作をし合って言葉で伝え合ったりするなど、必ず話合いの時間を入れているのです。

ちなみに私が勤務する学校では、自分がどのように課題解決をしたかを話し合う時間を取り入れていく授業づくりの研究を行っています。加えて子供たちの実態としても、「話したい」「書きたい」「説明したい」という子が多くいるという状況があります。

そこで、問題文を読んで立式したときや課題に対して自分の考えをもち、答えを導き出すことができたときに、算数用語を使って論理的に説明するということを大事にしてきています。

技能を磨く時間に、家庭学習や帯時間を使う

少し具体的に四年生の教材でお話をしていきましょう。

▼わり算の筆算(2):わる数が2けたの単元

「色紙が60まいあります。一人に20まいずつ分けると、何人に分けられますか。」

という問題に対して、10の束の具体物を用意して、操作しながら考え方を友達に言葉で伝えることを取り入れ、「だから60÷20=3になるんだよ」と説明をするようにします。

このような具体物と言葉と式による説明を、学習内容が簡単な導入段階でしっかりと児童全員にさせることは、とても大事だと思います。

具体物と言葉と式による説明を、学習内容が簡単な導入段階でしっかりと児童全員にさせることは、とても大事

特に算数が苦手な子は、数字が大きくなったり、計算が複雑になったりすると、形式的な操作だけになり、数や式についての意味理解がないため、間違ってしまうことがあります。

しかし、毎回具体物を準備したり、操作活動を取り入れたりするのは、時間的にも活動内容的にも難しくなってきます。だからこそ、導入の段階で徹底して具体物と言葉と式を結び付け、説明をさせることが効果的だと考えます。

同様に形式的な操作だけになって間違えてしまうというのは、筆算の学習でも少なくありません。加えて筆算は、商を立てるのが難しい子がいます。

ですから、授業にメリハリをつけるとしたら、わり算の筆算の学習では、仮商を立てたり、立てた商の修正を行ったりすることに焦点化し、時間をかけたらよいと思います。

筆算の授業を行うとき多くの場合は、最初に全体指導を行って解決方法を確認し、後は多くの練習問題に取り組み、苦手な子には個別に指導していたりすると思います。

そのとき子供たちの様子を見ていて、「商を立てるのが難しい子が複数いるな」と感じたら、そこで商を立てることに特化した1時間を取ってもよいと思います。

苦手な子に「なんで商を立てるのが難しいのかな」と聞いてみる。そうして、得意な子、苦手な子が対話する時間を取り、「こうやったら考えやすいよ」「こうやったら簡単にできるよ」と商を立てるための方法を自分たちの言葉でまとめていくのがよいと思います。そのまとめは、教科書の言葉と違っていてもよいと考えています。

そこで、しっかり時間を取った分、技能を磨く時間は家庭学習だったり、帯時間だったりと、他の時間も使いながらやっていけばよいと思います。意味理解や方法の理解がしっかりできていれば、あとの習熟は子供たちに任せてもよいでしょう。

例えば、わり算の筆算の手順のようなものは、次の学年に上がって、割合の単元の学習をするときにも、何度も計算する作業が出てきます。そのように学齢を超えて、確認したり、再定着を図ったりすることができることもあるのです。

みんなが一緒の授業だからできること

しかし、わり算の意味理解ができていなかったり、わり算をするときに商を立てられなかったりすると、手順の問題ではなく、ストップしてしまうわけです。

それだけに、この時期でなければできない意味理解にはしっかり時間を取りたいものだと思います。そのためには、授業の中では、みんながいるからこそできる、思考したり、表現したりする時間を確保していきたいものです。

現在、対話する時間を設定することが難しい地域もあるかもしれません。その場合は、ノートを撮影し、テレビ画面に映して提示したり、自分と同じ解決方法にネームプレートを貼ったりして、自分の考えを友達に伝える方法もあります。

直接話すことができなくても、友達の考えを知ることで、学びが深まると感じています。子供たちの実態や状況に応じて、対話の方法を工夫していければよいと思います。

経験が少ない若い先生は、授業がしっかり年度内に終えられるか不安になり、教科書の時数配分に従って、形式的に進んでしまいたくなるかもしれません。しかし、内容を終えることではなく、子供たちに資質・能力を育むことが目標なのです。

そして、資質・能力を育むためにも、今日の授業で付けたい力を明確にし、具体物を操作し説明する活動に時間をかけたいものです。そのような活動を行えば、苦手な子の心にも残ってくれるのではないかと、私は思っています。

「メリハリ授業のポイント」関連記事  → 小4国語「組合せの工夫で時数をスリム化」メリハリ授業のポイント

取材・文/矢ノ浦勝之

『教育技術 小三小四』2020年9月号より

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