安心・安全な場所を保障するリスタートマニュアル②「学習意欲に火をつける授業アイディア」
例年とは違う今年の夏休み。夏休み明けの学級リスタートは、どんなところに注意しながら行うべきでしょうか? 3部構成で、それぞれ経験豊かな教員が指南します。
ここでは「授業アイディア」に視点を当てておおくりします。

執筆/北海道公立小学校教諭・鹿野哲子

目次
3つのリスタートポイント
夏休み明けのリスタート授業のポイントは、次の3点であると考えます。
①安心感とともに期待感がもてること
②心地よいリズム・テンポがあること
③「みんなと学ぶから楽しい!」という思いが引き出されること
教室は、楽しく温かい空間であり、失敗したりうまくいかなかったりしても、何度でもチャレンジできる場所であることを、改めて感じてほしいと願います。
その一方で、学校は、子供にとっての社会です。公の場です。自分の好きなように振る舞ったり時間を使ったりすることができた夏休み生活からの切り替えを意識させ、学習のリズムを取り戻すことも大切です。
そして、仲間がいるからこそ成り立つ学習・授業内容を工夫することによって、「学校で」「みんなで」学ぶ価値を実感させたいものです。
一年生・国語「ひらがな・しりとり」「なつのことば・びんご」
まずは「ひらがな」の復習に取り組みます。ただ単にワークやノートを用いておさらいしましょう……では、なんのワクワク感もありません。遊びの要素を取り入れた復習のアイディアをご紹介します。
①黒板に「ひらがな・しりとり」「なつのことば・びんご」と書く。
「みんなで元気よく読みましょう!」
②声の出し方の確認。
「1年1組の元気はそんなものだったかな?」
「おかしいなぁ。みんなで思い出してみるよ」
「そうだね。お腹から声を出すことが大事でしたね」
「さぁ、お腹に手を当てて」
「お腹の筋肉=腹筋を意識するよ」
「ライオンさんみたいに」「カメさんみたいに」「アリさんみたいに」
と声をかけ、いろいろな声の大きさや速さで読ませる。
③「ひらがな・しりとり」は、隣の友達とペアで行う。ホワイトボード(なければ画用紙やA3の紙)を使用。ルールは、ひらがなをていねいに書くこと、2文字以上の言葉を使うこと、「ん」で終わらないこと。
④机間巡視しながら、どのペアにも口頭で賞を贈る。工夫や閃き・がんばりを価値付ける。
・たくさん言葉がつながったで賞
・ていねいな字がキラキラ輝いているで賞
・長〜い言葉を生み出したで賞
・面白い言葉を思い付いたで賞 など

⑤「なつのことば・びんご」は、3×3=9マスのワークシートを用意し行う。夏にちなんだイラストを添えておくとよい。
「では、続いて、みんな大好き! ビンゴです」
「夏といえば、ビンゴゲーム! いえーい」
と盛り上げ、楽しい雰囲気を演出する。ルールは、夏に関する言葉をひらがなでていねいに書くこと、何文字でもよいこと、全部のマスを埋めること。
⑥教師が用意したカードをシャッフルさせながら「夏の言葉」を発表していく。友達がビンゴを達成したときには、みんなで拍手を送り、温かな雰囲気をつくり出す。用意したカードにない言葉を書いた子も大いにほめ、全体へシェアする。
